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2021年12月26日 (日)

新・私の本棚 藤井 滋『魏志』倭人伝の科学 『東アジアの古代文化』 改 1/3

    1983年春号(特集「邪馬台国の時代」)    大和書房
 私の見立て ★★★★★ 必読・画期的  2019/03/10 補充2020/03/20 2021/12/26

〇はじめに
 藤井氏の本論は、『東アジアの古代文化』各号影印版(テキストデータ無し)で有料公開の電子版を200円でダウンロード、閲覧できます。

*隠された珠玉の道里論

 倭人伝に書かれた「邪馬壹国」がどこにあったか探るとき、まずは道里論と思います。

 ただし、史料に忠実に議論すると、畿内説が成立しないのが明解なので、畿内派は道里論に正面から取り組まず、決定的議論の困難な誤記、誤解の水掛け論に逃げ込んで、そのため、早々に切りを付けるべき論点が持ち越しの繰り返しで押し入れの肥やしになり、数十年空転しています。

 当方は、別に生活がかかっていないので、正直な意見を以下に述べます。

 なお、自明ながら、里数などの各種数字は、概数です。

*支持者
 邪馬台国の会主催者である安本美典氏は、藤井氏の論考を折に触れ引用し、「邪馬台国」九州説のなかでも、末羅から二千里程度離れた朝倉にあったとする安本氏の「朝倉」説の裏付けとしています。藤井氏の主張が決定的なので、安本氏は賢明にも強弁の上塗りはしません。

*感慨
 当方は、ここまでほぼ独力で、倭人伝諸数字の意義を読解こうとしてきましたが、四十年前の先人を知って、自分の見識が裏付けられてうれしいと思うと共に、これほど明確に論証しても、古代史学界でほとんど顧みられていないことに、正直慄然たる思いになったのです。「ほとんど顧みられていない」と感じるのは、当論文を引用参照した論考がほとんど見られないからです。(安本氏は例外です)

 藤井氏が挑戦的に述べているように、本論は道里論解釈で群を抜いて決定的であり、それ故に、本論で否定されている畿内説支持者が賢明にも論議を避けて風化を図ったと思われます。三十六計逃げるにしかずです。学術的な議論は、論争を経て前進するのですから、議論回避は保守どころが退化なのです。
 これでは、当方の議論も埋没の運命にあるようで、暗澹としてくるのです。

*議論の核心
 それはさておき、本論文の核心部分について、以下批判します。
 藤井氏は、倭人伝の数字から、次の見解を示していると見えます。

  1. これらの数字、道里や戸数の統計値は、概して、有効数字一桁であり、現代的な算用数字の多桁表記は避けねばならない。
  2. これらの数字は、したがって、厳密なものではなく「誤差」をたっぷり含んでいるから、そのように扱わなければならない。
  3. これらの数字に付されている「餘」は、端数切り捨てでなく、「約」に相当する中心値表現である。

*応用数学実践
 以上の見解は、いずれも、工学分野、「応用数学」の概数論に即したものと思われます。当方が学んだ電気工学は、厖大な厳密計算より、端的な実務計算を重んじていて、当方は、電気工学の徒として同感するものです。

 

                                未完

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