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2022年4月24日 (日)

新・私の本棚 古田史学論集 25 正木裕 「邪馬台国」が行方不明になった理由

 古代に真実を求めて 古代史の争点 明石書店 2022/3/31 
 私の見立て ★★★☆☆ 課題山積に蓋をした軽率 2022/04/24 

○はじめに
 谷本氏の記事は、まことに手短であるが、倭人伝道里行程記事解釈は、多岐に亘っていて手短に片付けられないはずである。氏は、世上の「総括病」に感染したか、百出議論が挙って「伊都国と奴国の比定」を誤って迷走していると「一刀両断」しているが、「諸説は全部間違い」との断言から始まる世上の勝手論者の手口と同様で、混同されて「損ですよ」と申し上げる。

 諸兄姉は定型文を複製してはいなかろうから、百花斉放の筈である。谷本氏が、全て読み尽くしたなら、後学のために指摘して欲しいが、氏は、ひと息に在庫一掃して「自説」を説く。賛同者は多くても、まとめて「自説」と見る。因みに、当ブログの議論は氏の決め付けと無縁と信じる。
 以下、倭人伝道里記事解釈に続くが、古田氏流「短里説」は控え目である。「短里」は自明であり、頑迷な「短里」否定論は、我田引水風の独善に過ぎず、殊更強調する必要はない。これで、纏向説は場外である。

*「方里」論の不首尾
 倭人伝の「方四百里」を、氏は古田氏追随で、一辺四百(道)里の方形と見なす。しかし、この書法は東夷伝独自であり、古来の「道里」と整合しない。史官は、典拠ある書式、語法を遵守するので、説明無しに「方里」を「道里」とするのは史官落第である。思うに、「方里」は「道里」と異次元である。
 方形一辺が十倍なら面積は百倍で、桁の違う韓国と對海国の面積比較が困難で当を得ないと見るのである。冷静に読みなおして欲しいものである。

*「島巡り」の不備
 氏は、狗邪韓国から倭に至る途上の渡海道里の對海国に、一辺四百里の二倍を足す「道里」表現とするが、魏志読者には思いもよらないことだろう。
 千里単位の概数で限定件数の「道里」は計算できるが、百里単位の端(はした)を埋め込まれては、解読に「労苦」を要する。陳寿ほどの史官が、魏志末尾の辺境蕃夷記事に、些事の「労苦」を持ち込むだろうか。
 渡海千里は、実「道里」でなく国間千里に全て込みが常識と思える。

*「戸」の話
 東夷伝で、国土を「方何千里」と書いた高句麗、韓の両大国は、地形、地勢の制約で、中原基準の耕作地整備が至難なため、土地台帳から畝単位の農地面積を集計し、「戸」で把握困難な国力を表現したと見える。

 古来、「戸」は農地割当単位で、戸内の男子が牛犂、牛鍬を用いて耕す前提で、農地面積に基づく収穫量計算の要件であるが、東夷は、中原社会と家族制度が異なる上に牛耕に適した平坦地か不明である。郡太守(公孫氏)は皇帝に戸数を報告しつつ「方里」を試行したと見える。倭人は牛耕なしの人力頼りで「戸」の意義が不確かであるが、魏志に地理志がないので不明である。

*まとめ~「方里」再確認
 拙論では、「方里」は一辺一里の方形面積であり、耕作地を集計したものと見る。これは「九章算経」読者の理解を得られるのである。

 いや、些末に巻き込まれたが、一番明解な論議は、『「方里」は、土地面積の単位で、「道里」とは「単位次元」が違うので混同してはならない』で決まりであり、以下蛇足である。論議は、明解第一と再確認した次第である。

 本論では、「南至邪馬壹国 都水行十日 陸行一月」の解釈が月並みで失望したが、ここでは論じない。

                                以上

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