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2021年12月 9日 (木)

新・私の本棚 早川 清治 季刊 「邪馬台国」 第35号 「里程の謎」 再 14  1/1

14 「魏志」「倭人伝」の方位        早川清治
  私の見立て ★☆☆☆☆ 論考不在、疑問山積         2019/01/29 追記 2020/10/07 補充 2021/12/09

*序論
 本論は、「人は、自身のいる地点での正確な方位を知ることが困難だという非科学的、かつ情緒的で理不尽な見解を読者に押しつけている」ものであり、そのために、倭人伝方位は、時に大きく錯誤しているという説です。さすがに、郡から狗邪韓国までは、郡に既知の行程であったから、その間の方位は正確として、それ以後は、魏使の誤解が連発していたと言うものです。

 そのような理不尽な見解を学問的仮説と言うには、確実な論証が論者のけじめというものです。これでは、論者が合理的な思考ができず、検証努力を怠って、思い付きを言い散らす悪癖の持ち主だと語っている(自嘲している)ことになります。まことに、勿体ないことです。

 なぜ、誰も、自滅的発言をやめるように忠告しないのでしょうか。

*方位混乱説の背景
 要は、氏が倭人伝を解釈したところでは、九州島到着後の行程の方位が、氏が比定した諸国間の方位に合わないとして、そのような無理を唱えるのです。その根拠として、論者は、自身の体験と称して、半ば自罰的に方向音痴を語ったのですが、それが、古代人に通用しないことは自明であるから紙数の無駄です。氏の倭人伝解釈、氏の諸国比定と方位解釈のそれぞれが、適確なものだという検証が抜けていますから、無意味な発言です。
 要は、自分が正しいに決まっているから、陳寿が間違っているに決まっているという論理ですが、勝手なものです。

 古来、現代の素人のうろ覚えの知識や体験をもとに、古代人の錯誤を論ずる例が多々見られますが、それは、現代人のいい加減さを語っているだけであって、古代人の見識を見くびった愚考に過ぎません。現代の読者や聴衆を騙せても、学問の徒は騙せないのです。

 いや、堂々と、「狗邪韓国から末羅国は、東南であって南でない」と頑張っていますが、これは、別の意味で錯誤です。
 倭人伝冒頭で「倭人は帯方郡の東南」としていますが、これは、帯方郡治から倭人の王治を見たとの想定で、八分方位で書いていて、行程に際しては、八分方位で言うほど厳密な方位観が得られないのを想定して、概ね南とか言っているのです。

 又、陸上行程では、追分でどの道を行くべきか指示するもので、後は道なりに進めば良いから、書かれているのは出発点の道しるべに書くような方位でよいのです。

 それぞれの方位には、それ自体の意義と有効性が付いているので、大人は大人の読み方をすべきです。まして、知的な嬰児は、言うまでもないでしょう。そうした解釈を経て、やはり、古代人が方向音痴だったと主張するのなら、それなりの信を置くことができますが、本論の目的は、里程説の解釈であって、古代人の方向音痴の立証ではないのを忘れています。 

 場違いな方位観、綿密すぎる照合・校正は、古代人には無関係で、かたや、魏使随行の専門家集団は、現地の情報提供がなかったとしても、少なくとも、毎宿泊地での(数日どころではない)天測で正確な、つまり、かなりおおざっぱとしても、実用になる程度の確かさを得ていた方位を得ていたでしょうから、論考に書き足されているような時代錯誤の余談は無用なのです。
 それとも、当時の関係者全員が方向音痴で、それが、洛陽の陳寿に伝染したというのでしょうか。大胆な思い付きですが、検証可能でしょうか。

*結論

 当論文を通読して感じるのは、魏志の行程道里を勝手に解釈して展開し、それでは、「実際」、つまり、氏の思い付きである勝手な「比定地」 と「行程道里」に合わないから、辻褄の合うような方位間違いを主張するという本末転倒の展開です。
 このように手ぶらでできる難詰は、言う方だけ気楽な混ぜっ返しに過ぎません。無責任なヤジは厳禁です。

 ここまで出てきたように、それは足に合う靴を探すのでなく、手に触れた靴に足を削って合わせる愚なのです。それでも、自分の足を削っても痛くも痒くもない人は、なんの苦痛もないのでしょうが、一般の人は、身を削る痛みには耐えられないのです。

 そろそろ、勝手読みの行程道里解釈で方位読替えすることに、学問的に意義があるどうか、必要かどうか、まじめな論考を聞きたいものです。

                              この項完

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