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2022年12月 4日 (日)

新・私の本棚 ブログ記事批判 刮目天一「邪馬台国問題で短里説はこじつけだ」 改改 3/5

                     2019/12/06 補充 2021/02/13 2022/12/04
〇倭人伝道里解釈論の試み
 さて、以上のように、大前提を見定めた上で、目前の倭人伝道里を語らねばならないと思い、自説をぶっていくので、みなさん御覚悟ください。

*原則と例外
 端的に言うと、秦漢代以来の歴代官制で、行程道里の一里は今日の四百五十㍍程度の「普通里」で、尺からの換算、一歩六尺、一里三百歩は、一貫して不変という明解な大原則がありながら、倭人伝道里が「素人目に」不条理に書き残されたかのように見えるということです。しかし、史官が、公式史書に不条理や無法を書くはずがありません。また、同時代の読者が、許容するはずはありません。

 ここで、当方は、倭人伝は、正統派の史官である陳寿が、魏朝に残されていた倭人に関する基本資料を、どうして、現在ある形で収録したか、陳寿の視点に近づいて、理解しようとしなければならないと言う主張なのです。

*同時代史料確認
 とは言え、世に蔓延している頑固な俗説を洗い流すのは、容易ではありません。学界の権威者長老が、いわば、「無面目派」混沌愛好会に属しているから、心ある論者は、健全な世論を回復すべく、辛抱強く丁寧に努力しています。

 要は、「倭人伝」記事を、理詰めで解釈すると、「畿内説」は成立しないので、倭人伝の理詰めの解釈ができないように、「フェイク」情報をばらまいているのではないかと疑っているのです。議論して勝てないときは、泥沼に誘う込んで、ドロレスリングにしろ、と言うのが、混沌愛好会の得意技なのです。

 「倭人伝」道里における「こじつけ」は、前世紀に、錚錚たる大家によって創唱されているので、新参の「短里説」が紛れ込むことは、無理なのです。 

 当方の定則は、倭人伝は「単独の史料として合理的に解釈できる」というものですが、論中に現代産物の「短里説」は存在しないのです。

〇エレガントな解法 無理なく明解な読み解き
 当方の理解では、「倭人伝」は、当時の中原教養人、つまり、洛陽政権の中核である中国文化の知識、教養を修めた皇帝を初めとする高官人士が、それなりの努力を払えば、「問題」無しに読解できるものです。なぜかというと、陳寿が三国志を上申したとき、これら教養人が理解できない書法があれば、ほぼ確実に拒絶されるからです。

 「倭人伝」談義でよく言われるのは、倭人伝」は、古代中国人が、同時代の中国人のために書いた史書である」との断片的な引用ですが、後に続くと思われる「従って、現代日本人が(自然に)解釈すると、(ほぼ自動的に)誤った解釈になる」との重大な警句が欠落しているので、折角の警告が伝わっていないのです。
 但し、このような見方は、別に排他的なものでなく、一つの歴史観ですから、別に慌てて否定しなくても、命に別状はないのです。

 当時の知識、教養は、太古以来、秦漢に至って確立されていて、魏晋朝で俄(にわか)に一部人士が提起した新規な用語、知識は含まれないのです。「正史」の概念が未形成でも、三国志のような公式史書に求められる基準は明確と見るべきです。史書は、記録を集積、編纂する史官として養成され、その資質を確認された史官のみが、公式史書を編纂しうるものであり、「史官」は、単なる官職、官位ではないのです。
 もちろん、周代に始まったと見える史官の「記録」係としての使命は、陳寿の時代の直後、西晋が乱脈治世の結果深刻な内乱に陥り、各勢力が導入した北方異民族の傭兵の反乱によって、国家としての機構が瓦解したときに、大きく損壊されたので、江東に「東遷」した東晋代以降には、かなり形骸化したようですから、西晋までと東晋以降では、史官と史書の評価は異なります。

〇無謀な改竄論  よその人(複数あり)の話、つまり、氏に関わりの無い「余談」です
 ここまでに字数をかけて、史官と史書について説明したのは、世上の議論に、現代的な不規則文書管理をこじつける向きがあるからです。
 例えば、公式史書として帝室書庫所蔵の三国志に対して、外部から改竄の手が加えられたなどと言う暴論がありますが、それは、今日の公文書改竄風潮の悪しき反映であり、ジャンクとして排除されるべきものなのです。念のため言うと、改竄論者は、帝室書庫に侵入して改竄したと言っているのではなく、世上の高級写本を改竄したと行っているに過ぎないと弁明するかも知れませんが、正史は、時に、帝室原本から写本を起こして、世上の「野良」写本の是正を行うものであり、勝手な改竄は、遅かれ早かれ淘汰されるのです。

 そのような粗暴で低俗な論法で良いのなら、古代史資料は全て虚妄、史官は全て嘘つきという主張が成り立つのです。岡田英次氏や渡邉義浩氏のもっともらしい暴論に染まっていなければ良いのですが。

*道草~ジャンク否定の不毛
 三世紀当時の公式史書は、竹簡などの簡牘片を長々と革紐で繋ぎあげた巻物であり、少し下ると、次いで、同様の装幀で、台に巻紙を使用した紙巻物となり、いずれも、大変な労力と技術の産物ですから、偽造、改竄は全巻対象となり論外なのです。後世も後世、北宋期以後の木版巻本になると、一枚物の各ページを袋綴じに糸綴じする形態になるので、頁単位の差替で済むのですが、その際は、印刷の際の木版原版が残っているので、巻本を改竄しても、持続しないのです。どう転んでも、三国志魏志第三十巻巻末の倭人伝の差替による改竄は、実行する術がないのです。
 さらに言うなら、三国志帝室蔵書の入れ替えという大仕事に紛れての差替となりますが、大仕事は、国家事業として、一流の文書学者が多数参加し、一流の写本工が多数参加して全文字写本するのであり、前後数回に亘って文字校正を重ねるので、勝手な差替は、忽ち露見します。

 どんな暴論も、現代の場で言うだけなら「ただ」(フリー)ですが、暴論を言うには、重大な立証責任が伴うのです。既に、改竄論者には、悪徳研究者としての烙印が押されていると見ます。
 今日は、「ジャンク」情報が堂々と世に広く出回る世相ですが、賢明な研究者は、そのような「ジャンク」情報に、目も耳も貸さないのが正しい対応です。
 と言うものの、敵は、すべて承知で「邪道」(斜めに進む道)を振興しているので、説得不可能であり、ここは、一般読者に「正道」(真っ直ぐ進む道)を説いているのです。

〇「倭人伝」道里の解釈
 背景説明を重ねると話は長くなりますが、趣旨は明解です。
 「倭人伝」道里行程記事は、「帯方郡から倭に至る道里」を書き出しています。
 但し、いろいろな事情があって、実際の行程を測量した数値ではないで、丁寧に読み分ける必要があります。
 いきなり、誤解が広まっているのですが、この記事は、魏使の現地調査報告に基づいて書かれた物ではないのです。なぜ、そう判断できるかという話は、後ほどのことにします。

□第一段階は、帯方郡が定めた官道道里であり、郡から狗邪韓国までの「郡狗区間」を七千里としています。
 自明なので当然書いていませんが、当然、行程は、半島中央部を東南方に走る官道の公式道里であり、官制上「陸行」ないしは「陸道」しか、存在しないのです。帝国官制に従い軍が設けた街道、官道には、宿場と馬小屋を備えた関所があり、駄馬や驢馬が荷を担って通れる、騎馬で疾駆もできる、荷車も通れる、整備された街道だったのです。官道は、帝国の骨格ですから、整備されているのが当然なのです。
 にもかかわらず、この区間の道里が、450㍍程度の「普通里」でなく、『75㍍程度の「短い里」で書かれているように読める』のは、何とも不可解です。「倭人伝」読者は、この「問題」への解を求められるのです。
 世上、里数は「誇張」と断定している向きがありますが、結論は、最後に捻り出すものであり、まずは、書かれているとおりに理解すべきです。これも、当たり前の話ですが、里数を六倍や十倍に「誇張」して手柄としても、いずれは、現地の情報が皇帝に露見して、関係者は家族諸共処刑されるので、そんな無謀なことはしていないはずです。武人の軍功は、その時、その場限りの話なので、監査役さえごまかせば、粉飾/誇張が露見しにくいでしょうが、行程道里は変わりようがないので、後日に確認できるのです。そして、郡太守は、本来、皇帝の意志で更迭/馘首されるので、行程道里の粉飾は隠しようがないのです。後世に恥をさらさないように、胡散臭い「誇張説」は、取り下げるものでしょう。

                                未完

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