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2021年4月23日 (金)

新・私の本棚 番外 NHK特集「シルクロード第2部」第十三集~知られざる東西交流の歴史 雑感追記 1/3

                     2021/02/02 2021/04/23
〇NHKによる番組紹介
 NHK特集「シルクロード第2部」、第十三集は「灼(しゃく)熱・黒砂漠~さいはての仏を求めて~」。旅人が歩いた道の中で最も過酷なルート、カラクム砂漠を踏破する。
 シルクロードの旅人が歩いた道の中で最も過酷なルート、カラクム砂漠。何人も生きて越えることができないと言われた死の砂漠である。取材班はその道をトルクメンの人々の案内で踏破、チムール時代の壮大な仏教遺跡が残るメルブまでを紹介する。

〇待望の再放送~余談の山
 滅多にお目にかかれないメルブ(Merv)を見たのは貴重でしたが、漢代以来、東西を繋いだメルブの意義が見逃されているのは残念です。

 メルブは、漢書「西域伝」、後漢書「西域伝」で「西域」つまり漢の世界の西の果ての大国として紹介された「安息国」の国境要塞でした。

 そのため、漢武帝使節と後漢西域都護班超の副官甘英の97年の探検行が、西方では「パルティア」と呼ばれた「安息国」国境要塞メルブを、訪問行の西の果てとしたことの意義が見過ごされています。

 大「パルティア」首都、遙か西方メソポタミアの「王都」クテシフォンに、(強暴な)武人である漢使が詣でて、大「パルティア」国王に謁見することは論外でした。

 そのため、両代漢使はメルブで小安息国長老と会見し使命を果たしました。国都に参上せず国王に謁見しなくても、漢使の任務を果たしたのです。

 倭人伝解釈に於いて、随分参考になる前例です。

*メルブの意義
 当時、イラン高原を統轄していた大「パルティア」は、東西交易の利益を独占して当時世界一の繁栄を得ていましたが、その発祥の地でもあるメルブ(Merv)地域を最重要拠点として守備兵二万を常駐させていたのです。

 東方から急襲した大月氏騎馬戦力の猛攻により、国王親征部隊が壊滅して国王が戦死した前例があり、以後、大兵力を固定して、東方の蛮族(大月氏)の速攻に臨戦態勢で備えていたのですが、漢書「陳湯伝」で知られる匈奴郅支単于の西方侵攻のように、月氏事件は、空前でもなければ絶後でもなかったのです。

*西方捕虜到来
 因みに、大「パルティア」は、西方のメソポタミア地方では、ローマ軍の侵入に対応していて、共和制末期の三頭政治時代、シリア属州提督の地位にあった巨頭クラッスス(マルクス・リキニウス・クラッスス)の率いる四万の侵入軍を大破して一万人を超える捕虜を得て、「パルティア」は、一万の捕虜を東方国境防備に当てたとされています。(前54年)
 降伏した職業軍人は、遠からず両国和平の際に和平時に身代金と交換で送還されると信じて、数ヵ月の移動に甘んじたのです。ローマ側としては、生き残った万余の兵士を無事帰国させるために、司令官を引き渡し、捕虜をいわば人質として提供したしたものです。

 欧州側では、「東北国境」と云うことで、寒冷地を想定したようですが、メルブは、むしろ温暖なオアシスであり、何しろ、凶悪な敵を食い止める使命を課せられていて、それなりの処遇を得ていたはずです。この時、一万人の捕虜を得たおかげで、一万人の守備兵を帰宅させたので、地域社会(パルティア発祥の地)に、大きな恩恵を与えたのです。

 なお、ローマ正規軍には、ローマの中級市民兵士や巨頭ガイウス・ユリウス・カエサル(シーザー)が援軍としたガリア管区の兵士も含まれていたから、一時、メルブには、土木技術を有し、ギリシャ語に通じた教養のあるローマ人が住んでいたことになります。恐らく、両国軍人の会話は、ギリシャ語で進められたはずです。いや、まだ、アレキサンドロスか率いたギリシャ語圏の兵士や商人がいたかも知れません。
 また、漢書西域伝に依れば、安息国人は、比較に横書きで文字を書き付けていたようですから、共に、文明人だったのです。

                                未完

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