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2021年1月 3日 (日)

新・私の本棚 旺向栄 「中国の研究者の見た邪馬台国」 1/3 改

                          2019/01/14 追記 2021/01/03
   同成社 2007年12月
 私の見立て ★★★☆☆ 有力・力作 但し難点多々

□総評
 第一印象が悪いが、見てくれは辛抱しても、内容不備は救いがないのです。

*不体裁
 氏の著書は、傷ましいものです。氏の責任ではないのですが、時代錯誤の横組書籍となっていて、大変見苦しいのです。加えて、記事に多桁算用数字が用いられていて、これも、深刻な時代錯誤です。古代中国に、算用数字はなかったし、ゼロもなかったし、横書き文書もなかったのです。中国では、時代相応の縦組み、漢数字は、廃棄されたということでしょうか。これでは、氏の見識が根底から覆ります。こうした基本的な事項がなおざりにされていては、肝心の論考に疑念を生じても当然ではないでしょうか。門前払いものです。

 こうした点は、出版社編集部が配慮すべき事項です。
 関連書籍が、揃って縦書きなのに、この資料だけそっぽを向いて、本来の意味で言う「違和感」です。

*定説馴致の不審
 種々の提言に、「日本」古代史の知識欠如による誤解が目立ちます。

 倭人伝が中国正史の一部なので、中国人が正解を示すべきとの気負いでもないのでしょうが、「中国の研究者の見た」とは力みすぎです。「自信があるときほど謙虚にすべき」とすれば「一中国研究者の見た」としておく所です。

 近年、別の華流の方に同様の昂ぶった物言いが見られて、顰蹙に近い不評を感じているので、もし間に合っていたら、助言するところです。

 いや、氏は、もちろん日本で教育を受けたわけではなく、「文化」大革命で毀損された古典文化学習の上に、親日的態度を示すと弾圧された時代を過ごしているから無理も無いのでしょうが、日本古代史に関して初学者に近かったものと考えます。

 また、成人後も、日本在住でないから「国内」史料の不確かさを知る由もないでしょうが、助言者の選択を誤ったのか、助言者が不出来だったとしか言いようがないのです。その結果、氏の見解が、国内の俗説に災いされているとして、誰に責めが行くのでしょうか。要は、著者の責任なのです。

*各論にして主題
 その証拠に、古田武彦氏が「原点に返れ」(Back to the Basics)とばかり、『倭人伝論は、現存刊本に書かれている「邪馬壹国」から再出発すべきだ』とした、まことに筋の通った議論を「反対論者が教条主義的と捉えて攻撃した」のにならってか、「古田氏の論は、一時的に一般人まで含めた広い範囲の興味を引いたが、邪馬台国に関する学術的な議論に何も齎さなかった」と、意地悪く断言しています。大変高邁なご意見ですが、遙か彼方の中国本土にいながら、国内の学会動向を知悉した御卓見なのか、誰か反対論者の受け売りなのか、なんとも不審です。

 と言うものの、古田氏の提言が、学会一般の惰眠を破った功績は認めているので、これは、「春秋の筆法」かとも思われますが、氏の真意はもはや知ることができないのです。

*おとぼけの後漢書談義

 特に、『「宋本より早い後漢書」に邪馬台国とある』のを決め手とするのは、おとぼけか、氏ほどの碩学には不自然です。三国志は宋代刊本が最古の資料ですが、後漢書も同様で、范曄原本どころか、宋代の刊本事業以前の古写本がが残っていないのは、周知、自明です。ちょっと考えれば筋違いとわかる見解を述べ立てるのは、何か、悪いものでも食べたのでしょうか。

                                未完

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