私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 6/30
講談社 二〇〇二年一〇月刊
私の見立て☆☆☆☆☆ 詐欺である 2018/04/12 追記 2019/07/22 2021/07/30
*百花斉放
そのあと、読者が十分了解できないまま、先賢諸説のこき下ろしが続くが、根底となる「倭人伝」なる史料が未確定だから、何を提示しても、しょうがない。
以下、松本清張氏の露払いに続き、「大和説」「九州説」の概要が示されるかと思ったが、概要無しに深入りしているのは、困ったものだ。
まるで、酔っ払いがくだを巻いているようで、何を言っているのか明解で無いから、逃げ出す方が適確かも知れない。
*アキレス腱(P13)とネック(P14)
それにしても、「大和説のアキレス腱」という言い方は、失笑ものである。弱点は、これ一つだけで、後は不死身だというのである。実際のアキレス腱断裂は、重傷だが致命傷ではないし、正しく治療すれば、かなりの程度回復する。両脚同時でなければ、全く自力で移動できないわけではない。比喩は、適切でないと意味不明、むしろ逆効果となる。生かじりは禁物である。
もっとも、九州説も、同様の嘲笑を浴びている。「最大のネック」とは、何のことか。意味不明の極みである。
調べると「ネック」は、瓶の首、つまり、「ボトルネック」が、瓶の吐出を制するという意味らしいが、「アキレス腱」の重大性と不揃いである。大体、寸胴な容器をわざわざ多大な労苦と高度な技術を動員して「ネック」に絞っているのは、「ネック」に絶大な効用、価値があるからである。
重ねて言うと、比喩は、適切でないと意味不明、むしろ逆効果となる。生かじりは禁物である。 まるで、散歩中に路上に「落とし物」を見つけて、拾い食いしているようである。せめて、泥を落として、匂いを嗅いで、誰か通りがかりのものに毒味させてから食いつくべきである。因みに、奈良公園名物の「落とし物」は、はやり歌で言う鹿の「ふん」である。
念押しすると「最大のネック」は、比喩を掴(つか)み損ねたと失笑ものである。ネック部が太ければ、ネックの段差、隘路は緩和するのである。自分が何を書いているか、理解していないのではないか。
また、「ネックを解決」とは、どんな比喩なのか。折角絞ったクビを、無理矢理膨らませて、どうしようというのか。
後先考えない比喩起用は不用意である。自滅である。自罰である。
*「商品化期」の意味(p14)
続いて、「商品化期」なる独りよがりの小見出しに続いて、諸氏の意見がさらし者になっているが、肝腎の「商品化期」の意味が不明だから、著者に付いていけない。
いや、この愚は三品彰英氏の造語のようだが、著者が、鸚鵡返ししているので、独りよがりの小見出しと見える。拾い食いは、慎んで欲しいのである。読者に毒味させているのだろうか。
著者に「議論が粗雑」「恣意的に過ぎる」と非難されても、批判された論者は「おまえごときに言われる筋合いはない」と言うだろう。まことに同感である。勝手な思い込みで、勝手な主張をしていては、誰も、相手してくれないのである。
繰り返すと、まるで「一人スカッシュ」である。さすがに、武光誠・山岸良二の二氏の批判発言を引いているが、それについても、「妥当」(意味不明)としか言わない。
所在地論者列伝は、松本清張氏に始まるが、引用批判されているのは所在地論ではないので、ヘンテコである。
また、松本氏の論法は、元の倭人伝にあったが以後失われたと紹介され、著者は、「このような議論が許されるなら、どんな議論も可能になろう」と指摘するが、これは、実は松本氏論法に対する褒め言葉であり、著者は、以下の「議論」と言うか、仮説構築で、大いに見習ったということなのだろう。「春秋の筆法」マニアなのだろうか。
因みに、現下の風潮では、誰も、仕切っていない無法状態なので、許すも許さないも無いのである。そんなこと言うやつの顔が見たかったら、ご自宅の洗面台に立ったら、好きなだけ長々と、細々と見えるのである。
未完
« 私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 7/30 | トップページ | 私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 5/30 »
「歴史人物談義」カテゴリの記事
- 新・私の本棚 古代史検証4 飛鳥の覇者 推古朝と斉明朝の時代 追記 2/2(2022.04.11)
- 新・私の本棚 古代史検証4 飛鳥の覇者 推古朝と斉明朝の時代 追記 1/2(2022.04.11)
- 私の意見 歴博展示品「後漢書東夷伝復元複製」の怪(2022.03.05)
- 私の意見 御覧「所引」出典の考察 東夷伝探し 補充(2022.05.08)
- 新・私の本棚 小畑 三秋 『前方後円墳は卑弥呼の都「纒向」で誕生した』(2022.01.21)
「私の本棚」カテゴリの記事
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 3/3(2022.01.15)
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 2/3(2022.01.15)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 8/8(2021.12.23)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 7/8(2021.12.23)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 6/8(2021.12.23)
« 私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 7/30 | トップページ | 私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 5/30 »
コメント