04. 始度一海 - 読み過ごされた初めての海越え 追記補追 2/5
倭人伝再訪 4 2014-04-24 追記:2020/03/25 2022/10/17 2023/01/28
*「大航海」大幻想
そのような前提抜きで、「後世の無教養な東夷」が、「素人考えで夢想」してしまうと、對海國人が、伊都国以遠まで南下するとか、狗邪韓国を越えて北上するとか、途方もない遠出の妄想が広がる方もいるし、果ては、半島沿岸を経めぐって山東半島まで赴いたとか、黄海を北上して渤海湾海岸に乗りつけたとか、ホラ話が止めどない方もいます。誰も三世紀当時の現場にいなかったので反論しないとは言え、言いたい放題は見苦しいのです。
まずは、對海國の乏しい地産を運ぶとして必要な食料は、どこから得られたかと心配しないのでしょうか。
いや、途方もないホラ話として、未だ存在しない「天津」まで乗り入れる妄想まで登場しているから、まだ、ましというものなのでしょうか。ちなみに、「天津」は、遙か後代元朝天子の住まう大都へ繋がる海港として創設されたものであり、三世紀当時、天子は洛陽に住まっていたので、「天津」は虚名の極みなのです。ものを知らない人は、何を言っても言い捨て/言い放題で、お気楽でいいなと思うのです。
話を戻すと、時代/地域のあり方を冷静に再現し、近隣仲介交易の妙味を感じ取らないと、適確な解は得られないのです。そして、對海國が、飢餓で滅びるところか、南北の近隣と交易して、後世人の想像を絶した「潤沢な利益」を得ていたと見ないと、話の切りがつかないのです。對海國の北の取引先は、韓国の世界であり、異国との国境取引は、利幅が格段に大きいのです。何しろ、唯一の交易経路なので、値付けが通りやすいのです。
*「倭人伝」の要旨~再確認
「倭人伝」の要旨は、韓国の領域を出た後、海上の州島を飛び石のように伝って、倭の本地に到るという未曾有の渡海行程の運びであり、現に存在するということを示している訳なのです。「倭人伝」は、中国人が、中国人のために書いた夷蕃伝なので、程良い難題になっている必要があるのであり、「對海伝」を目指しているのではないのです。
*「富国」の最善策
さて、話を、對海國の考証に戻すと、港の利用料として誠に有意義なのは、穀物の持ち込みです。
何しろ、対海国に立ち寄って水分食糧の補給ができる前提で、通常の渡船は、身軽にしていたわけですから、對海國の海港に備蓄が無いと、折角の交易が頓挫してしまうのです。つまり、普段、空荷の渡船に「食糧」を積んで対海国に納入していたとみるのが、賢明な「読み」でしょう。それが、筋の通った「大人」の読み方と思います。「倭人伝」の元史料は、書こうとすれば書けたでしょうが、「倭人伝」の分を過ぎているので、割愛したと見るのです。
*時代相応の独占的特権
当然の考証として、三世紀当時の漕ぎ船では、對海国での漕ぎ手の休養や食料、水の補充を飛ばして、直接往き来することは不可能であり、代替策が無い以上、寄港地としての価値は、大変、大変高かったとみられます。食糧不足は、帯方郡に対して、納税しないことの口実であったと見えます。
何しろ、對海國と狗邪韓國の間の直線距離は短いので、戸数相当の「税」を納めよと言われないようにに手を打っていたのです。もちろん、そのような自明事項の説明は、「倭人伝」の分を過ぎているので割愛したのです。
未完
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