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2022年1月13日 (木)

新・私の本棚 田中 秀道 「邪馬台国は存在しなかった」 改 1/3

                勉誠出版 2019年1月刊
 *私の見立て ★☆☆☆☆ 無理解の錯誤が門前払い     2019/12/12 追記 2022/01/13

〇結論
 本書は、本来、不細工なタイトルのせいで読む気はなかったのだが、買わず飛び込む、ならぬ、読まず飛び交うでは、当方の本分に反し、しゃれにならないので、仕方なく買い込んで、一読者として不満を言わしていただくのである。

 自薦文ではないが、氏としては、他分野で赫々たる定評を得ているから、当古代史分野に於いても、旧来の迷妄を正す使命を帯びていると、勝手に降臨したようであるが、随分勘違いしているのである。御再考いただきたい。

 柳の下にドジョウは二匹いないという諺をご存じないのだろうか。別分野で赫々たる名声を得たのは、状況に恵まれた上に好機を得、おそらく、率直な支持者を得たからではないのだろうか。漁場に恵まれれば、凡人でも釣果を得るのである。以下、折角だから頑張って批判させていただく。

*盗泉の水、李下の冠、瓜田の沓
 まず重大な指摘は、本書は、タイトルをパクっていると言うことである。
 著作権商標権などの知財権議論はともかく、本書のタイトルは、古田武彦氏の『「邪馬台国」はなかった』を猿まねしたものであり、一般読者の混同・誤解を期待しているので、商用書籍として恥知らずな盗用だと見る。

*出版社の怠慢
 出版社は、当然、コンプライアンス意識と倫理観を持っているはずだから、このような盗用疑惑の雪(すす)げない不都合なタイトルの書籍を上梓したことは、その道義心を疑わせるものである。「渇しても盗泉の水は飲まず」の気骨は無いのだろうか。

 かくして、本書の社会的生命は地に墜ちたが、其の内容の端緒に触れることにする。

〇内容批判~枕(端緒)のお粗末さ
 本書の冒頭、枕で、氏の所論が説かれているが、氏の古代史見識は、大変お粗末なものと言わざるを得ない。それは、大変粗雑な第一章章題に露呈している。これでは、誰も耳を貸さないだろう。

 曰、『学者はなぜ「邪馬台国」と「卑弥呼」の蔑称を好むのか」
 著者は、自身を学者と自負してか、自身の無理解、無知を、世にあふれる「学者」全員に当てはめるのは無理と思わないのか。自罰は自罰に止めるべきである

 以下の指摘でわかるように、俗に言う独りよがりである。個人的に快感があってもそれを世間に曝すのは自罰行為である。

*無知の傲慢
 以下、周知の史実について、氏は、的確な用語を使用できていない。つまり、歴史認識の不備であり、そのような見識の不備、つまり「欠識」に基づいて書かれた当書籍は、読者に誤解を植え付ける「ジャンク」(ごみ)である。

 例えば、氏は、史書全般を断罪して「伝聞をもとにすべて構成」と書いているが、史官は、常に原資料に基づいて自身の著作を編纂する。史学が「過去に起きた事実を後刻推定する科学」である以上、直接見聞する一次情報で無く、証言、報告や伝聞による間接的な二次情報、ないしは、それ以降の更なる間接的情報に基づくものでしかないことは、もちろん、当然、明白である。氏は、それすら知らずに、反論できない当事者や先人を易々と誹謗して、堂々と快感を覚えているようである。ここでは、口のきけない先人に代わって、素人が、訥々と異議を唱えるしかできないのである。

 史官は、時間や空間を跳躍して、現場に立ち戻る能力は無いから、すべからく、得られた文字情報の正確さを信じて、いや、最善の努力を持って精細に検証して、最終的に、科学的最善を尽くすのである。いや、子供だましの戯言のお付き合いには徒労感がある。もっとも、このようにして、素人に言われて、自身の不明がわかるなら、当然の自省段階で、言われる前にわかるはずである。
 この記事は、燃えさかる山火事に、柄杓(『卑』の原義)一杯の水を注いでいるのかも知れないが、注ぐ前より、幾許かの改善になっていれば幸いである。

                                未完

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