新・私の本棚 季刊 「邪馬台国」 第35号 「里程の謎」 0 序論 2/3
昭和六三年夏号 梓書院 1988年 5月刊
私の見立て ★★★★★ 必読 2019/07/16 補充 2021/12/09
*表2「魏志」「倭人伝」の1里は何メートルか
「魏志倭人伝」の記述 実際の距離(中数) 一里は何㍍か
帯方郡→狗邪韓国 7000余里 630-710km(670km) 96m弱
狗邪韓国→対馬国 1000余里 64-120km(92km) 92m弱
対馬国→壱岐国 1000余里 53-138km(98km) 98m弱
壱岐国→末廬国 1000余里 33- 68km(51km) 51m弱
末廬国→伊都国 500里 32- 47km(40km) 80m
伊都国→奴国 100里 23- 30km(26.5km) 265m
奴国→不弥国 100里 6- 24km(15km) 150m
合計 10700余里 912.5km 93m
これは、記事内の作表を若干加工して引用したものです。念のため補足すると、「合計」は、記述されていません。
率直なところ、数字表記が時代錯誤で古代人には理解不可能だから、史学上の考察に不適当なので、まずは、擬古代式にしてみます。(公里 ㌔㍍ 公尺 ㍍)
*「魏志 倭人伝」の一里は何公尺(㍍)か
区 間 記述里数 推定路程(道のり) 一里の公尺
帯方郡~狗邪韓国 七千里 六百 ~ 七百 公里 九十~百公尺
狗邪韓国~對海国 千里 六十 ~ 百二十公里 六十~百二十公尺
對海国~一大国 千里 五十 ~ 百四十公里 五十~百四十公尺
一大国~末廬国 千里 三十 ~ 七十公里 三十~七十公尺
末廬国~伊都国 五百里 三十 ~ 五十公里 六十~百公尺
伊都国~奴国 百里 二十 ~ 三十公里 二百~三百公尺
奴国~不弥国 百里 五 ~ 二十公里 五十~二百公尺
合計 (無意味) 一万里 八百 ~ 千百公里 九十~百十公尺
*問題点山積
第一歩として、算用数字は、古代史に根本的に無意味なので漢数字で書いて評価すべきです。古代史学のイロハのイですが、不都合に気づかない先覚者に、何も考えずに追随していることが多いのです。
一見、よくわからないのは、古代記法のせいもありますが、元々、幾つかの素性の異なる項が並んでいるからであり、もともと込み入っているのです。
表形式で枠に収まっていたとき明快と感じたのは、結果だけ眺めたからであり、かくの如く図表はごまかしの道具立てにされやすいのです。
全て、嘘と言わないものの演出です。きれいな図表を見たら、ともあれ眉唾です。
古代人が図表なしで文章説明したのだから、現代人も、図表なしに理解し表現できる筈だと思うからです。
改訂表の抹消項目が棄却された理由は、追って説明します。
*概数表記の確認
なお、倭人伝の「余」は、はした切り捨てでなく概数の中心値表示であり、当方は、概数は自明ということで省略すると決めています。
漢数字の良いところは、全て、一の桁まででなく上位の一桁だけが「実」とわかることです。算用数字では、どこまでが「実」で、どこからが、「体裁」なのか、見えないのです。
どちらも、誤解されて議論を曲げている例を散見するので、念押しです。
未完
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