私の本棚 相見 英咲 「魏志倭人伝二〇〇〇字に謎はない」 最終 7/30
講談社 二〇〇二年一〇月刊
私の見立て☆☆☆☆☆ 詐欺である 2018/04/12 追記 2019/07/22 2021/07/30
*殿御乱行(p15)
著者は、ぞんざいに「古田武彦氏の議論には問題が多い」と言い放っているが、ここでは、重箱隅の投馬国所在論を資料改竄と難詰している。重大な所在地論の全貌は、伏せている上に、巻末「注」によれば、著者が、ここで参照したのは、古田氏の最初の著作『「邪馬台国」はなかった』だけのようである。いや、ここで言う「問題」は、算数教科書のように、「問題」ばかりで解答が書かれていないという苦情かも知れない。語彙がずれているとしたら、問題に対して解答できるはずがない。
衆知の如く、古田氏には「倭人伝」関連書が多数ある。全体を読んでいないのに、一般論として古田武彦氏の議論を「罵倒」するのは、著者の誠実さを疑わせるものである。倭国への行程が九州島内に収まる趣旨は、承知で忌避したのか。
因みに、榎一雄氏は、逃げずに古田説批判を書き送っている。
*百花斉放続く(p16)
水野昌弘氏説は大胆で隙が多く批判容易であろう。
大和岩雄氏は「大和説」の提唱者・主導者ではないが、その仮説が断定的でないせいか、「大和岩雄」説は、不倶戴天の敵、両説のいいとこ取りと非難される。感情的な「論戦」で、素人目にも、両論の折り合いを付けてまとめるのは、火中の栗を拾うものであり、賞賛すべきと思う。要は、著者の独解力が不足していて、大和岩雄氏 の論議を理解できないと言うだけではないだろうか。
少なくとも、長年にわたり「東アジアの古代文化」誌を主宰し、各派の「論文」を掲載し続けた労は、大いに賛嘆すべきである。
*みんなウソ(p16)
ここで、大御所らしい岡田英弘氏が登場して、倭人伝欺瞞説、つまり、道里、戸数の数値は、全てウソと武断していると紹介されている。
この大家の意見には、「古代史家はみんな嘘つき」とでも取れる後継、追従発言まで登場している。著者の論法で「このような議論が許されるなら、どんな議論も可能になろう」というと、本書の議論は全て無意味であり、それこそ「邪馬台国はなかった」になる。
それにしても、いきなり「岡田氏の資料論」と言われると、何のことかと戸惑うが、単に「史料全否定論」のことなら、「論」と呼ぶほどのものではない。単なる、個人的な気まぐれに過ぎない。岡田氏の著作を読んだ上で言うのである。
*嫌いだからきらい
因みに、当方の見る限り、岡田氏は「算数嫌い」であり、倭人伝の戸数・里数論のように、概数の計算という「難業」は受け付けず、自分に理解できない議論は、大嫌い、だから、全てウソ、との主張に見えると言うだけけで、なりふり構わぬ泣き言である。一人前の大人が、人前で、金を獲って発表する事ではない。
*書記官の魂
素人としては、倭人伝の筆者が、中原人が未踏の異郷の、最初の見聞の忠実な記録を記すという栄えある務めを捨てて、でたらめな造り話を捏造したというのは、それこそ、重ね重ね無責任で途方もない大嘘と思うのである。ここまで混乱されると、是正するのが困難である。
いかなる思い付きも、論拠無しに公開すべきでは無いと思う。特に、誹謗中傷は、そのような発言をものしたものに跳ね返るのである。
未完
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