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2021年1月25日 (月)

新・私の本棚 「九章算術」新考 方田と里田~「方里の起源」 1/2

 古代の教科書を辿る試み~中國哲學書電子化計劃による 2021/01/24

〇はじめに
 古代中国の算数教科書を読み解いて、倭人伝「方里」の起源を探ります。
 農地測量の「方田里田」表現を確認し、「方里」は面積単位と明示します。

〇九章算術とは
 本書は、「東アジア」最古の数学書と紹介されますが、当時、中国周辺世界で文明があったのは「中国」だけで、西方エジプト、メソポタミア、ギリシャとは交信がなかったから「世界最古」でいいのです。当時、「アジア」はエーゲ海に面した地中海東岸の狭い世界であり、東アジアなどなかったのです。

 古代史学者は、「東アジア」という用語を、大変注意深く使っていますが、悪乗りして混乱した世界観を持ちかけてくる論者がいるので注意が必要です。古代史に現代語を持ち込むのは、大抵、苦し紛れの逃げ口上です。

 それはさておき、本稿の対象は、冒頭部だけで、かつ、「数学」論でないことをおことわりしておきます。また、目的は、用語、用字の解明であり、中国語独特の文法を理解しなくても読み解けるので現代語訳を付けていません。

 但し、中国の単位体系は、現代日本と異なるので、随時説明を加えます。

▢記事紹介
*「問題」山積による問答紹介、術紹介付き
㈠ 方田例題
今有田廣十五步,從十六步。問為田幾何?
 答曰:一畝。
又有田廣十二步,從十四步。問為田幾何?
 答曰:一百六十八步。
方田術曰:廣從步數相乘得積步。以畝法二百四十步除之即畝數。百畝為一頃。

 冒頭の「方田」例題です。いきなり「問」、「問題」を突きつけられて、総毛立つ「サプライズ」と勘違いしそうですが、パニックを起こさず読み進めると、すぐさま、「答」が示されるので、心の負担にはならないでしょう。

 本来、各例題は問答で完結だったのでしょうが、それでは勉強にならないので、解答に至る手順の「術」、解法が示されています。

*「歩」の起源考察
 「歩」は、農地面積単位であって、恐らく「ぶ」であり、歩幅定義でなく、耕作具の幅基準と思われます。なお、日常単位との関係は一歩六尺です。

 廣は農地の幅、従は縦、農地の奥行きです。農地を牛犂で耕すとき、歩は犂幅であり、奥で反転して引き返すので、農地は矩形で造成されます。つまり、農地の開墾・整理は、「歩」を単位に、各戸に当て縄張り区画したと見えます。農地は、あぜ道と水路、そして、農道で区分されていたはずです。

 ここに提示された農地は一「畝」の定義で幅十五歩、縦十六歩です。面積単位には百畝の「頃」があり、農地は「頃」-「畝」で表現されます。

*面積単位としての「歩」
 続く例では、廣・従が、「歩」、面積も「歩」で書かれています。答は、単に百六十八「歩」で、術では、周知の一畝 二百四十歩を明記します。

 方田術曰と書かれているのは、恐らく、後世の解説者の追記であり、原題には、「幅が歩、縦が歩なら、面積は積歩」とは書いていなかったはずです。

 「廣從步數相乘得積步」は、縦横の「歩」を掛けると面積の「歩」が出ると言うだけで、九章算術全体でも、単位「積歩」を示していないようです。

                                未完

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