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2020年12月 9日 (水)

新・私の本棚 別冊歴史読本 日本古代史[謎]最前線 2/2

 発掘レポート 1995    人物往来社   1995年2月刊

 私の見立て ★★★★★ 情報満載の好著      2020/12/08

□平安京遷都の背景を探る 奈良から山背へ 鬼頭 清明
 当記事は、掲題のごとく、「奈良」なる京都(けいと)から、山背(山向こう)なる僻遠の地に都を移した原因を探るものです。もちろん、大変重大な議論なので、本編をもって、定説を築こうとしたものではないでしょう。

 以下は、当ブログ筆者が自分なりに消化した見解なので、氏の本意とは異なる点もあると思いますが、そのつもりで読んでいただきたいものです。

*平城京回顧
 冷静に見ると、平城京建都は、奈良盆地内を支配していた勢力が、西方に生駒山地を越え難波勢力と交流することよりも、木津経由で淀川水系を活用することに重きを置いたのであり、壮大な平城京を建都造成しながら、聖武天皇が、敢えて恭仁京に遷都した原因と見えます。壮大な平城京は、西方との交流が困難で首都として成立しがたいことが露呈したものと見るのです。

 但し、巨大な首都建設に続いて、僅かな年月で、新都建設を目指す全体計画の「資金」源が不明です。打ち出の小槌を手に入れたのでしょうか。

*難波京副都論
 氏は、難波京が、平城京に至るまでの期間、奈良平野の首都に対する副都扱いと推定しますが、それなら、交易で難波京に多大な利益が落ちたはずであり、CK(中韓)使節への対応も、難波京で万全を尽くせたはずです。
 副都と言いつつ、立地条件の面からは、「主都」と見えるのです。
 推定するに、難波京は、西方勢力の東方拠点「東都」かと思われます。

*平安京の限界
 平安京は、淀川水系と連携して、難波勢力から離脱を図ったと見えますが、伏見で淀川に川港を持ったものの、賀茂川が水量に乏しく、平安京への水運の役を果たせなかったので、陸送せざるを得ず、結局、物資不足、山間僻居の感を免れなかったようです。

 洛東賀茂川は、普段は水量が少ないのですが、増水時には荒れ狂う、水運に適さない河川でしたが、洛西桂川は、嵯峨野付近から上流に岩瀬が多く、荷船の往来に支障を来していたようです。桂川が水運に適していたら、平安京は、そちらに向けて発展したはずですが、実際は、賀茂川に向けて発展したのです。
 このような事情は、遷都後に判明したと思われ、氏も、詳しく考察を加えていません。

 因みに、洛陽は、元来、長安帝都に対する東京(とうけい)副都です。

*平城京水利談義
 氏は、平城京における大和川水運を有力視していません。平城京は、有力河川を持たない、古来希な王都だったのです。いや、同水運が有力なら、平城京から難波勢力を支配でき、遷都を急ぐ理由にならなかったのです。
 そもそも、大和川が水運至便の大河であれば、平城京を、大和川支流の河源に近く、水利に欠けた盆地北端に設けたはずはないのです。

*大局論の潔さ
 氏がこの点に触れないのは、紙数制限のせいと思われます。いずれにしろ、事の大小、概括に際して、些末を切り捨て、大局を説くのが論考の常道であり、些末事を針小棒大に言う「今どき」論法とは、志が違うのです。

 乱暴になったかも知れませんが、氏の論説に書き足すとそうなるのです。

*継承されない先賢の説
 それにしても、氏の、いわば、健全な平城京/平安京観は、二十五年を経ても十分に理解されていないようで、纏向、飛鳥と移動した勢力中心が、突然平城京に移動したと見える牽強付会の論説が増えているように思います。

                                以上

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