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2021年12月26日 (日)

新・私の本棚 藤井 滋『魏志』倭人伝の科学 『東アジアの古代文化』 改 2/3

     1983年春号(特集「邪馬台国の時代」)    大和書房
 私の見立て ★★★★★ 必読・画期的  2019/03/10 補充2020/03/20 2021/12/26

*数学観の時代錯誤指摘
 さて、続いて展開される「倭人伝」解釈では、遺憾ながら後世や他文明の数学観が過剰に語られ、読者の誤解を誘うと見えます。中国では、後々まで零や多桁計算の思想が備わらなかったため、「原始的」、不正確との誤解を与えます。むしろ、それより、中国古代の精緻な数学を語るべきでした。

*倭人伝の「余」 復誦
 当方が悪戦苦闘した「余」は、藤井氏により難なく展開され、心強くもあり、落胆でもあり複雑です。一介の素人が思い至る概念が、長年の論争で先例が見つからず言及もなかったので、これは独創かと思いかけたのです。
 念のため復誦すると、倭人伝の数字の大半、ほぼ全部に付く「余」は「約」であり、「端数切り捨て」でない概数だから単純に加算できるとの意見です。

*全桁計算の偉業
 全桁計算では、多桁に加え繰り上げが多発し、さすがに「大巾に」手間取ります。と言っても、後漢書で両郡戸数などは一の桁まであり、厖大な統計計算と思わせます。経理計算も一の桁まで計算します。算木の広がりを思わせます。

*はしたの省略
 氏は明言していませんが、「千里」単位の計算で、百里単位は、桁違いと無視できるのです。つまり、里単位で、7000、500と計算したのではないのです。(算用数字はなかったし、小数もなかったのです)

*有効数字の起源
 氏が言う有効数字一桁は算木計算のためです。ただし、氏が、一万二千を有効数字二桁と見るのは、現代人の勘違いで、当時は、あくまで、「一万二千」でなく「十二」千で千の桁にとどまっているのです。

*奇数愛好説の慧眼
 更に言うなら、不確かな元資料による計算で、有効数字が一桁に及ばない1,3,5,7,10,12の飛び飛びの丸め方が見て取れます。
 松本清張氏が、倭人伝の数字に奇数が多いと見てとったのは慧眼であり、実は、有効数字0.5桁と言うべき大まかな概数処理のため、偶数の出番が少なくなったためです。中国人が「奇」数を高貴な数と見たのは、おっしゃるとおりでしょうが、概数が奇数に集まるのは、そのためだけではないのです。
 因みに、「奇」は、本来「奇蹟」に残っているように、尊いものの形容だったのですが、今や、「奇妙」もろとも、誤用の泥沼に沈んでいるのです。
                               未完

 

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