04. 始度一海 - 読み過ごされた初めての海越え 追記補追 1/5
倭人伝再訪 4 2014-04-24 追記:2020/03/25 2022/10/17 2023/01/28
*お断り 追記の詰め込みで大変長くなったので、ページ分けしました。
「始度一海、千餘里至對海國」
*始めての渡海
「受け売り」となりますが、『中国古典書では、「水行」が河川航行に限定される』との説の続きとして、「始度一海」についても、中島氏の論に従い、ここは、始めて(始度)の渡(度)海であるとの意味と読めます。
ここに来て、倭人伝冒頭の「沿海岸水行」が、実行程で無く、『以下、倭人伝に限り、「水行」と言う新語を、海を渡る意味で使います』と言う宣言/定義付けだった事がわかるのです。
ただし、三世紀当時、目前の「倭人伝」巻本の少し前の字句は、巻物を転がし戻して確認できるので、「読者」は、「倭人伝」道里行程記事の冒頭部分を見返した上で、そういう意味だったのかと「合点」できたことでしょう。
*對海國「市糴」考
これまで、對海國が「不足する食糧を交易(市糴)で補う」との記事に対して、交易で何が代償なのか、書かれていないと不満を呈していましたが、どうも、この下りは、魏使に見落としがあったようです。交易自体は、「南」の一大國と「北」の狗邪韓國との間で、つまり「南北」に常時「船舶」が往来していたので、地産を託して利益を得て、対価として穀物を得て、辛うじて生存していたように見られがちですが、それは、途方もなく浅い考えです。
*自縛発言の怪~それとも「自爆」
なにしろ、世上、「對海國は、不足する食糧を補うために人身売買に励んでいた」と、古代史学者の名の下に公開の場で途方も無い誣告に走る「暴漢」がいて、唖然とするのです。そりゃ、国民をどんどん人身売買で減らしていけば、急速に食糧必要量は減るでしょうが、いずれ、近い将来、国土は全て耕作者の居ない「無人の境地になれば食糧不足は解消する」ものの、それは、解決策では無いのです。まるで、子供の思いつきです。
「古代史学会」が、学会として機能しているのであれば、そのような暴言を放置していることの是正が期待されるのですが、訂正、謝罪の記事は見かけませんから、自浄機能のない機能不全の存在になっているのです。何しろ、未検証の思いつきを、当の現地でぶち上げるのは、万死に値する暴挙です。
*對海国条の深意
たしかに、「倭人伝」は、そのような印象/イメージを与えるように工夫されているので、普通に読んで、そのように納得してしまうのは、初学者には無理ないことですが、本来の「倭人伝」読者は、古典書に精通していて、言わば、読書の道で百戦錬磨の強者がいて、簡単に騙されないのです。単に、騙された振りをしていただけと思います。
*「南北市糴」の実相
「南北」に往き来している「船舶」は、普通に考えれば、当然、山林に富む土地柄で地元である對海國が造船し、渡船として仕立てたものであり、併せて、造成した港に「市」を設けていて、南と北から来た船荷の取引で、相当の収益を上げていたはずです。そうで無ければ、往き来する他国の「船舶」から結構な港の利用料を得ていたはずです。
未完
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