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2021年12月28日 (火)

新・私の本棚 番外 三浦 佑之 『「海の民」の日本神話~』  2/2

「海の民」の日本神話 古代ヤポネシア表通りをゆく(新潮選書) 2021/9/24
Yahooニュース/デイリー新潮 2021/12/28 06:15 配信
私の見立て ★★☆☆☆ 乱調紹介文でぶち壊し      2021/12/28, 31

*「倭人伝」道里記事
 ようやく本来の批判に入りますが、氏の読みは、過去百年余り、誤読者の山を築いてきた「魏使進路説」「直進解読説」を頑固に踏襲し、読み解き失敗が当然です。勝手読みのこじつけも、最初は「創意」の産物というにしても、前例通りの踏襲では、いつまで経っても「誤読」症状は治癒しないのです。

 氏は、前例、つまり、相談相手の意見を踏襲するしかできないようですが、それでも、巧妙に投馬国里程を切り離して、最終目的地を何がかんでも畿内に持っていこうとするのです。課題先送り手法は、今後、はやりそうです。

 氏は、独自の「解」を踏まえて「日本海」論を持ち出しますが、仮に、魏使来訪行程と見ても、狗邪韓国まで安全、安心な内陸行程で到着した上で、数百㌔㌘級の荷物と百人級の人員を抱えているのであり、後は、「日常の交易船として手慣れた「渡海」の繰り返しで、難なく既知の「大海」を越えて、揺るぎない大地を踏まえられる末羅国に着くとわかっている」のに、厖大な重荷を背負って、何の情報も無い前途を思い、頼りない小船で、いつ着くとも知れない試練を経て、魔物の住む(と見える)「海」を越えて、帯方郡の官人すら聞いたこともない山陰海岸に向かう気が知れないのです。因みに、山陰海岸に上陸しても、重荷を抱えて中国山地を越えるとびきりの難路が控えています。

 そのような事態は、倭人伝に一切書かれていないのです。いや、氏は、「倭人伝」が読めないのだから、言っても仕方ないのかも知れません。
 「倭人伝」の「魏使」往路としたいとの頑迷な固執さえ棄てれば、つまり、小舟で少量の荷を運ぶというのであれば、できない船旅ではないのです。

*「魏の使者は日本海側を通った?」
 これは、纏向説の悪足掻きを助ける意図でこじつけられたのでしょうが、無駄な努力と見えます。
 倭人伝道里行程記事の正確な解釈では、伊都国以降とみえる投馬国行程は、参考に過ぎず、実行程は、伊都国で終結しているから、大した勘違いです。
 まあ、聞く人を間違ったのですが、道里行程記事の決算「水行十日、陸行一月」の誤解も、一向に正されず深刻です。百年河清を待つのでしょうか。
 因みに、氏はしきりに「対馬海流」の後押しを言うのでが、巻向に行くのに好都合としても帰途は逆行であり海流の恩恵は重荷に変わります。その程度のことに気づかないとは、説得がむつかしいのです。

*論争の鏡像~情緒的自損発言
 氏は、賢そうに、『「邪馬台国」は、ヤマトに決まっているから九州説論者は、「邪馬台国」誘致など考えずに、古代史論に戻りなさい』と教授いただいていますが、当方の言い分と基本的に同趣旨で感謝します。
 つまり、『「倭人伝」の正確な解釈から出発すると、卑弥呼の居処は九州北部を出ないので、「纏向論」者は、早々に悪足掻きを止めた方がいいよ』と言うものです。
 要は、論理の裏付けのない情緒的発言を繰り返しても、鏡に映った自画像を泣き落としに掛けているようなもので、鏡に映った相手から反射的な反応があって尽きることがないので、論争解決手段として役に立たないのです。

 もちろん、氏が、「とどめの一撃」のつもりで追加されている「邪馬台国が九州にあったとしても、それは畿内、ヤマト(倭)の地へ行ってしまった集団で、そのヤマトによって、筑紫は制圧され、北九州はヤマト王権の重要な拠点の一つに位置づけられてしまったのではないか」という空想譚は、氏の脳内で滔々と響(どよ)めいているものですが、他人の知るところではないので、受け取るものもなく、闇の奥に消えていくだけであり、何の効力もありません。

 以上、ここまであからさまに無法でなければ、面倒な書評などしませんが、Googleニュースで紹介される著名記事は、釘を刺さざるを得ないのです。

 「新潮選書」は、無責任な与太話など刊行しないので、不審に思うものです。
                                以上

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