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2022年5月21日 (土)

新・私の本棚 季刊「邪馬台国」第141号 巻頭言「隔てる海、つなげる海」 改訂

 編集部      梓書房 2022/1/4刊       初稿 2022/03/24 二稿  2022/05/21
私の見立て ★☆☆☆☆ 認識不足、早合点
 
〇はじめに~巻頭言の不勉強
 今回の題材は「巻頭言」であり、言わば、世間話で本号の「つかみ」としているのだろうが、見当違いの発言を正していこうというものである。

◯引用紹介と提言
 冒頭に、「富山県が平成6年に発表して以来、話題を集めた、南北を逆さまにして大陸から日本を見た地図である。この地図は、『(1)中国、ロシア等の対岸諸国に対し、日本の重心が富山県沖の日本海にあることを強調する、(2)本県(注・富山県)が本州の日本海側の中央に位置し、環日本海交流の拠点づくりを進めていることを国内にPRする』という目的で作成された」と「逆さ地図」が紹介されている。二重引用部の出典不明。
 参考 環日本海・東アジア諸国図(通称:逆さ地図)の掲載許可、販売について 
 現代の感覚では、海路は最も時間のかかるイメージであるが、古来においてはまさに「ハウェイ」(ママ)であった。車も電車も、ましてや新幹線もない陸路では、運べる荷物の量も限られ、移動スピードも海路には格段に劣っていた。それだけ「海でつながっている」ということは、地域にとっての強みであり、海路は交易の主役だったのだ。古代の人々にとっては、海とは「隔てる」ものではなく、「つなげる」ものだったのではないだろうか。

◯コメント~引用資料の時制混乱/錯誤
 氏は、富山県の著作物を口頭で紹介した上で、第三者著作物を踏み台として、自己主張しているのは、感心しない。編集子は、「最も時間のかかるイメージ」などの混乱した感覚をまき散らして、理解困難で勝手に論調を仮想してみた。

 冒頭紹介の富山県提案が、古来、日本海中部に対岸と連携する輸送交通路「航路」が形成されていたとの主旨と仮定すると、本誌守備範囲の紀元二~四世紀の時代背景で、そのような「航路」は、不可能そのものである。また、それを証する出土遺跡、遺物もないはずである。
 ただし、よくよく見ると、富山県は、明らかに「古代幻想」不関与で、引き合いに出されて大迷惑と見た。大破綻である。

*救済不可能な破綻/「海路」の時代錯誤
 編集子提示の「海路」は、出典不明の後世語で、当時、「海路」概念は一切存在せず、実体がないので評価不可能。時に見かける時代錯誤である。従って、倭人伝に「海路」なる用語はなく、当時存在したのは、対馬海峡渡海船だけである。従って、比較検討は無意味である。繰り返すと、当時、「海路」は全く存在しない上に、陸上「公道」(正解は「ハイウェイ」)は未整備で比較不成立である。

 なにしろ、編集子提言は、時代像非開示で、誠に不用意である。スピード比較を言うが、根拠不明では、検証不可能である。

 日本海中央部に輸送に値する荷物は存在しなかったと思われ、提言いただいた輸送手段は成立しないから、比較は、一段と無意味である。

*空転、空疎な提言
 してみると、両者が「海水でつながっている」と逃げずに、いつ交通可能になったか提示すべきであり、同時代外ならここに展開すべきものではない。

◯結論 苦言進上
 本誌巻頭言は、実際上編集長の執筆だろうが、編集長無謬ではないから、玉稿といえども校閲の上で掲載すべきではないだろうか。
 編集諸兄姉の顧客は、読者の筈である。雑誌の令名に恥じない巻頭言を掲載していただきたいものである。

                                以上

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