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2021年12月 9日 (木)

新・私の本棚 小坂 良彦 季刊 「邪馬台国」 第35号 「里程の謎」 7 新考 1/2

 7 三国志の「里」について 「従」と「方」の読み方 
私の見立て ★★★☆☆疑問山積 2019/01/30 追記 2020/10/07 再訂 2021/01/13 補充 2021/12/09

○全面改定の弁
 初稿では、本論考に関する批判は、議論の隅つつきにとどまっていましたが、以来、「九章算術」などの学習を経て、氏の見解を掘り下げて批判することになったので、ここに全面改定して公開します。

*序論
 タイトルの「読み方」は、漢字の発音問題ではないようです。
 氏は、倭人伝里百㍍弱の短里「定説」化を不当と見て異を唱えましたが、多大な論考の労に拘わらず、当方として同意できないままに終わりました。
 とはいえ、豊穣であった里程論が、十分展開されていないのは残念です。

▢「従」の部~「従郡至倭」談義
 まずは、「従」の字の解釈にこだわっています。氏の提唱する作業仮説は、『「従郡至倭」直後の狗邪韓国までの里程、つまり「従郡至狗」の七千里の起点は、「従」と書く以上、定説の帯方郡でなく帝都洛陽であり、七千里は短里ではない』というものです。

 単なる思い付きで無く、部分的には筋の通った見方にも見えますが、諸史料中に論者を支持する用例が存在しても、倭人伝里程がそう書かれる理由が提示されてないので、世上の諸説を覆す説得力は見いだせないのです。

 倭人伝で「従郡至狗」七千里の終点狗邪韓国は、帯方郡の管理下の行程通過点でした。また、帯方郡は、景初以前は遼東郡傘下であって、皇帝直轄でなかったので、帝都洛陽からの距離を報告する理由が見えないのです。

 加えて、倭人伝里が、短里の六倍の「普通里」では、狗邪~対海|一大~末羅間、「狗対一末」の三度の渡海各千里の説明がつかないのです。

 短里説は、論議を重ねて整合性を得ていて、安易に棄却できないのです。

 また、氏の提言では、洛陽から帯方郡までの経路は不明瞭です。洛陽からの里程が不安定では信頼が置けないのです。公孫氏健在時、帯方郡は遼東郡傘下なので、行程は洛陽~遼東~帯方だったでしょうが、公孫氏滅亡後は、遼東郡経由か、山東半島莱州から渡海するか、不確かなのです。私見では、街道は遼東郡から南下していたと見るのです>少なくとも、正史に「倭人伝」として記録する以上、征氏の郡国誌などに記録されている、遼東郡までの道里が前提であることは言うまでもないと思います。自明、当然なので書いていませんが、「従郡至倭」の起点は、遼東郡発の官道が、帯方郡治に達した地点から始まるのであり、それに続いたと言うことは、半島内陸の郡治から、官道が真一文字に東南方に続いていて、これを行程を重ねて辿ると、「倭」、つまり、「倭人」の王城に至るというのが、以下の道里行程記事の前提と見るのです。

*概念里程の基点
 但し、氏の説から感じとれるように、洛陽から「郡を経て倭に至る」万二千里が、倭の概念的な遠隔観・架空里を定義するものであれば、行程は無関係と思うのですが、同意しきれないと見ます。倭人伝に、「倭」に到達できる航程と所要期間が書かれていなければ、それは、皇帝に上申する以前に却下されるからです。
 ただし、街道道里の基点が、当時東方管理拠点であった遼東郡であれば、難点の大半は解決します。所詮、蕃王は、遼東太守の臣下だったのです。因みに、西域諸国の行程道里は、西域都護治所が起点となっています。
 ということで、まだ検討課題が残っています。

*「従」の幾何学的用法
 因みに当ブログ筆者は、「九章算術」で課題図形の奥行きを「従」で示すことから、ここは、郡の南境から東南方向に直行する行程を示すと見ています。
 氏と異なる視点から、「自郡」でなく「従郡」と書いた意味を求めたのです。僅か、一文字の解釈でも、論議の奥は深いのです。

*小論
 ということで、「従」の「読み方」に関する氏の論考に。深甚の敬意は表しますが、同意はいたしかねます。

                               未完

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