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ウィキ 「古代史の散歩道」2023/01/28 当記事 2023/01/31

徇葬
万年好奇心少年は「狥葬者奴碑百餘人」(三国志原文)について、『字義に忠実に、「素直に」、「普通に」、「するりと」解釈する』と、「徇」とは葬儀に「従う」、つまり、葬礼に参列した者の意と解すべきと思われる』と書く(参考文献14)。この解釈は誤りであるからその理由を書く。第一に、三国志夫餘伝に「其死、夏月皆用冰。殺人徇葬、多者百數」と書かれる。はっきり「殺」と書かれている。第二に小南一郎は「奴婢百人以上が殉葬された」と解釈している(参考文献12)。石原道博は「殉死する者は奴婢百余人」と明快である(参考文献11)。藤堂明保は「殉葬した男女の奴隷は、百余人であった」と少し踏み込んでいる(参考文献13)。つまり、原文は殉葬があったとしか解釈できないのである。万年好奇心少年の解釈は誤りといえる。

 論者は、「誤り」と裁定しているが、まず何より、当方が、「徇」の字義に依拠していることから逃げているのが不審である。批判対象文献の最大の論拠を克服しないのは、まことに不都合である。
 論者は、陳寿「三国志」東夷伝扶余伝の「殺人殉葬」用例を唯一の根拠としていて、つまり、該用例が、孤立した異様な用例である可能性を無視して、「はっきり」書かれていると称しているが、「はっきり」の意味は、不明である。陳寿は、崩し字で編集指示したとは思えない。

*文献解釈の基本
 精緻な、つまり、高度な文献解釈の基本の基本として、「字が違えば意味が違う」のであり、特に、偏が異なる字は、相互に明確に異なった意味を持つというのが、絶対原則であり、ここでは、根拠無しにその絶対原則を乱したと史官を非難している。従って、学術的に見て、論者の意見は「誤り」である。要するに、文献解釈の基本を外した素人考えである。

 論者が回避している文献解釈であるが、野蛮極まる風俗記事の一環として書かれている扶余伝の「殉葬」用例は、閑静である「倭人伝」には、不都合であり、編者の各戸樽石、真意を見過ごして、誤字、誤写とする蛮習に賛同できない。

 要するに、小南、石原、藤堂の三氏は、それぞれ、原文を「殉葬」と改竄した時点で翻訳者としての分を越えて不適切である。ちなみに、「殉葬」なる用語は、中国古典書で希と見える。論者はご存じだろうか。
 『小南氏は、「奴婢百人以上が殉葬された」と書いている』と言うが、勝手に字を書き換える「改竄」に陥り、文法文意を誤解している。以下同文は略す。
 「徇」は付き添い進むことをいい、「殺された」という意味にはなり得ないから、小南氏は、翻訳者の良心に従い字を変えたかとも懸念される。
 『石原氏は、「殉死する者は奴婢百余人」としている』が、論者から明快と評されている。ただし、論者が素人考えで「明快」と感じたのは、論者ないしは同好の氏の「思い込み」に随うかのように、改竄解釈されているからである。よくよく、一字一字を吟味すべきである。
 『藤堂氏は、「殉葬した男女の奴隷は、百余人であった」とし、論者から「少し踏み込んでいる」と酷評されている』が、「ちゃんと踏み込まなかった」ことが「誤り」なのか、藤堂氏ほどの先賢にしては、不可解である。因みに、奴婢が「現代用語の奴隷」とは、到底思えない。もし寝る藤堂氏が冷静であれば、言い回しを変えたはずである。

 と言うことで、論者は、今回、四例を提示したが、いずれも、当方の基本的な論拠を克服してないので、論拠として不備であり、いかにも無意味である。『字義に忠実に、「素直に」、「普通に」、「するりと」解釈する』と揶揄されて、論者が平気なのも「鉄面皮」である。次第に刺激的な発言が増えるのは、不可避である。

 どうか、異論を提示する際には、丁寧に論拠を自己監査して頂きたいものである。論者は、勘違いされているようだが、当方は、思いつきを書き連ねている論者Wikiブログの教育的指導役を請け負っているのではない。

                                未完

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