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2022年6月

2022年6月23日 (木)

今日の躓き石 MLBのなれ合い体質反映か NHKBS1の「友好的」発言

                     2022/06/23

 本日の題材は、NHK BS1のメジャーリーグ中継である。現地からの勝利投手インタビューで、「友好的」という発言が、NHK側からあって、ぎょっとした。

 周知のように、先日、本日の勝利投手が、9回に、相手チーム投手のノーヒットノーランを、偉業達成目前にぶち壊した打撃に対して、ネット上で、「思いやりに欠けた、非友好的な行為」と非難が出ていたのと関連しているように聞こえたのである。

 言うまでもなく、私情で手心を加えて、プレーに最善を尽くさないのは、「八百長」につながる敗退行為として厳重に禁止されているし、そのようななれ合いを、スポーツマンとして、プロフェッショナルとして、最も恥ずべき行為として排斥することは、メジャーリーグを含めたプロ競技の接待的、いや絶対的な規範である。(カナ入力誤変換ごめん)
 それが、現地メディアの一部では無視されているのかと、古手のファンは、しろうと、野次馬の無責任な無神経さを歎いているのである。

 まさか、正しかるべき公共放送が、忌まわしい「敗退主義」風潮に汚染されているとは思わなかった。

 今回のような失言は、希に、MLBだけでなく、NPB中継放送の一部解説者の口から漏れることはあるが、NHKの専門職(現地プロデューサーか)から、そのような途方も無い失言が出るとは、まことに情けないと思う。当人は、気軽に言い飛ばしているつもりでも、みんな、ちゃんと聞き取っているのである。

以上

追記:同日夜の「ワース?XMLB」で、キャスターが「友好的」と怒鳴るのを聞いて、げっそりしたのである。
 キャスターは、NHKの言葉を守る「規律」はないのか、NHK自体に「規律」がないのか、いずれにしても、「受信料返せ」である。

 大体、番組タイトルにけったいな名付けをしているのに、視聴者が聞き取れないように末尾を端折る/呑み込む「芸風」にも疑問がある。普通の視聴者にとっては、「ワース?」の有力候補は、「ワースト」である。そうでなく、不出来で耳慣れない「ワースポ」を押しつけたいなら、ちゃんと「ポ」が聞き取れるように発音すべきである。発音の明瞭さは、しゃべくり一本で喰っていくこの稼業の基礎の基礎ではないのだろうか。
 いや、キャスターは、アナウンサーでないので、発音不明瞭でもやっていけるのだろうか。「友好的」事件も、このあたりの子供じみた態度の一環かと思うのである。

 NHKは、正しい言葉の護り人であって欲しいと願って、受信料を払っているのである。

以上

2022年6月19日 (日)

新・私の本棚 松井 宏員「わが町にも歴史あり・知られざる大阪」 577

 東高野街道 68 柏原~羽曳野市 飛鳥、渡来人の安住地か 2022/06/18

◯はじめに 
 今回の題材は、毎日新聞の連載コラムであるが、古代史に入り込んでから、トンデモ記事連発なので、世間に誤解を広げるのを放置もできず、口を挟んでいるのである。と言っても、何しろ、当ブログは、有料購読者ゼロであるから、影響力は極めて限定されている(皆目無い)。

*指摘
 今回の記事は、以下引用する書き出しで大きく躓くが、ご当人は意に介していないようである。
 1973年発行の「柏原市史」を見ていたら、平城京と中国・唐の長安とを比べて、長安への関門・函谷関を竜田道の難所・亀の瀬に、黄河を大和川の瀑布(ばくふ)と激流になぞらえていた。ちょっと言い過ぎじゃないかと思うが、都へ入るには険阻な場所を越えねばならないという点では、共通するかもしれない。
 さて、羽曳野市の地図を眺めていて、おやっと思った。「飛鳥」という地名があるのだ。市の南端、太子町との境に。飛鳥は奈良の専売特許だと思っていたが……

 いきなり、とんだ偽(にせ)情報(fake news)であるが、「柏原市史」の誤報と言いきれずこのまま指摘する。それにしても、普通のなぞらえ談義と並べ唱える順序が前後逆で、まことに珍妙である。ここは、冗談めかして「言い過ぎ」と褒めている場合ではない。

 唐の長安は、黄河流域と言っても支流の渭水沿いで、有名な壺口瀑布は、本流のかなり上流である。とんだ見当違いである。それにしても、大和川に瀑布も激流も無いと思うのだが、勘違いだろうか。
 こうした混乱した偽情報・風評を、堂々と紙上で公言するのは、全国紙記者の筆と思えない。(編集部は校閲しないのだろうか)

 ちなみに、「専売特許」は、死語の上に当て外れである。「登録商標」と言うべきであるが、それにしても、著名な地名は、商標にできない。記者は、まるで昭和時代の記者言葉の博物館である。
 こうして見ると、随分、全国紙も墜ちたものである。記者は、羽曳野市を特許侵害と誹謗する前に、なぜ安村俊史館長に相談しなかったのだろうか。とんだ茶番で、大滑りである。

 以下の記事は、偽情報の一環と見ざるを得ない。困ったものである。

                                以上

2022年6月18日 (土)

新・私の本棚 サイト記事批判 播田 安弘 「現代人でも至難の業! 卑弥呼の船はなぜ大陸から帰れたのか」 1/1

                                2022/06/18
 「日本史サイエンス〈弐〉邪馬台国 ・中略・ の謎を解く」紹介記事
  「現代人でも至難の業! 卑弥呼の船はなぜ大陸から帰れたのか」 2022/06/17

◯はじめに
 当記事は、サイト記事タイトル批判である。余りにできが悪いので門前払いである。トンデモ本風のしつらえで読者を遠ざけているが、この一章だけで排斥されるわけでもない。

*概評
 タイトルとして、意味不明の言葉が並んでいる。まるで、異星のメッセージである。一応疑問文だが、なぜ、何を問い掛けているのかわからない。ものの役に立っていない。

 「現代人でも至難の業!」と言うが、何しろ、現代人に利用できる移動手段は豊富で、地球上のどこからだって、大抵は生きて還れる。
 そんなとんでもないホラ話でなくて、手漕ぎ船の体力勝負の話しとして、「現代人」を四十五歳程度の成人男性とすると、運動不足、肥満気味で力仕事に不向きであるうえに、夜更かし朝寝坊のアルコール依存症ときたら、この際のものの役に立たない。「現代人でも」と言う意味がわからない。古代の専門的/職業的な漕ぎ手集団と柔弱な「ド素人」がまともに体力勝負できるはずがない。

 「卑弥呼の船」と言うが、女王の船会社経営記録はなく意味不明である。後世、山東半島海港に高句麗館、新羅館の倉庫や船溜まりがあったと思われるが、遥か以前「倭館」があったと思えない。飛んだ夢物語である。いや、対海/対馬から渡海した半島の狗邪には、堂々たる「倭館」があったろうし、そこが、倭の北の国境とされていたと思うが、それは別の話である。

 「大陸」からと物々しいが、帯方郡以遠だけに限っても、遣魏使の便船山東半島往来は楽勝である。
 渡船は、基本的に身軽な渡し舟であり、甲板も船倉もない吹きさらしである。大抵は、朝立ちでひたすら漕ぎ急いで、午後、できるだけ早くに入港して、それで一丁上がりである。漕ぎ手は、船を下りて非番になり、追って母港に折り返す手慣れた往還でうまい飯が食えるから良い稼ぎ場である。かたや、旅人は次に進む。
 北九州から半島南岸の狗邪までは、水平線に見える山影が確かな目標で、また、日常、小船で難なく往来しているから、「きょうも無事」に何の不思議もない。海を渡る以上、何も危険が無いとは言えないが、日常的な渡海を怖れるわけもなく、大抵何の事件もないから、往き来が続いたのである。飛び石状の寄港地を、適宜、その場に応じた便船と漕ぎ手で乗り継いでいくから、当然の日常事であり、曲芸でも冒険でもなかったのである。
 何しろ、漕ぎ手不足で乗り切れないような体制では商売にならないから、ちゃんと確かな人数、技量、体力を確保していたのである。「現代人」には、とても「できない」だろうが、当時は、「できる」人材を募って運行したのである。ダメモトの冒険航海などとは、出来が違うのである。
 東京で言えば、葛飾柴又から出ている「矢切の渡し」は、絶対危険がないとは言い切れないが、大昔から往き来している。言うまでもないと思うが、文明開化以前は、貧乏人が小銭で乗れる格安の船賃であり、まして、手漕ぎだったのである。(因みに、さむらい(士)は、公務扱いで、船賃無料だった)
 言う迄も無いが、難なく生きて還れると信じていたから、大夫なる高官二名が、貴重な手土産を携えて出かけたのである。
 世間には、帯方郡まで延々と漕ぎ船で赴いたと信じ込んでいる(いや、遥か河水(黄河)河口部の泥の海に乗りつけると称する) トンデモ本があって、それに追従しているのかも知れないが、古代人には、深い知恵があって、安全、確実(迅速)な陸路が確立されているのに、それこそ、海難必至(そして、必死)の長期の船旅などしないのである。

 と言うことで、なぜ、この場で絶叫するのかわからない。店頭の立ち読みだったら、書棚に戻して、ハイさようならである。同書の他の議題も推して知るべしとなる。随分、自罰的な売り込みである。

 いや、このタイトルを見る限り、氏は、古代史の知識が皆無で、世間にあるトンデモ卑弥呼本を読み囓って、売り物をでっち上げたように見える。でなければ、「邪馬台国の謎」が何であるか、悟っていたはずである。出かけていった船が帰ってきたのが不思議で、世間が騒いでいるのではないのである。
 誰か、古代史に詳しくて、苦言を呈してくれる先輩か友達かがいたら、これほど、無残なタイトル付けはしなかったと思うのである。もったいない話である。

 当記事は、数回連載で、書籍の内容を掻い摘まんでいるように見えるが、タイトルが不出来では、サイト記事すら読んでもらえない。

*まとめ

 新機軸でない陳腐な言い立てを捨て、先行トンデモ本の失敗を踏まえ改善すべきである。思い付きをがなり立てて売れてもゴミ箱を賑わすだけである。

                               以上

2022年6月 6日 (月)

今日の躓き石 毎日新聞が賛美する「屈辱の歴史」 サッカーの対ブラジル対戦 「国辱」ものの見出し

                        2022/06/06
 今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊14版のスポーツ面、「サッカー日本代表 きょうブラジル戦」と銘打った下馬評であるが、「屈辱の歴史に終止符を」と檄を飛ばしているが、当の代表にとって、何が「屈辱の歴史」か、選手達は、過去12戦全部に出場したわけでもないので、感じ取れないのではないか。「終止符を」撃てと言われても、誰がそんなに偉そうなことを言うのか、不思議に思っているはずである。
 要は、見当違いの「ボケ見出し」である。天下の毎日新聞にしては、随分不出来な見出しである。

 と言うと、記事本体も、時代物の屈辱、雪辱ものかと思うのだが、実際は、対戦経験者の談話も含めて、勝って当然のつまらない相手に負け続けている、とでも云うような時代錯誤の発言はないのである。もちろん、強い相手と闘って負けるのは、恥でもなんでもない。まして、「国辱」ではない。いわば、「カナリア軍団」にとって、日本チームは周回遅れであり、別に、立つはだかっていたわけでもないのである。
 自尊心は、場違いなところで示すべきではない。

 読み進めていくと、担当記者は、適確に記事をまとめていると見える。これまで強化してきた、「攻守の切り替えの速さ」とこれまで以上の頑強な守りを組み合わせて闘えば、十分勝機はあるという主旨であり、大人の姿勢であり安心できると一旦納得させる。

 いや、記事末に、署名記者が、どんでん返しで、突如、つまらない総括を付け足していて、そこで、気分が地に墜ち、泥にまみれるのだが、読者が感じる感慨と無関係な「ごみコメント」を感じるのが、記者の感性だとしたら、つけるクスリは無いのかも知れない。躓き石ならぬ、落とし穴である。金返せである。まして、見出しに取り出すのは、自爆である。このように、自国代表チームを侮辱して、勝つためには手段を選ばない状態に追い込むのは、全国紙のスポーツ面担当記者の「報道」の姿勢として、大変な愚策ではないだろうか。

 見出しは、本文の要約を示して、読者に「食欲」をわかせる「料理見本」の筈なのだが、今回は、記者のお粗末な感性が丸出しのとんだごみ見出しで、心ある読者が引いてしまうのである。天下の毎日新聞にしては、大変な失敗作である。それにしても、編集部門で、誰も、ダメ出ししなかったのが不思議である。担当記者を配置換えした方が良いのでは無いか。

以上 

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