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2021年12月26日 (日)

倭人伝の散歩道 里数戸数論のまとめ~明解な読解きの試み 改 5/8

                                                               2017/10/29 補追 2021/12/26
*戸数の意義
 それ以外に考慮すべき要素として、女王国の中の女王直轄地たる居処地域が、千戸台の戸数しか備えていないと思われることが挙げられる。
 すでに、政治経済の中心として重要な伊都国の戸数が、少ないことが話題に上っているが、それは、戸数の意義を理解していないからである。
 戸数は、戸籍上のものであり、壮丁の人数、つまり、軍人として召集可能な人数の計算根拠である。
 伊都国のような経済活動区や王都は、まず、農業人口が少なく、また、後世の国家公務員に相当する首都圏居住者は、多くの場合、税務、軍務、役務が免除ないしは軽減されるので、戸数として計上しないことがあるようである。
 論拠は明示できないが、妥当ではないかと見る。

 補追:倭人伝冒頭に「国邑」と書かれているように、対海、一大、末羅、伊都の諸国は、太古の中原諸国のように、王の居処を隔壁が取り囲んでいる聚落「国家」であり、広く領域を確保した「古代国家」ではないと見られる。従って、戸数は、せいぜい千戸台であり、山島、洲島を占めているので、隔壁を持たないとしても、周囲は「大海」で囲まれていることになるから、国の広がりは、言うだけ無意味なのである。(2021/12/26)

*戸数の精度
 三国志全体を検証したわけでないが、諸史の郡国志などに従うと、戸籍制度が徹底した地域の戸数集計は一戸単位の正確さであった
 つまり、帝国の全国を網羅する戸籍が整っていて、戸籍台帳に記載された数値を集計しているから、正確な計数が可能であり、それを正確に集計するから一戸単位なのである。
 戸数、口数は、帝国経営の基本であり、税務、軍務、そして役務の根拠であるから、正確でなければならない。戸籍制度維持、管理は、同じく、国政の基である。決してゆるがせにできないのである。
 従って、戸数計算では、当然、部分の総計が全体となり、倭人伝にあるような、戸籍もない未開の土地の戸数計算の参考にならない。

*倭人伝は概数世界
 このように、魏志の他の部分では、精緻に戸数計算されているから、「三国志全体」を読んだうえで「倭人伝」を読むと誤解しても無理はない。「倭人伝」は、おおざっぱな数が横行する概数世界に適した用語、文体を取っているのである。

 物事を緻密に調べれば調べるほど、真実から遠ざかるという事例もあるのである。  

                                                 未完

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