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2021年10月27日 (水)

新・私の本棚 小畑 三秋 『箸墓近くに「卑弥呼の宮殿」邪馬台国は纒向か』 1/2

 産経新聞電子版 「THE古墳」(隔週掲載コラム)   
私の見立て ☆☆☆☆☆ 虚報満載の提灯持ち記事 2021/10/27 2022/11/23

▢お断り
 以下は、産経新聞電子版近刊署名記事に対する批判である。
 まずは、批判対象を明確にするための適法の引用で、以下、逐条めいた批判、つまり、個人の所見であり、読者諸兄姉の意見は諸兄姉の自由で、当ブログが参照先と明記の上、諸兄姉の記事に引用、論評されても、それは諸兄姉の権利範囲であるが、当記事は、当記事筆者が著作権を有しない産経新聞記事を含んでいるので、適法な処理をしていただくことをお願いする。
 合わせて、産経新聞記事閲読もお願いしたい。(全文ないしは相当部分の引用は、著作権侵害)

*産経新聞電子版記事の部分引用
箸墓近くに「卑弥呼の宮殿」邪馬台国は纒向か 2021/10/27 08:00小畑 三秋」
【邪馬台国(やまたいこく)の時代にあたる3世紀後半に築造された箸墓古墳(奈良県桜井市、墳丘長約280メートル)。当時としては最大規模の前方後円墳で、この被葬者が倭国(日本列島)を統治した「大王」とされる。この大王の都が、すぐ北側に広がる纒向(まきむく)遺跡(同市)で、邪馬台国の有力候補地。平成21年に見つかった大型建物跡は「卑弥呼の宮殿か」と話題を集め、畿内説が勢いづいた。昭和46年に始まった同遺跡の発掘は今年でちょうど50年。長年の調査の蓄積が、古代史最大の謎解明へカギを握る。


*批判本文~「提灯担ぎ」宣言
 冒頭で要約予告する手法は新聞報道の王道であるが、実質は纏向説プロパガンダ(販売促進活動)であり、全国紙の批判精神はどこにあるのか。「提灯担ぎ」であり、ほぼ、文ごとに異議噴出であり、これでは、以下の記事は、「眉唾」ものである。

 「邪馬台国」の当否は別儀として、『魏志倭人伝という確たる史料に明記された「邪馬台国」の時代は三世紀後半である』と文献解釈を特定の仮説に固定した上で、そこに、『「箸墓古墳」なる墳丘墓の建造』という、考古学視点では年代不詳とせざるを得ない大事業をくくりつけているのは、有り体に言えば個人的な「思いつき」、丁寧に言うと、(種々の仮説の結構の上に成された)作業仮説に過ぎない。

 論証がされないままに、全国紙が無批判に追従してこのような記事を書くのは、全国紙の見識を疑わせるものである。「提灯担ぎ」という由縁である。

*無造作な用語すり替え
 簡単に「当時」というが、先の時代比定が仮説で、比較対象がどの「墳丘墓」か不明では、「時代で最大」と言われても、異議の唱えようすらない。あきれかえって、声も出ない感じである。
 被葬者が、「倭国(日本列島)」を統治したというのは、一般読者の誤解を誘う(いかがわしい)ものである。全国紙の取るべき態度ではない。
 「当時」、つまり、「箸墓古墳」の建造時が不確定であるから、「当時」の「倭国」は、どのようなものか、霧の中で雲を掴んでいるようなものであり、それを、一般読者に馴染まない、誤解を誘うこと請け合いの古代史用語である「日本列島」とくくりつけるのは無法である。一般読者は、これは、北海道から九州の四大島嶼と受け止めるはずであるが、実際は、せいぜいが、「近畿」以西の西日本に過ぎないのである。四国が含まれているかどうかすら、不確かである。
 三世紀の「倭」国は、「倭人伝」にしか書かれていないから、順当に解釈すれば、北部九州にしか当てはまらないのだが、これには、纏向視点の異論があるので、当記事では不確定でしょうというしかない。
 とにかく、何と断言されても、対象地域が不明では、関心も反発もしようがない。

 素人騙しというか、専門家が入念に解説しているが、専門用語、つまり、同業者にしか通じない符牒を、十分説明しないまま、現代日常語とまぜこぜにして書き付けて、読者が(勝手に)誤解するのを想定するのは、詐話的手口であり、全国紙の権威を裏切るものであって、まことに感心しない。ただし、筆者は、産経新聞の購読者でないので「金返せ」とは言えない。

                               未完

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