今日の躓き石 罪深いNHKスポーツ番組の「リベンジ」感染拡散
2021/01/26
当ブログではおなじみの「リベンジ」騒動であるが、今回は、どう書くか随分悩まされた。NHK番組を見る限り、石川佳純選手は、インタビューで、確かに「リベンジ」と言っているが、抑えた言い方であり、過去男性選手から聞こえたように攻撃的で毒々しい有害「リベンジ」でないのはわかる。単に、言葉を勘違いしているだけである。人柄にそぐわない、勿体ない言葉遣いである。
これが活字だと、すかさず心得違い「報道の不行き届き」を叩くのだが、今回は、画面から表情や口調が伝わっていたため、言い方に困った。
但し、今回確認したネット報道で、Jiji.comが引用している、ほぼ同時期の談話では、「チャレンジ」すると言ったことになっている。もちろん、両メディアの取材に対して、同一の用語で応対したとは言い切れないが、あるいは、担当者が、そのような言葉遣いで問いかけたのかも知れない。つまり、一種のやらせになっていたのかも知れない。そして、Jiji.comが選手の発言の真意を察して、さりげなく、言葉遣い、言い間違いを是正したのかも知れない。といっても、全ては憶測である。
ということで、確かに、石川選手は、目下の所、「リベンジ」の(深刻な)意味がわかっていないのだろうと思う。海外で、「リベンジ」は、とんでもない禁句なのであるが、知らなければ仕方ない。
言葉の感染経路を推定すると、先般のNHKの特集番組で、語り手に「リベンジ」と言う言葉を被せられたので、「再挑戦」を「リベンジ」というと誤解して、今回は、自分から「リベンジ」と言ったようにも見える。憶測は憶測として書いておく。
要は、憶測であるが、近来の特集番組の長期密着取材で、NHK担当者を感染源として、具合の悪い言葉に感染したと見えるから、選手は、被害者のようである。だから、発言を責められないのである。
大変困ったことに、今回のインタビュー報道で、世界のトップレベル、日本選手権者の言葉に接して、『「再チャレンジ」を「正しくはリベンジと言う」』と「感染」してしまう人がいるはずである。何しろ、みんなのお手本になる人が、NHKの番組で喋っているのである。
つまり、NHKは「リベンジ」蔓延のクラスターを振興していると見える。NHKには、公共放送の絶大な権威があり、いわば、言葉の護り人なのに、いわば、悪性「感染症」を拡散していることになる。何とも、困ったものである。
NHK社内では、ここで言うような報道倫理に拘わる議論は、一切せずに、各担当者の言い崩すままにしているのだろうか。一視聴者の気づくようなことは、とうの昔に気づいているはずなのだが、是正されないのは、何とも、困ったものである。
素人の見る限り、Jiji.comは、良心的な姿勢で、「感染症」の抑制に努めているのである。視聴者から受信料を取り立てて、その代わり、広く信頼を集めているNHKは、自身の使命に覚醒して、何とか、悪疫を沈静化させて欲しいものである。
以上
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