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2021年1月29日 (金)

新・私の本棚 番外 小澤 毅 邪馬台国の会 第386回 講演会 4/4 改

『魏志』が語る邪馬台国の位置:小澤毅(三重大学教授)2020/02/23開催
私の見立て ★★★★☆ 堅実 不偏不党 2020/04/04 改定2021/01/29

*誇張と仮定
 「誇張論」に対するとどめになるといいのですが、要は、氏の書き殴っている議論は、「倭人伝道里記事は、ほぼ一貫して、郡と狗邪韓国の間を七千里と「仮定」した『里』に基づいて書かれている」というに過ぎず、「魏志」の定義と同様に、ここ(「魏志倭人伝」)の「里」を「仮定」すれば、別に度量衡など国家制度を担ぎ出さなくても、合理的解釈ができるのです。

 因みに、「度量衡」に、道里が含まれるかどうかは明解ではありません。何しろ、道里の一里は常用単位でなく、一歩の三百倍も、手軽に例示できないのです。何分素人の憶測発言ですから外していたら失礼します。

〇まとめ
 以上述べたように、一介の素人が氏の論考のすすめ方に対して文句を言う筋合いはありませんが、全体に、(複数の)権威者の助言を受けたと思われる定説的な史料解釈を踏襲しているように感じられる例が多く、氏の卓見、就中、魏志に関するモットーと整合しないと見え、読解の際に躓きを起こしています。
 特に、氏の論考の躓きの原因と見える「定説踏襲」を追求しないため、論考の不具合が是正されないでいると見受けられ、勿体ないのです。

*史料解釈の膠着~私見
 「魏志」(通常言う「倭人伝」)行程記事解釈の際にも感じたのですが、どうも、氏の助言者は、世上多大な論議の的であって、異論を克服できていない、いわば、文献解釈の難路というか、札付きの隘路を、丸ごと氏に押しつけているようで、氏の困惑が感じ取れるようです。

 特に、行程記事解釈は、畿内説の生存に関わるので、学説としての当否は論外、とにかく、定説の保身は「絶対」譲れないので、党議拘束するという硬直した姿勢が見えるので、氏の柔軟な姿勢は貴重のです。

*いまどきの古代史~風説
 概して、いまどきの古代史論を見ると、俗に言われている定説は、基盤としている倭人伝文献解釈が、中国古代史文献解釈の門外漢の素人考えに終始していて、論考進路の選択肢を先入観で塞いでいるので、多くの無辜の読者は、押しつけられた隘路で悪足掻きし、果ては、自身の理解力不足や定説の妥当性を疑わず、「魏志」が誤っているなどと迷言を垂れる苦境に追込まれているのです。

 何しろ、周囲は、同様の理不尽な被害挫折者ばかりで、陳寿は、例え眼前にいたとしても言葉が通じない異邦・異時代・異界人ですから、挫折の責任を押しつけられて罵倒されても理解も反論もできません。まことに、理不尽な話です。

 定説は、長年膠着していて、諸般の事情から、論理の破綻を是正、自己修復できないのです。して見ると、原典誹謗は、無能な史学者の最後の隠れ家でしょうか。いや、まだ、永久政権は終わっていないというのでしょうか。

*原点回帰
 と言う背景を見るに付け、氏の提言のように、「魏志」が当時最善の記録で、編者陳寿が、その内容に最も精通していると見れば、視点が反転するかと見るのです。だから、氏の論説に、見当違いの苦言を呈しているのです。

 「魏志」を現代人が読み損なっているとの視点から、一から虚心に読みなおせば、大抵の隘路は霧消、氷解するはずです。行程解釈で例示したように、半歩戻って読みなおせば、「魏志」は「シンプル」です。魏志に王道は無いとしても、時の皇帝を挫折させるための難題ではないのです。

*蛇足 季刊「邪馬台国」誌掲載記事に関する所感 2021/02/04
 アラ探しの域を脱していると思うのですが、当講演記録に文句を付けるとすると、氏は、この構文の通り喋ったのだろうかという事です。
 つまり、途中で注記の必要なところでは、注1などと述べて、説明を先送りし、講演最後に、つらつらと注記項目を読み上げたのかという事です。それでは、とても論を尽くせるとは思えないのですが、それが事実と言われると引き下がるしかありません。

 普通に考えると、当日は、別にレジュメのようなものを用意して手元に置いて、それをもとに、聴衆が聞き分けられるように語りかけ、「ご不審の点は、論文稿を参照ください」とでも説明したと思うのです。月並みですが、資料を読み上げるだけなら、延延と付き合う必要はないのです。

 いや、別に事実の記録の限界を言うつもりはないのですが、後日、全文が「邪馬台国」誌に掲載されたことを思うと、やや疑問を感じると申し上げておきます。
                             以上

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