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2021年7月17日 (土)

私の本棚 51 水野 祐「評釈 魏志倭人伝」[新装版] 2/4  序章 再掲

 私の見立て★★★★☆    『「倭人伝」は「古代日本に関する(唯一無二の)中国史料』      2016/06/18 追記 2020/06/07  2021/07/17

◯概観
 著者の考える指針として、「倭人伝」の解釈に際しては、「虚心坦懐に」記されたままを素直に本文に即して読むことから出発」し、「その検討に際しては」、まずは、「倭人伝」の文章とそれ以外の「三國志」、特に「東夷伝」の文章と対比して検討することが示されいる。

 さらに、「先入観に禍いされて、自説に都合のよいように「倭人伝」の字句を改訂したり、勝手に解釈したりしても、それは、価値のない研究に過ぎない」と主張している。

 そして、「考古学によって帰納的に解明される倭国像と中国史料によって解明される倭国像は、究極的には一致するべきものであるが、それぞれ、異なった分野の研究であるから、の過程において安易に両者を合致させようとすると、研究の進路を誤ることになりかねない」と危惧し、「互いの研究が自力で確実な結論に至ったときに、整合を図るべきだ」と述べている。

 こうした提言は、まことに合理的なものであり、本来、広く遵守されるはずなのだが、衆知のように、このような先人の提言は見事に裏切られ、考古学成果は、データに基づく帰納的な検討ではなく、データが先入観に合うように解釈・整備されて、当方に「俗論」などと悪態をつかれている昨今である。

 本書刊行当時、すでに、三國志などの中国史料に対する考古学系研究者の反感が顕著だったようで、「もし本書(三國志)がなかったならば、女王國も、邪馬壹國も、またその他の国も、卑弥呼の存在も、何もわからず、従って、邪馬壹國論争などは全く起こらなかった」と述懐している例まであるが、これはあくまで寓意としているだけで、本気でないことは言うまでもない。

 本書は、倭人傳本文の評釈に先立ち、第二章 魏を中心とする三国時代史概観、と題して、後漢朝衰亡期に始まる一世紀あまり、乱世に堕ちていく政治、社会動向が描かれている。この期間に含まれる、倭人傳に所縁のある桓帝、霊帝治世時の深刻な内紛も描かれている。

 当ブログ筆者のこの時代に関する参考書は、主として、陳舜臣「中国の歴史」、宮城谷昌光「三國志」、それに、岡崎文夫「魏晋南北朝通史」(国会図書館の近代デジタルライブラリー所蔵は、内外両編揃い)であるが、あくまで、時代背景を知るための読書であり、厳密に参照しているわけではない。

*無知の癒し
 世上、「史料批判」の何たるかを知らず、また、先人によって、適確な史料批判が既に為されていることも知らず、ひたすら、倭人伝の史料価値の欺騙を叫ぶ素人論者が見られるが、まあ、まずご自身の無知を癒やすべきと思うものである。
 無知は「やまい」ではないから治療のしようがないが、ご当人が気づいて、自覚是正すれば救われるのである。さしあたっては、本書が、妙薬となる可能性があるが、まさか、「鵜呑み」はしないだろうと思うのである。

*「概説」の偉業
 と言う事で、本書の冒頭では、概説篇として、三国志とそれに先行する「三史」(史記、漢書、後漢書)、さらには、三国志に隣接する魏略について、適切な概評が加えられている。

 また、時代、地理背景として、(後漢末期)遼東郡が、半島中部に設けた帯方郡を経て、海峡の向こうの東夷に管轄を及ぼすに至った経緯とその滅亡が説かれている。

 薄手の新書版では、本書の真似はできないが、その際は、本書の該当部分を参照する「注記」を書き込んでおけば、一々再現する必要はないのである。

未完

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