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2021年11月 1日 (月)

新・私の本棚 新版 塚田 敬章 「魏志倭人伝から見える日本」 2 サイト記事批判 5/16

 塚田敬章 古代史レポート 弥生の興亡 1,第二章、魏志倭人伝の解読、分析
私の見立て ★★★★☆ 必読好著 2020/03/05  記2021/10/28

*「心理的距離」の不審
 但し、氏の言われる『七千余里は、「大体こんな程度ではなかろうか」という大雑把な心理的距離と捕えておけば済みます。』との割り切りは、意味不明です。「心理的距離」というのは、近来登場した「社会的距離」の先プレなのでしょうか。

 それにしても、郡~狗邪は郡官道で、地を這ってでも測量できるのです。とは言え、倭人伝など中国史料で道里は、せいぜい百里単位であり、他区間道里と校正することもないのですが、それでも、魏志で六倍近い間違いが「心理的な事情」で遺されたとは信じがたいのです。中国流の規律を侮ってはなりません。

*第一報の「誇張」~不可侵定説
 私見では、全体道里の万二千里が検証なくして皇帝に報告され、御覧を得たために、以後、「綸言汗の如し」「皇帝無謬」の鉄則で不可侵となり、後続記録が、辻褄合わせしたと見ます。心理的な距離など、関係はないのです。

*御覧原本不可侵
 三国志は、陳寿没後早い時期に完成稿が皇帝の嘉納、御覧を得て帝室書庫に所蔵され、以後不可侵で、改竄など到底あり得ない「痴人の夢」なのです。
 原本を改竄可能なのは、編者范曄が嫡子もろとも斬首の刑にあい、重罪人の著書となった私撰稿本の潜伏在野時代の後漢書でしょう。

*文化遺産継承
 それはさておき、倭人伝道里記事の万二千里あたりは、後漢公文書を根底に書き上げられたので最初に書かれたままに残っているのです。
 陳寿は、魏志を編纂したので創作したのではないのです。公文書史料が存在する場合は、無視も改変もできず、倭人伝道里行程記事という意味では、より重要である所要日数(水陸四十日)を書き加えることによって、不可侵、海底深となっていた「万二千里」を実質上死文化したものと見るのです。

 因みに、正史に編纂に於いて、過去の公文書を考証して先行史料に不合理を発見しても、訂正せずに継承している例があるのです。(班固「漢書」西域伝安息伝に、そのような齟齬の顕著な例が見られます。)

 現代人には納得できないでしょうが、太古以来の史料作法は教養人常識であり、倭人伝を閲読した同時代諸賢から、道里記事の不整合を難詰されてないことから、正史に恥じないものとして承認されたと理解できるのです。後世の裴松之も万二千里を不合理と指摘していないのです。

*「里」「歩」「尺」の鉄壁
 ついでながら、「里」に連なる測量の精度が現実味を帯びるのは、各戸に付与された耕地の測量/検地です。この測量は、耕地に課せられる税額に結びついているので、精度を要求されます。

 基本的に、耕地測量の単位は、「里」の三百分の一である「歩」(ぶ)であり、「歩」は、「尺度」の基本単位であって原器が遺されている固定の「尺」の六倍に固定されているので「歩」は六尺で固定だったのです。固定の「歩」の三百倍の「里」も、「尺」の一千八百倍であって固定だったのです。因みに、ここで言う「歩」は、耕作地の測量単位であって人の歩幅とは連動していないのです。

 どこにも、一時的な「短里」制など介入する余地がありません。耕作地の測量単位が、六分の一や六倍に変われば、帝国の土地制度は壊滅し、全国再検地が必要であり、それは、到底実施できない、暴挙だったのです。
 まして、三国鼎立時代、曹魏がいくら暴挙に挑んでも、東呉と蜀漢は、追従するはずがなかったのです。

                                未完

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