今日の躓き石 NHKに望まれる「美しい言葉」垂範 「リベンジ」撲滅に力を
2021/08/17
今回の題材は、「スポーツXヒューマン」「”誓い”のメダル………」と題するオリンピック体操競技に関するドキュメンタリーの再放送である。
ここで讃えたいのは、選手達の努力の尊さとともに、それを冷静に報道するNHKの心意気である。選手は、目指すのは、技術の完璧さだけで無く、「美しさ」だと聞こえた。
ところが、それを、視聴者に伝えるはずの大事な番組で、選手が漏らした「リベンジ」のこの上なく汚い失言を、そのまま取り上げているのは、まことに勿体ないと思うのである。これでは、選手個人の暴言の記録を「永久保存」、「無限拡散」してしまうのである。
選手達は、目前の体操演技の向上に専心していて、口に出している言葉が世間にどう受け止められるか、考えが行き届いていなくて、周辺の指導者も、気づかないのは無理の無いことだが、世界一の日本語を持ち合わせているNHK関係者が、何も選手の言葉の「美しさ」の向上に寄与していないのは、困ったものである。
NHKの番組の言葉遣いは、全国民のお手本であり、はるか後の世代まで影響を残すのである。公共放送としてのNHKには、そこに出てはならない言葉があると理解いただき、世間の忌まわしい流れ、病害蔓延を堰き止めて欲しいのである。
毎回繰り返すので、あごがくたびれるのだが、「リベンジ」なるカタカナ語は、英語に根ざしていて、英語では、血なまぐさい復讐を意味し、世界に渦巻くテロリズムの根強い源泉になっているのである。そして、報復、復讐のくり返しは、世界に悲惨な出来事を繰り広げ、繰り返すから、「リベンジ」は神の手に委ねて人は恨みを晴らすな、と言うのが、古代オリエント、メソポタミア文明に元を見いだせる世界宗教の根本的な戒律である。
どうか、NHKの番組から「リベンジ」が絶滅し、番組の取材過程で、NHK関係者が、これほど大事なことを習っていない人々の心に、「リベンジ」を口にしない「美しい」心を広げるように望みたいのである。
後世に「美しい」言葉が残るように望むものである。
以上