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2021年7月17日 (土)

新・私の本棚 番外 塚田 敬章 「魏志倭人伝から見える日本」 サイト記事批判 3/3 追記

 塚田敬章 古代史レポート 弥生の興亡 1,魏志倭人伝から見える日本
私の見立て ★★★★☆ 必読好著、但し書紀論は場違い 2020/03/05 補充2021/07/17

*吠えない勇気
 この下りで、塚田氏の論調は、いつになく断定的であり、余程、書き立てている論議に自信がないのかと思わされるのです。
 世の常は、議論が飛躍するなど、不安な部分で、激昂とも思われる強調に走る例が多く、塚田氏にその意識がないのであれば、「損してますよ」と言いたいものです。ここでは、いくら血が騒いでも、「吠えない」勇気が必要でしょう。

*敗者の延命策
 塚田氏の論説では、世の「倭人伝」論者は、氏の神功紀論をそのまま受け入れるか、書紀史料批判に立ち入って批判するか、二択を迫られる景色です。
 少し考えればわかるように、「倭人伝」解釈の場に、神功皇后史料批判を担ぎ込むのは場違いで、これは、一般論で言うと、「倭人伝」論争で非勢にある論者が、土壇場の反攻を試みているさまに影響されているように見えるのです。(不穏な言い方で言うと、「往生際が悪い」のですが「土壇場」自体が既に不穏なのです)
 それは、意に染まない結論への論戦収束を、命がけで嫌うという延命策であり、塚田氏がそのような風潮に荷担するのは、どうしたものかと思うのです。

*率直な批判
 以上、敢えて苦言を呈するのは、塚田氏の示された基本理念に同意しているからです。英語で言う誠意”SINCERITY”の表明です。
 塚田氏は、単に「倭人伝」世界で最初に相談した「権威」の意見を、強く刷り込まれ、その指導、助言は、裏切れないようです。

*見聞は寛く、見解は堅く
 これに対して、無視と決めた論者の意見は、聞かないようです。
 「倭人伝」論では、古田武彦氏の提言は、一読・吟味した上で克服すべき意見と思うのですが、塚田氏は、『「邪馬台国」はなかった』なる書名を、うろ覚えで誤記していて、つまり、実物を確認していないし、まして、古田氏の後漢書「邪馬臺国」観を一顧だにせずに、実は知らずして古田史観をなぞっているのは感心しないのです。(単なる事実誤認と思えますが、現時点で当PDF文書に訂正は加えられていません)

 あらゆる史書を全部読む必要はありませんが、これほど画期的な「一書」を読まずに、うろ覚えのまま不正確と批判しているのは困ったものです。思うに、誰か先人の著作を丸写ししているのではないかという疑問が湧いてきます。この程度の手違いで信用を無くすのは、勿体ないことです。

〇まとめ 批判が美点を高める
 以上は、塚田氏の基本論の是非を言うものでないのは明らかと思います。当方が言いたいのは、塚田氏が、妥当な事前準備を費やすことなく「倭人伝」に深入りしていることを惜しんでいるのです。

 世上、自身の本論とその根拠を示さずに、高々と自説を唱える論者が多い中で、手順を踏んだ上で所信を明言していることに同感し、それ故、率直に批判しているのです。

*実直な著作努力に賛辞
 因みに、塚田氏の公開されているPDF資料の構成を考察すると、氏は、随分丁寧に段落書式設定などを操作して、周到な構想のもとに当文書を書き上げていて、読者が読み取りやすい文書とした労苦、つまり、厖大な時間と手間に大いに感謝するものです。ローマは一日にしてならずです。
 それだけに、小説は想像に任せて書くものだという誤解は、創作の意義を見逃していて、まことに勿体ないのです。(例えば、司馬遼太郎氏が、一作を書く準備で、トラック一杯の史料を調達した逸話は、知る人ぞ知るものです。そして、肝心の著作が、資料の継ぎ接ぎでなかったのは、明らかです)

 いや、こうした当たり前の些末事を、ことさら書き立てるという事は、塚田氏の見識の高さを物語るものと見て頂きたいのです。世の中には、言及するのも時間の無駄という気質・見解の方が圧倒的に多いのです。
                                 完

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