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2022年9月24日 (土)

倭人伝の散歩道 番外 纏向 「驚き桃の木」の 毎日新聞古代史報道 2018 補充再掲

私の見立て★☆☆☆☆                  2018/05/14 補充 2022/09/24

◯旧聞紹介のお詫び 
 今回やり玉に挙げるのは、2018年の毎日新聞大阪夕刊一面の古代史記事である。当時、いち早く批判したのだが、他の全国紙の報道姿勢と比較検証できていなかったので、ここに改めて、公正に批判することにした。

▢「驚き桃の木」2018/05/14
 「驚き桃の木」とは、「纏向で卑弥呼時代の種」と断定的な大見出しを付けているからである。
 卑弥呼時代のモモの種 邪馬台国、強まる畿内説
 ニュースソースは、桜井市纒向学研究センターの研究紀要とのことだが、同センターのサイトに発行の告知はないし、当然、公開されていなくて、どこまでが発表内容であって、どこからが記者の私見なのか内容確認のしようがない。

 
通常、このような大発表は、各社担当記者を集めて、「プレスレリース」なる概要資料を配り、それに基づき記者会見と質疑応答をするものだと思うのであるが、「プレスレリース」は、発表されていないように見える。古代史学界の報道対応は、どうなっているのだろうか。

*2018/05/16追記 補充 2022/09/24

研究紀要の刊行案内が掲示されたので、ここに紹介する。相変わらず、意味なく右クリック禁止なので、メニューから「コピー」した。
目次紹介も何もないので、内容は一切不明のままである。

2018年3月刊ものが今公表された理由もわからない。
-----引用
***纒向学研究 第6号 2018年3月刊
桜井市纒向学研究センターでは、センターで行われた研究の成果を広く学会や社会に発信するために研究紀要を刊行しています。
第6号となる本号には、所員1名のほか、外部研究者6名の方々に寄稿いただいた、「纒向学」に関わる研究・分析の成果をまとめた論文などが収録されています。
1部 1000円。(公財)桜井市文化財協会(桜井市芝58-2 市立埋蔵文化財センター内 TEL 0744-42-6005)にて頒布しています。
---引用完

 仕方ないので、ライバル朝日新聞、日経新聞のサイト記事と比較せざるを得ない。
 毎日新聞
 見出し 卑弥呼時代のモモの種 邪馬台国、強まる畿内説 (ネット)
     纏向で卑弥呼時代の種 畿内説更に強まる (紙面)
 まとめ 今回の分析は、遺跡が邪馬台国の重要拠点だったとする「畿内説」を強める画期的な研究成果といえる。
 おまけが、解説欄である。
 解説 所在地論争終熄間近
 まとめ 近畿か九州かという所在地論争は終熄に近づいていると言っていい。

 どなたが、このような厳めしいご託宣を下されたかというと、山成孝治なる署名記者だが、どんな資格で仕切っているのかは、書かれていない。「卑弥呼時代」などと、新規造語を曝け出していて不自然である。天下の毎日新聞記者は、何を書いても批判されない神のごとき叡知の持ち主と自画自賛しているのではないか。このような低劣な記事が誌面を汚しているということは、編集部門内で、ダメ出ししなかったことを示しているのは、情けない限りである。

 
正直、このような、不勉強で子供じみたご託宣を見せられるくらいなら、宅配読者としては、相当分白紙紙面の方が、まだましである。

 また、論争は、双方が納得して初めて終熄(収束?)するのであり、一方の陣営が何か発表しても、他方の反論を見ないままに、新聞社が意見を固めていいわけではないのは、衆知のことである。
 因みに、朝日新聞、日経新聞の記事は、以下のように、賢明にも一方的な決めつけを避けている。賢明というが、全国紙として当然の態度である。

 あるいは、参照困難なので割愛したが、産経新聞紙記事では、次のように異論を明示している。
高島忠平・佐賀女子短期大学名誉教授(考古学)は「遺跡の年代を示す複数の資料がないと確実性が高いとはいえず、桃の種だけでは参考にしかならない。もし年代が正しいと仮定しても、卑弥呼とのつながりを示す根拠にはならず、邪馬台国論争とは別の話」と反論している。

報道は、特定の機関の「提灯持ち」に耽らず、冷静に、公平に。報道の姿勢は、かくありたいものである。

 朝日新聞
 見出し 卑弥呼の世の?桃の種か 纒向遺跡で出土、年代測定
 まとめ 『今回の分析結果は所在地論争に影響を与えそうだ。』と評している。
  古代史学の「イロハ」として、遺物、遺跡から打ち出される考古学的な見解と史書の文献解釈から来る意見は、付き合わせるべきではない、ということがある。

 まとめ 発表内容を紹介した後、『邪馬台国畿内説に立つ専門家からは「卑弥呼の居館では」との声も出ている。』と、言わずもがなの「風評」を付け足している。

 今回の記事で言うと、毎日新聞は、学術的に書かれているはずの「紀要」が断言していないと思われる事項を、記者の個人的な偏見に基づいて、勝手に断定していて、まことに不穏当/不謹慎である。特に、毎日新聞文化面の「解説」欄は、記者の私見書き放題の感があり、何とも、もったいないのである。
 「紀要」が表明しているのは、桃の種の時代鑑定のはずであり、それが、遺跡の時代鑑定に連動して良いかどうかは、まだ、疑問の余地が残されているはずである。

 まして、古代史文献「倭人伝」に書かれている「卑弥呼」の時代について考えると、CE135ー230年とされた時代が、卑弥呼の存命中の時代なのかどうか、明記されていないから、不確定としか言いようがない。
 CE135であれば、後漢朝が、まだまだ元気だった順帝の時代であり、倭国が乱れたとされる桓帝、霊帝代以降の後漢代末期に比して、遙か以前である。卑弥呼は、影も形もない頃であることは間違いない。
 そうでなくても、考古学上の年代判定は、50年程度の前後は、当然想定済みなのである。「年月」が書かれていない遺物からは、推定しかできないのであり、今回のC14鑑定も、最後は、鑑定者の手加減、さじ加減、親の欲目で、大きくずれ兼ねないのである。
 ここで言うように、中国史書に書かれた「卑弥呼」の住まいが、どこにあったかという決定的な議論に辿り着くには、解決すべき課題が、幾重にも、幾方向にも山積しているのは衆知、自明である。簡単に結論に飛びつくのは、不勉強な半素人である。

 もし、センターが、今回の鑑定結果が、年代論に終止符を打つとか、所在地論争を終熄
(収束?)させる、などと書いていたら、それは、国費、公費で成立している学術研究団体として自滅行為である。
 と言うことで、「解説」は、毎日新聞(記者)の独断・暴走と思われる。
 それにひきかえ、朝日新聞と日経新聞は、当然ながら、メディアの分を堅持していて、見事である。
 ただし、朝日新聞も、無造作に『邪馬台国は中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」に記録され、その時代は卑弥呼が倭(日本)王に共立され、死去するまでの2世紀末~3世紀前半とされる。』と書いているのは、全国紙にしては低次元の誤解表現である。
    1. 邪馬台国は、魏志には書かれていない。
      文献(魏志)に「邪馬壹国」と書かれていることに異論はない。
    2. 邪馬台国の時代は書かれていない。
      文献(魏志)に 卑弥呼の死去時期(三世紀前半)は書かれているが、共立時期は明確ではない。
    3. 「魏志倭人伝」という「中国の歴史書」はない。
      魏志(魏書)第三十巻の一部であって、独立した「書」ではない
      ことに異論はない。
    4. 三世紀当時に「日本」はなかった。
      日本が八世紀冒頭に誕生した
      ことに正当な異論はない。
    5. 「その時代」は不明である。
      「その国」がいつ始まったか、いつ終わったか、文献(魏志)には一切書かれていない。
      この誤解は誠に独創的であるが、正当な「新説」ではない。
  このように、質の悪い誤解を蔓延させているのは情けないのである。

以上

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