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2021年12月23日 (木)

私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版  8/8

 講談社選書メチエ 1995年7月刊
私の見立て★☆☆☆☆ 見当違いの強弁が空転 2014/05/17 補追 2021/12/23

*両郡調略の知略(承前)
 因みに、両郡調略は、戦後処理において、両郡の東夷管理体制を活用する主旨であり、事後、海上交易に活用可能な大量の兵船造船と相俟って入念な地域振興策構想を思わせます。
 これは、司馬懿が、遼東郡攻撃で、軍功と事後の昇進を掲げて猛攻し、公孫氏だけでなく配下の郡高官まで殲滅して、以後の高句麗等の統御を困難(事実上不可能 )にした武断の愚行とは、明らかに、別系統の遠大な戦略であり、恐らく、明帝と腹心の毋丘儉の合議によるものと思われます。明帝がこれほど早死にしなければ、東夷は、ゆるやかに、両郡の支配下に確保されたものと思われますが、実際は、以後、魏晋朝の東夷戦略は、ひたすら退潮の一途を辿ったのです。つまり、「親魏倭王」は、百年を経ずして「空手形」に帰したのです。

*景初遣使の急迫
 景初時点、そのような帯方郡の宣撫を承けて、「唇亡びて歯寒し」、次は、我が身かとあわてふためいた倭人が急遽遣使したとしても、まことに不思議はないし、魏朝が、宣撫に対する応答として好ましいから、最恵待遇でこれを迎え入れたとしても、むしろ当然の対応と思われるのですが、いかがでしょうか。
 一年遅れて、万事形勢が定まってからの遣使では、むしろ、太公望の宣言ではないですが、「遅れて至るものは斬る」で討伐の対象になりかねないのが歴史のならいです。それにしても、世上の諸兄姉は、倭人が、どんな神がかりで、公孫氏の滅亡を知り、どんな計算で、僅かな手土産で帯方詣でを決意したのか、納得できるお話を提示して戴いたでしょうか。
 素人考えでは、召集されたから、急遽参照したと考えるしかないように思うのです。

 虚心で史料に向かえば、このような推測ができるのですが、著者の目は、先入観で曇ってはいないでしょうか。「過ちては改むるに憚ること勿れ」、とは孔子の言です。まさか、先行する各書籍から、「コピー」「ペースト」して、一丁上がりだったのでしょうか。手頃な情報に飛びついて、「裏」を取らないのでは、著者の報道人としての名声が泣こうというものです。

*講談ネタ謝絶宣言
 それにしても、安直に「講談ネタ」を本件の引き合いに出したのは、誠に学問の道を外れていて、著者への信頼を大きく損なうもので、痛々しいのです。それにしても、一流の出版社には、練達の校正担当者がいて、こうした筋違いの記述にだめ出しするはずなのですが、本書に限っては、記事校正を省略したのでしょうか。

*失われた理念~敗れ去った虚説
 関係者打ち揃って、本書を企画したときに、自らに負託した責務を失念したようです。また、別途付託されたと見える「密命」も、これでは、未達成に終わり、「虚説」として低落し続けているようです。

 それにしても、本項で指摘したのは、倭人伝の史料解釈のつたなさであり、氏の本領では無いのかも知れませんが、聞く相手を選ぶのも器量なのです。
 専門分野別に、執筆を分担するのも醜態を避ける一案です。

*直言宣言
 さて、以上、ずいぶん失礼な言い方だと思われる方もあるでしょうが、当方は、無位無冠無職なので、学会で地位を高めたいという野心もなく功名心もなく、ただひたすらに率直な意見を述べることを趣旨としているので、行きがかり上、無遠慮で手痛い言い回しがあっても、個人攻撃の趣旨は毛頭ないことをご理解いただきたいと思う次第です。

 むしろ、学界の大家と目される方たちには、わざわざ苦言を届けてくれる率直(馬鹿正直)な取り巻きはいないと思うので、意を決して、一連の苦言としての書評の提供を開始した次第です。

                                以上

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