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2021年8月16日 (月)

新・私の本棚 高柴昭「邪馬台国は福岡平野にあった」11/12 臺論7

 「通説に惑わされない21の鍵」(文藝春秋企画出版)2015年4月刊 
私の見立て ★★★★☆ 総論賛成、各論疑義  2021/08/14

〇陳寿誹謗の悪習
 陳寿に、海も島も知らない無知、無学と謂れのない非難を浴びせていますが、引き合いに出した海南島は、海島ですから、認識不足です。うろ覚えの聞きかじりで、陳寿の知識を限定するのは不合理です。なぜ、陳寿の無知を確信できるのか、不思議です。

 概数について、百里程度は、無視してよいとするのは見識ですが、実際は、千里単位でなく、千,三千,七千,一万二千ととんでいる目の粗い概数なので、「一千里に届かない程度は無視してよい」というものです。
 「理屈の上では正確」などと呪文に頼らず、同時代常識で丁寧に見極めて欲しいものです。そこまで踏み込めば半周航行などと意味不明な思い込みは必要ないのです。

 丁寧に言うと、「国邑」から「国邑」までの道里は、それぞれの国主居所という「点」が起点/終点であり、半周航行は織り込み済みです。それが合理的というものではありませんか。古田氏に何か遠慮しているのでしょうか。

 いずれにしろ、史官は、その叡知で全行程四十日と明記しているので、氏の想定する「思い込み」は、専ら氏の「思い込み」に過ぎません。

 また、古田氏について惜しむらくは、「奴国」の場所を示されず、「奴国」は通過していないとされたことです。地形を踏まえた倭人伝の読み方において、今一歩の踏み込みがあればもう少し明確な論となっていたと思われます。

 以下の須玖・岡本論は、ほぼ、古田氏の第一書の提言であり、何も批判するものではありません。

*筑前須玖史前遺跡の研究
 京大文学部が昭和初頭に行った須玖・岡本遺跡発掘の報告書*は、小生の愛読書であり、遺跡後方高台の熊野神社こそ卑弥呼の墓所というのが、小生の初期提言です(2013年)。(*「筑前須玖史前遺跡の研究」京都帝國大学文學部考古学研究報告 第十一刷(昭和三年~昭和五年))
 因みに、発掘時の現地取材で、それまで、農地耕作の際に露呈した甕棺は、たたき割り、粉砕した人骨と共に、人知れず処分したとなっていて、江戸時代以来の伝承でしょうが、隔世の感を禁じ得ないものです。
 小生の初期の愛読書が、京大文学部の須玖岡本遺跡報告書であり、そこに示された遺跡後方の丘の上の熊野神社が、往年の卑弥呼の居所であり、後の墓所となった(のではないか)というのが、2013年当ブログ発表記事です。

 「邪馬壹国」の中心地は現在の「奴国の丘歴史公園」
 「戸」と「家」
 倭人伝では「不弥国」は「千余家有り」……「邪馬壹国」は「七万余戸なる可し」……です。「家」と「戸」が区別して書かれている意味はよく解りません……対馬国(千余戸)、一大国(三千余家)、末慮国(四千余戸)、伊都国(千余戸)、奴国(二万余戸)、不弥国(千余家)、投馬国(五万余戸)、邪馬壹国(七万余戸)です。……「邪馬臺國」と投馬国が……大国……です。また、一大国と不弥国だけが「家」……で、ほかは「戸」……です。

 「戸」は、古代国家の根幹で、隅っこで論じる事項ではありません。基本の基本が頭にないのは、中国史に無知と公言しているのであり、不勉強です。

*知識の泉
 情報源として、貝塚茂樹、宮崎市定両師の著書は必読です。漢字の意味は、白川静師の著書に頼るべきです。無知を誇ってはならないのです。
 いや、これは、高柴氏独創の誤謬でなく、おしなべて、俗説論客に「普通」の見当違いですが、中国史書を、現代東夷の常識で解釈して、見識を広げようとしないのは、勿体ないことです。

                                未完

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