« 魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 3/4 | トップページ | 私の意見「謝承後漢書の行方」サイト記事批判 再掲 »

2021年3月14日 (日)

魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 4/4

                         2013/12/22  再掲 2021/03/12
*三国志における「漢官儀」
 陳壽は、広く諸資料を参照して、吟味の上で自己の著作に取り入れる正統派の執筆姿勢であり、漢朝儀礼の典範である漢官儀は、史官としての座右の書としていたと考えます。
 
 よって、陳壽が「会稽東治」と書いたときは、会稽郡東冶県のことは考えもせず、会稽東治之山を想起していたと思われます。皇帝を含めた同時代読者も、当然、漢官儀を知っていたと思われます。

 時折触れるように、陳壽の執筆時点から笵曄の執筆時点である南朝劉宋に到る間には、西晋末の大動乱で、洛陽の西晋朝書庫は散逸し、漢官儀も劉宋に継承されていなかった可能性があります。

 会稽山近郊に生まれた笵曄には、禹の事績はなじみ深かったはずで、漢官儀を知ってさえいれば、「会稽東治」に深い感慨を持ったのでしょうが、実際は、劉宋高官の土地勘から「東冶」県と読んでしまったのでしょう。

 それだけで止まっていれば三国志の継承記事にとどまり、笵曄の不見識は知られずに済んでいたのに、ついつい才気が走って、後漢書倭人記事の最後に「会稽東冶県」と書いて、早合点の証拠を残しています。

 以上は、当方の勝手な推定であって、「漢官儀」には、元々「東冶之山」と書いてあったのかも知れませんが、それは当記事の論議に関係のない些事です。

 とにかく、素人が気づくような史料考察に対して、寡聞ながら、当否を論じた意見を見たことがないので、ここに掲示するものです。
以上

*「漢官儀」 成都本
Ou_kankangi_kaikei2
追記 2021/03/12
 ついでに言うと、素人考えでは、禹の「東治」は、治世の終わりに近づいた大禹が、四方で「会稽」した中で、順当に終わった(と思われる)「西治」、「北治」、「南治」に当たる三方は継承されず、直後に大禹が崩御したことから、東方、つまり、「東治」が継承されたと見えるのです。特に、難点は無いと思うので、一言述べたものです。

                                            以上

« 魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 3/4 | トップページ | 私の意見「謝承後漢書の行方」サイト記事批判 再掲 »

歴史人物談義」カテゴリの記事

倭人伝の散歩道稿」カテゴリの記事

コメント


 良い論文ですね。あなたも述べているように、素人が気づくような史料考察に対して、現在の東洋史学者、特に『三国志』の専門家、『三国志』の最高権威とみられている渡邉義浩氏などが、全く「魏志倭人伝」の内容についての正しい考察ができないことは残念でなりませんし、日本の文系学問の低俗さを嫌というほど感じます。中国では『三国志』の中の「魏志倭人伝」というのはほとんど文人に取り上げらることもなく現在に至りますが、その影響下にある渡邉義浩氏などはまともに「魏志倭人伝」を読んでいないで日本の国学者の訳を借用していることが良く理解できますね。それと、渡邉義浩氏というのは陳寿という史書家の評価を自分ではしないで清時代の陳寿悪評価を単に借用しており、残念ですが、『三国志』の専門家というのは多くの問題がありますね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 3/4 | トップページ | 私の意見「謝承後漢書の行方」サイト記事批判 再掲 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2024年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道 2017
    途中経過です
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝新考察
    第二グループです
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は歴史学・考古学・民俗学研究機関ですが、「魏志倭人伝」関連広報活動(テレビ番組)に限定しています。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 陳寿小論 2022
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
無料ブログはココログ