今日の躓き石 幻滅した卓球 金メダリストの暴言~悪疫「リベンジ」の蔓延防止を願う
2021/07/27
本日の題材は、昨日、東京オリンピック卓球競技混合ダブルスで金メダルを獲得した直後のインタビューでの「リベンジ」発言である。何しろ、当人のナマの発言であるから、さすがのNHKもそのまま放送したのである。
それにしても、オリンピックで最初の卓球混合ダブルスでの優勝談話であり、いわば、前人未到の偉業で、前回大会での敗戦などないのに、いきなり、『これで、「リベンジ」をやってのけた』、つまり、「過去の恨みの仕返しに血祭りに上げた。ざまあ見ろ」というのは、何重もの意味で、不謹慎であった。
まずは、全国で応援していた視聴者の祝福に対して、今回の勝利は、金メダルより何より、個人的な復讐がすべてだと語っているのであり、不謹慎極まりない。パートナーも、これではたまったものではない。どうして、世界中に向けて、いきなりぶちまけないと、気が済まなかったのだろうか。
もちろん、さらに不謹慎なのは、あからさまに、スポーツの場に、血なまぐさい「復讐」を持ち込んだことである。これではまるで、オリンピックが、血で血を洗う復讐の場だと言っているようなものである。今回「血祭り」に上げられ、晒し者にされた銀メダリストは、国の威信の回復と共に、血なまぐさい復讐戦を至上の使命として仕掛けられたようなものである。まるで報復の連鎖で、血で血を洗うテロリストの世界である。
いや大げさに言っているのではない。世界に蔓延している「テロ」は、「リベンジ」を合い言葉に延々と報復合戦しているのである。
だから、心ある宗教人は、キリスト教などの教えに基づき、「リベンジ」を絶対的な禁句にしているのである。そんな中、異教徒であり、不謹慎な卓球選手が、国際的な報道も想定されるインタビューで、「リベンジ」を誇らしく口にしているのを聞くと、「なぜ、誰も野蛮な言葉遣いを直さなかったのか」と悲しいのである。
遡って言うと、オリンピック精神を無視して、闘志、さらには、敵愾心を掻き立てて、敵を倒すことが、金メダルへの道だと勘違いしているようである。いや、これは、選手一人の問題では無い。国内スポーツ界全体の持病となっているように見えるのである。
今回の暴言が、何事もなく聞き流されることを願う一方、本人には、これを機会に、金メダリストの言葉の重みを考え直して欲しいものである。何より、ヒーローの言葉は、世界のこどもたちが、真似するのである。世界一の金メダリストには、世界一の心と言葉を望みたいのである。
以上
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