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2021年10月 8日 (金)

新・私の本棚 榊原英夫「邪馬台国への径」 序論のみ

 「魏志東夷伝から邪馬台国を読み解こう」(海鳥社)2015年2月刊 
私の見立て ★★★★★ 総論絶賛、細瑾指摘のみ   2021/10/08

〇緒言のお断り~限定的論義
 榊原氏の本書での論議で気になるのが、後世概念闖入による不首尾です。
 例えば、氏は、東夷の変遷を理解していますが、殷代に東夷とされていた山東半島について、漢民族が、東夷を掃蕩し、東夷がなくなったと誤解していますが、漢語を読み書きし古典を解する「教養」人が文化人であり、民族不問です。もっとも、各国で文化人は一割に満たないはずです。
 古来、中国史書で、稀少な例外は除き、民族を想定させる風貌記載は無く、身体特徴では、曹操、晏子などの偉人を除けば「丈夫」の巨漢です。「丈」は、別に、一丈十尺でなく七尺を超えたら「丈夫」、さらに強調して「大丈夫」と思われます。素朴な強調は、誤解され続けているのです。
 と言うことで、「文化人」は夷と呼べないのです。何しろ、相手が無教養な野蛮人扱いを知ったら、当然激怒するので、氾濫蹶起をけしかけているようなものです。いずれにしても、もはや東夷は「発展的に」解消し、中原人は、さらなる僻遠の地に無教養な「東夷」を求めたと思われます。別に、中原人が侵略したとは限らないのです。

*孔子東夷談義~ずれた理解
 氏が引用する孔子の言で、海に筏を浮かべても、「日本列島」には、到底達し得ません。
 筏は、要するに、船室、甲板のない小船であって、船体は備わっていないはずです。潮風、雨ざらし、海水浸入では、普通人は、数日しか耐えられません。気軽な浮海は、山東半島沖合の海中の山島、朝鮮半島行きで、食糧ももつし、外しようがありません。

*首都談義~栄枯盛衰する「都」の概念
 「首都」と言う後世語ですが、三世紀、「都」は、洛陽などの帝国皇帝居城専用です。「首都」を広域国家の国王居所と解して、各国が広域「国家」を形成していたとみるのは幻想です。また、現代語で「首都」は、むしろありふれたまち「都」で、でかく、賑やかなものと解されているようです。

*連邦国家談義~時代錯誤の一例
 「連邦国家」なる後世語ですが、国体が不明では「邦」と呼べるかどうか不明です。「邦」は戦国七雄の領域国家と地域聚落「国邑」を区別しましたが、漢高劉邦を避け死語となったので、「連邦」は場違いで時代錯誤です。
 また、諸国は客観的に証されない限り「邦」と大国宣言はありません。

*連合談義~鎖の無い連鎖
 「連合」と緩めても、各地散在の小国が、どう連絡を取って、連合していたのか不可解です。馬無しで各国は伝令を走らせていたのでしょうか。

*後世語、後世概念の排除
 要するに、中国史書解釈で、「後世語」、「後世概念」の無法な混入は、論者と読者の意思疎通を大いに疎外するので厳重に避けるべきと思われます。

*周旋談義~大仰な解釈
 「周旋五千里」に通俗解釈を採用していますが、海上洲島、小島が散乱した国家形態で、領域周長など、およそ無意味です。ご自愛いただきたい。
 同時代の袁宏「後漢紀」で、「周旋」は、「二つの名家を往き来する」用例で、倭人伝では狗邪~倭間が五千里と明示と思われます。郡~狗邪~倭の主行程記事に傍路条が挟まったので念押ししたと見ます。冒頭、倭人は「大海中山島に在り」の予告を受け、洲島を伝い倭に渡ると念押ししています。
 そして、末羅で陸行に転じて、伊都~倭直行で、長期水行渡海を要する投馬は九州島内に収まらず、余傍を念押しする共に、奴国、不弥は風俗記事を書かず、余傍明示です。

*倭人伝解釈に王道無し
 と言うことで、倭人伝は、後世人に耳当たりの良いのでなく同時代教養人が苦労する「解釈」が必要で、皇帝初め教養人に頭を捻らせる「問題集」だったのです。
                         この項完 以下別途

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