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2022年6月26日 (日)

新・私の本棚 ネット記事「現代人でも至難の業! 卑弥呼の船はなぜ大陸から帰れたのか」 2/4

 「逆転の発想」から見えてくる邪馬台国  播田 安弘
日本史サイエンス〈弐〉邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦の謎を解く 講談社 ブルーバックス

*承前
 「海に出るにはかなりの危険」と乱調で、一見して不出来な船が濫造される筈はありません。近畿地方遺物の船が玄界灘に居たとは思えません。瀬戸内の船は海峡を越えないのが氏の所見のようですが、乱文です。

現代人による実験航海
(1)野性号プロジェクト
 実験航海と方向が逆です。筑紫を発して対馬海峡を乗り越えた後、半島南岸を西に行き、西岸を北に上って、実験航海としたのです。
 冒険としての評価が、的外れではないでしょうか。先駆者の偉業に対しては、部分的な失敗は失敗として、全体的な「総括」を贈るべきでしょう。
(2)なみはやプロジェクト
 大阪から韓国の釜山まで約700kmの航海実験を計画。
 単なる「計画」倒れだったのでしょうか。意味不明の参照です。
(3)山陰の丸木舟プロジェクト
 釜山から対馬海峡横断に挑戦。
 対馬海峡北岸の韓国に、丸木刳舟しかなかったとは、独善です。
(4)「海王」実験航海
 しかし技術面から評価すると、船の知識があまりない人がほとんどで、埴輪や線刻画を見たままで……建造した例も多いようです。
 「冒険」の目的は経常的経路の検証であり、無理矢理押し通す冒険ではありません。先人が、熱意だけで、無謀無知と決め付けるのは、失礼です。
 本件は、明らかに瀬戸内海の各地寄港であり、対馬海峡越えでなく日本海漂流でもありません。見当違いです。

 四例を「多い」とは不審です。これは「サイエンス」ではありません。

 綿密な検証……を行わなかったために、……問題が山積してしまいました。現代人がつくった船でさえ、そうだったのです。

 無知な現代人は失敗できても、当時、失敗即難破沈没です。不勉強な後世人に古代人を貶める権利はありません。現代に木造船船大工は存在しません。それにしても、先人の偉業を貶めて、何がうれしいのでしょうか。

航海には「生贄」を乗せていた
 卑弥呼の時代にも、成功と失敗が……積み重ねられていき、ついには大陸への航海が可能になったのでしょう……「持衰(じさい)」とする習慣があったことが『魏志倭人伝』に記されています。

 意味不明です。「持衰」は、航海に先立って血祭りで献げられる「生贄」ではありません。

 持衰は航海のあいだ……謹慎させられ……航海が無事に終われば、褒美を与えられます。……失敗すれば、……生贄として殺されるのです。

 どうも、深刻な誤解があるようですが、持衰は、強制的に謹慎させられているのではなく、聖職者として、身を慎んでいるのです。
 それにしても、話題は、卑近な半島渡海でなく、正体不明の中国直行の話です。要は、風聞ですらなく、信ずるに足りないホラ話の可能性が濃厚です。対馬から半島は、ほんの半日の渡し舟であり大層な神頼みはいりません。渡し舟に持衰の小屋を乗せたら、客の乗る場所がありません。つじつまが合わないことばかりですが、この記事は、そういう位置付けで書かれているのです。

 毎度の訂正ですが、当時「航海」という言葉はありません。ちゃんと、史料原文に密着した解釈から出発すべきです。もっとも、難破すれば命を落とすのは、別に、古代だけではありません。

 それでも卑弥呼は大陸に船を出しつづけました。リスクを冒してもやらなければならないという強い意志を感じざるをえません。

 新造船して養成した乗員を乗せ、それが、次々海のモズク、ならぬ藻屑になっても、平然とチャレンジを続けるとは、あり得ないことです。神がかりの君主が失態を重ねれば、更迭、馘首が鉄則です。もっとも、卑弥呼は、そうした独裁君主などではなかったのですから。話全体が見当違いです。そんな途方もないホラ話は、倭人伝のどこにも書かれていません。史料無視も、ほどほどにしてほしいものです。

 現代人が、神がかりも無しに、二千年前のレジェンドの「意志」を感じ取るとは不可解です。もちろん、当時「リスク」などという言葉はありませんでした。全体として、まことに時代錯誤です。
 但し、いくらとんでもないことを書いても、馘首、生贄にはならないので、卑弥呼ボラ話著者稼業は、気楽なものでしょう。
                                未完

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