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2022年1月15日 (土)

新・私の本棚 前田 晴人 纒向学研究第7号『「大市」の首長会盟と…』3/4

『「大市」の首長会盟と女王卑弥呼の「共立」』 纒向学研究 第7号 2019年3月刊
私の見立て ★★☆☆☆  墜ちた達人         2022/01/15

*時代錯誤の連鎖
 一.「命名」は、当人の実の親にしか許されない。第三者が、勝手に実名を命名するのは、無法である。
    卑弥呼が実名でないというのは、詭弁である。皇帝に上書するのに、実名を隠すことは許されない。大罪である。
 二.女王の婚姻禁忌は、無意味である。女王候補者は、端から生涯不婚の訓育を受けることになると思う。
    当時の上流家庭は、早婚が当然であるから、そうなる。王族子女となれば、ますます、早婚である。
 三.『「邪馬台国」以外から選抜』と決め付けるのは無意味である。諸国が候補者を上げ総選挙するのであろうか。奇態である。
    となると、「邪馬台国」は、あったのか。持続しない王統では、魏に臣従が許されない。代替わりしたら、前王盟約は反古では、ダメということである。
    当然、各国候補は、厄介な親族のいない、といっても、身分、身元の確かな、つまり、しかるべき出自の未成年に限られる。誰が、身元審査するのだろうか。
 四.「王都」は、「交通の要路に存在する物資集散地」であり、交通路から隔離した僻地に置くのは奇態である。因みに、東夷に「王都」はない。
    氏は、倭人伝冒頭に「国邑」と明記した主旨がわかっていないのではないか。
 五.毎年定時(?時計はあったのか)会盟は無意味である。参上に半年かかろうというのに随行者を引き連れて連年参上は、国力消耗の悪政である。
    女王の生死は予定できないので、交代時、各国は不意打ちで候補者共々参上しなければならない。通常、即日践祚、後日葬礼である。
    ということは、突然の交替を避けるためには、定年を設けるのであろうか。前女王は、どう処分するのだろうか。
    王墓が壮大であれば、突然造成するわけにはいかないから、長期計画で「寿陵」とすることになる。
    回り持ちの女王、回り持ちの女王国で、墓陵はどうするのだろうか。

*不朽の自縄自縛~「共立」錯視
 総じて、氏の所見は、先人の「共立」誤解に、無批判に追従した自縄自縛と思われる。
 「共立」は、古来、精々三頭鼎立で成立していたのである。総選挙など、一笑に付すべきである。陳寿は、倭人を称揚しているので、前座の東夷蛮人と同列とは、不熟者の勘違いである。先例としては、周の暴君厲王放逐後の「共和」による事態収拾の「事例」、成り行きを見るべきである。

 「史記」と「竹書紀年」などに描かれているのは、厲王継嗣の擁立に備えた二公による共同摂政(史記)、あるいは共伯摂政(竹書紀年)である。関東諸公を召集してなどいない。陳寿は、栄えある「共和」記事を念頭に、「共立」と称したのが自然な成り行きではないか。東夷伝用例を拾って棄却するより、有意義な事例を、捜索すべきではないか。

*会盟遺物の幻影
 「会盟」は、各国への文書術浸透が前提であり、「盟約」は、締盟の証しとして、金文に刻されて配布され、原本は、各國王が刻銘してから埋設したと見るものである。となると、纏向に限らず各国で出土しそうなものであるが、「いずれ出るに決まっている」で済んでいるのだろうか。毎年開催なら、会盟録も都度埋設されたはずで、何十と地下に眠っているとは大胆な提言である。

 歴年会盟なら「キャンプ」などと、人によって解釈のバラつく、もともと曖昧なカタカナ語に逃げず、幕舎とでも言ってもらいたいものである。数十国、数百名の幕舎は、盛大な遺跡としていずれ発掘されるのだろうか。もちろん、諸国は、「纏向屋敷」に国人を常駐させ不時の参上に備えるのである。各国王は、継嗣を人質として「纏向屋敷」に常駐させざるを得ないだろう。古来、会盟服従の証しとして常識である。

*金印捜索の後継候補
 かくの如く、「会盟」説を堂々と宣言したので、当分、省庁予算は確保したのだろうか。何しろ、「出るまで掘り続けろ」との遺訓(おしえ)である。お馴染みの「まだ全域のごく一部しか発掘していない」との獅子吼が聞こえる。

*「会盟」考察
 氏に従うと、「会盟」主催者は、古典書を熟読して各国君主を訓育教導し、羊飼いが羊を草原から呼び集めるように「会盟」に参集させ、主従関係を確立していたことになる。つまり、各国君主も、古典書に精通し、主催者を「天子」と見たことになる。かくの如き、壮大な「文化国家」は、持続可能だったのだろうか。

                              未完

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