« 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 8/9 三訂 | トップページ | 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 6/9 三訂 »

2023年4月19日 (水)

新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 7/9 三訂

「卑弥呼や「倭の五王」の海に漕ぎ出す」 PHP新書 2015/1/16
私の見立て★☆☆☆☆ 根拠なき推定の沼  2017/12/12 補充再掲 2020/07/08 2021/07/20 2022/06/21 2023/04/19

*終幕
 おわかりのように、当書評は、著者がロマンを抱いていることやそのロマンの内容についてとやかく言っているのではないのです。
 堂々と自著を市場に展開するからには、ご自身の夢想を現実と付き合わせて、筋の通った説明を付けるべきではないかと言っているのです。倫理的な問題なので、同意していたけないならそれきりの話です。

 他方、ファンタジーなら、ファンタジー、フィクションならフィクションと明記すべきです。
 もっとも、ファンタジーも、フィクションも、現実世界との接点の考証が必要です。空想世界でも、自然法則は通用するので、重量物が重力や水流に逆らって、勝手に急流を遡上することはありません。

*誤解、誤記の塊
 80ページ末尾から、「魏の曹操は船を使って戦う常勝将軍であったが二〇八年、長江中流域の蜀の諸葛孔明と呉の孫権の連合軍にその船団を焼き討ちされ敗れるという不覚をとった」とは、誤解、誤記の塊です。うろ覚えの書き飛ばしは、信用を無くすだけです。

 「魏の曹操」と言いますが、二〇八年(CE208)時点は無論、曹操は終生後漢の臣下で、在世中は魏なる国は存在しないのです。

 「常勝将軍」と言いますが、曹操ほど度々大敗を喫した将軍は少ないはずです。負けの数で劉備に勝てないとしても、当時有数の負け馬と言えます。時には、大敗して、辛うじて窮地を脱しているのです。

 「」は渡河に必須ですから一切不使用と言えませんが、正史三国志で、曹操はほぼ陸戦であり、船戦は皆無に近いのです。(まぼろしの赤壁は別として
 もちろん、時に応じて、兵糧の輸送に船を使ったことはむしろ当然と言えます。兵員、馬匹の移動にも、水運を使ったとも思われますが、特筆されていない以上、些細な事項と見られているものと思います。それが史書です。

 「長江中流域の蜀の諸葛孔明」というのは、論考の一部としてグズグズに型崩れしています。
 「諸葛亮」は、一時、長江中流の荊州辺りにいましたが、そこは蜀などではないのです。
 国としての「蜀」(蜀漢)は、その後に長江上流に劉備が建国したのですが、正確には「漢」と号したのです。蜀は、長江上流の成都付近の地域名です。
 言うまでもありませんが、蜀の君主は、劉備とその嫡子であって、諸葛亮は、蜀の宰相、臣下です。孔明は、本名でない「あざな」で、実名呼び捨ての曹操、孫権と並べるのは、一段と無様です

 孫権の当時の支配領域は、古来、呉と言われていましたが、別に、当時呉国皇帝だったわけではないのです。寄留していた荊州を逃れて根拠地を持たない流亡の劉備軍団の無名の軍師と同盟するような小身ではなかったから、ここで並記するのは見当違いです。そうではないでしょうか。それが史書です。

 「その船団」と言いますが、曹操が率いた船団は、曹操の私兵でも後漢朝の官兵でもなく、大半が降伏した荊州船団に過ぎないから、戦いが不首尾でも、曹操船団が「敗れた」わけではないのです。それが史書です。(漢水上流で、新造船を命じたと言いますが、急拵えの船腹に訓練されていない兵を乗せても、戦力にはならないのです)

 後漢の最高権力者である曹操ですから、戦ったとしたら、当然勅命のある敵に勝つべくして戦ったのでしょうが、帰還後、皇帝から違勅、敗戦の責任をとらされたわけではないから、曹操は、この時、孫権と戦ったのではなく、従って、不覚はとっていないのでしょう。
 陳寿「三国志」魏志で、曹操は、地域を歴訪する傍ら孫権に示威行為を示しただけであり、討伐の戦を起こしたものではなく、疫病多発の瘴癘の地を忌避して帰還し、別に戦ってないのです。

 以上、随分、うろ覚えでいい加減なことを言い散らしていて、僅かに残っていた信用を損ねています。

                               未完

« 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 8/9 三訂 | トップページ | 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 6/9 三訂 »

倭人伝随想」カテゴリの記事

新・私の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 8/9 三訂 | トップページ | 新・私の本棚 長野 正孝 古代史の謎は「海路」で解ける 6/9 三訂 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    

カテゴリー

無料ブログはココログ