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2021年7月19日 (月)

新・私の本棚 番外 NHK 英雄たちの選択 「古代人のこころを発掘せよ!!」 2/3

私の見立て ★★☆☆☆ 「フェイク」蔓延の予兆 2021/07/19

*人工技術の幻妄
 磯田氏は、「不自然」な人工技術の新規性を賛美するが、先ほどまで縄文原住の者のココロを讃えていたのが急転直下で、人のココロは「豹変」と言いたいのか。

*カタカナ言葉の幻妄
 番組は、挙って生煮えのカタカナ語で新技術を褒め称えるが、当時、そのような言葉の価値観はなかったから、諸氏の内面の「幻想」に過ぎない。磯田氏は、しきりに、世界観、価値観の突出を語るが、もし、誰かがそのような意識変革をしても、伝わるのは至近距離に過ぎないのを忘れてはならない。
 当時は、この番組はないから、語られている世界観は、知りようがなかったのである。ここにあるのは、同時代に存在しない別世界の言葉である。

*墳丘墓談義の序奏
 歴博杉本氏は、弥生墳墓は、高い盛り土と決めているが、倭人伝記事では、封土に過ぎない。高塚は、堅固に石積みしないと、成立しないのである。氏の専門分野らしく滔々としているが、素人向きに言葉を改め誰でもわかるようにして欲しいのである。格闘技ではないのでキメ技名乗りは必要無い。

*硯新規発見
 そこに、文字利用の萌芽が、硯の出土によって裏付けられたという。しかし、従来発掘で、硯が出土していなかったとは、確信できないのではないか。
 先に描かれた技術者集団は、いかにして高度技術を伝承し、加工方法、加工手順を普及させたのだろうか。口伝だけだったというのだろうか。
 そのような高度な技術で、生産量を増やした稲作を、周辺に広げる際に、どのようにして、高度で握雑な新規が普及できたのだろうか。

*「ネットワーク」時代錯誤の怪
 中国銅銭出土を根拠に玄界灘を中核とする船舶「ネットワーク」なるカタカナ語を押しつけてくるが、浅はかな勘違いに過ぎない。海村は近隣海村と交流したまでで、乗り継いで遠隔の海村と連携したとは見えない。文書通信も高速大量輸送も無い時代に、カタカナ語を塗りつけた幻想戦術は畏るべきである。

*文書行政・貨幣経済の輸入
 磯田氏は、海村の民が、中国統治システムを帯方郡で学んだというが思い込みに過ぎない。郡からは通貨を学んだのではないか。等価物々交換に銅銭なる指標を取り込み、市場相場に応じた市糴、古代の市場経済というものである。
 そして、多数の留学生を派遣したり、先進国の高官を招請したりして、初めて、高度な文書行政国家が創設できたのは、歴史の示すところである。

3.「古墳時代」
 ここまで、九州北部、玄界灘の視野であったのが、突如、纏向箸墓を端緒とする百舌・古市古墳群に大きく飛躍するのが、当番組の離れわざであるが、今回は、なぜか関東が皮切りである。父祖の墓地を近郊に設けて命日に偲ぶのが日本人のこころのはずだが、関東古墳葬礼を描く。地域支配者の務めは、各集落への水分(みずわけ)であったと示している。整合しているのか不明。

*「馬」の導入~偉大な改革、謎の連発
 「関東」の支配者は、いち早く「馬」を採り入れて、地域の権力を支配し、ヤマトと交易したとの見解である。馬の繁殖と訓練には、先進地域から多くの技術者と成馬の導入が先決であるから、その由来は謎である。歴史上実現されたのは間違いないから、その歴史の証しが残されていないのを悼むだけである。
                                未完

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