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2023年5月28日 (日)

新・私の本棚 サイト記事紹介 伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」4/4

~古代中国の知見と価値観で読む『倭人伝』解読の新境地
私の見立て 星を付けられない絶賛 必読 熟読        2023/05/28 補充 2025/03/10

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

*引用
●新たな解読法の提起
 『倭人伝』を読む方法としては、「素直に読む」という言葉をよく目耳にする。これは、とくに行程記録を読むにおいて、『倭人伝』のいう行程を忠実になぞるという意味で使われるようである。だが私の知るかぎりにおいては、素直に読んでいる例は皆無といえるほどに稀である。
 それもそのはず。『倭人伝』に書かれた(方角を除く)日程・行程手段・距離をそのまま読んでは、誰しも混沌の世界に迷い込む。実は、素直に読みようがないのである。勢い、多くの場合は「『倭人伝』の行程記録は間違い・操作した・ねつ造した」という手法を選択することになる。だが、そうやって方角や数値を書き変えて良ければ、私でも邪馬台国をマチュピチュへ持って行くことができる。

*コメント
 先に提言されたように、必要・不可欠な素養に欠ける現代人、つまり、古代漢文を解し得ない、二千年後生の無教養な東夷が、「素直に読む」と恥ずかしげも無く書くことの非を、全力で詰(なじ)っているのである。「倭人伝」記事を読解できない責任を「倭人伝」編纂者に押しつけて、誤謬、曲筆、捏造を唱え、自身の見解に合うように「倭人伝」を改竄していることの非を、かくも明快に明言しているのである。
 世上、このような正論中の正論が、世上一切紹介されないのは、まことに不明であったと悔悟して、ここに紹介したものである。

*引用
●『倭人伝』を正確に読むための必須条件
❶最もかんじんな女王の都に至る「日程・方角・行程手段・距離」の4つの要素のうち、どれかがどこかで不明になるような行程説明はあり得ない。(すべてが出そろう読み方は一つしかない)。

❷海路航行距離は正しい距離測定ができない。測定不可能なものを正しく表記しようがない。
 中略

❸東夷伝の中でも韓伝と『倭人伝』の陸路里程は、魏代の公式尺度の約6倍の尺度数値で書かれている。(巷間にいう短里とは根本的なところで根拠を異にする=後述)。


❹異常な記録を的確に読み分けること。


*コメント
 当ブログ筆者の道里行程記事解釈/解読は、氏の解釈/解読と異なる点があるので、部分的には異議があるが、至言は至言である。但し、❹は、真意が不明であり、「後述」して欲しいところであった。
 以上の通り、氏は、サイトに「くまモン」を掲げたために、「ご当地」論者と誤解され、そうでなくても百花斉放の「邪馬台国」比定騒ぎにおいて、また一つの「混沌」を醸し出していると見えてしまうのが最大の弱点であるが、何とも勿体ないのである。

 氏の卓見がほとんど顧みられていないのは、氏の「熊本」説を見て、他所説の論者が見向きもしないところにあると見えるのである。それが、「邪馬台国」論争の度しがたい底層であるが、誰が仕掛けた闇鍋なのか、何とも、傷ましいことである。

 因みに、現存の「熊本」説論者は、氏の提言に関係なく、倭人伝「改読」/「改竄」派であり、中には、「正史」「原本改竄」説にのめり込んでいる例もある。俗に言う「つけるクスリのない輩」には、いくら氏が卓見を打ち立てても耳に入らないのである。

*本稿まとめ
 本稿の目的は、氏の卓見を広く紹介するものであり、その際に、氏の提言の瑕瑾が揚げ足取りされないように、個人的に校訂しようとしたものである。決して、盗用しようとしているものではない。因みに、史学論考では、むしろ、先人の著作を正確に引用し、踏襲、ないしは、克服することが求められているのであり、決して、新説を、新説であるだけで尊重するものではないのである。

 当ブログ筆者は、プログランキングに参加するとともに、著名な先賢諸兄姉の著書に対して批判を加えることで、自身の知名度を上げることを望んだものである。数名とは言え、フォロワーを得て、数少ないとは言え、「被引用」の栄誉に浴したものである。

 並行して、諸兄姉のブログを渉猟したが、これまで、遂に「伊作」氏の謦咳に接することはできなかったものである。この点、不明をお詫びするとともに、偉業の顕彰を図るものである。願わくば、いずれかの出版社から、書籍化提案があって欲しいものである。

*紹介記事予告
 当ブログ筆者の従来の諸記事は、伊作氏の提言を知らずに、独自に書き上げたものであるが、氏の遺稿に接した以上、参照元として宣言した上で、必要に応じて原文引用を行い、ひいては、自説の強化/向上を図る所存である。
 対象が商用書籍や学会誌であれば、そのような配慮は不要だが、個人ブログは、所詮、水面に浮かぶ「うたかた」であり、当ブログもまた、ご多分に漏れず限りあるもので有るから、多少とも氏の偉業を広く顕彰し、世に拡散して、風化に逆らうものである。

 例によって、当分野の騒擾と混沌は清浄化することはないと見えるのであり、一介のブログ筆者のなし得ることには限りがあるが、せめて、燎原の火に手桶一杯の水を散じてみたいのである。

この項完

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