今日の躓き石 根深い悪質報復の伝統 「リベンジ」アメフト界の悪しき風潮
2020/12/01
今回の題材は、毎日新聞大阪14版スポーツ面の「毎日甲子園ボウル」待望記事である。
と言っても、2018年にあった悪質タックル事件は、当大会で凶行のあったものではないので、選手の談話は、同事件の報復(revenge)を期したものではないと見せているのだろうが、それなら、記者会見の場で「リベンジ」を宣言するのは、何事か。むしろ、只事では無い心構えを感じさせる。
この世界では、仕返しに手段を選ばない、何をしても許されるという風潮があるのではないかと思わせて、限りなく不吉である。何しろ、「リベンジ」は、神の指示を受けた聖戦、天誅であるから、何としても「してのけねばならない」との最高の動機付け(motivation)に見える。
そうした忌まわしい考え方を叩き込まれていたから、ルールお構いなしの「何でもあり」の事件になったのでは無いとか思うのである。今回の談話を見ると、その辺り、特定のチームだけが反省すれば良いものではないようである。全体としてそういう風土であれば、悪しき習慣は、絶えることはなく、継承、拡散する。主旨を徹底して根絶しなければ、いずれ浮上するのである。
それにしても、主催紙たるものが、このような不埒な発言をそのまま取り上げて、読者の目にさらすのはどんなものか。一種因縁話にして、観客の忌まわしい思いを掻き立てたいのだろうか。
全国紙たるもの、事の核心を突いて、悪しき伝統、報復の無限連鎖を、この際断ち切って欲しいものである。選手には、余計な「気持ち」を棄てて、最高のプレーを目指して欲しいものである。世間は、「リベンジ」を血なまぐさい意味でなく、「もう一丁」の軽い意味で使う「松坂語」でごまかされかけているが、言葉自体の「悪質」さは、ごまかせないと見るのであるが、それは、別の話である。
それにしても、国民の良識を託されている全国紙たる毎日新聞が、自社主催のスポーツで、悪しき伝統の温存に手を貸すとは、何とも、情けないと思うのである。
以上
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