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2023年6月 9日 (金)

新・私の本棚 番外 NHK BSP「 邪馬台国サミット2021」(1) 速報編 再 2/3

[BSプレミアム] 2021年1月1日(金) 午後7~9時 NHKオンデマンドで公開中  
私の見立て ★★★☆☆ 前年比改善顕著 前途遼遠   2021/01/30 補筆 2023/06/09

*「自虐」論始末記
 「自虐」論は、纏向絶倫史観になびかない九州論者に対して呈された「罵倒」ですが、素人目には、攻撃になっていないので、自爆です。
 こうした挑発は、大抵、議論で勝てないと自任する「弱者」が仕掛ける「泥仕合」の狙いですが、「子供の口喧嘩」戦術に、大人は応じないので、一段と、論議に窮した焦りを露呈します。箴言風に言うと、「暴言は、無能者の最後の隠れ家」です。
 視聴者も、乱暴な決めつけに賛成すると見ているなら、皆さん見くびられたものです。

*疲弊した決め付け
 論議に窮すると、落ち着く先は、乱暴でくたびれた俗説の羅列です。

*「白髪三千里」論
 これは、前世紀の遺物、無風流な浅知恵です。
 やり玉に挙げられた李白は、漢詩三千年最高の詩人であり、気宇壮大な「比喩」は、現実を大きく離れ、深々とした感動を誘います。「白髪三丈」の陳腐と次元が違うのです。無茶な誇張と感じるのは、感性の貧困です。現代人が勝手に法螺比べを挑む図式など見たくもありません。

 少なくとも、この表現は詩的な比喩であって、史学発言ではない位は理解できるはずです。まして、東大は、三世紀世界の遙か、遙か後世です。「時代錯誤」などてなく、単に、古人が無知から言い出したことを無批判に追従するのは「問題」です。

*「戦果十倍誇張」
 この名言は、確かに、同時代に近い史書表現ですが、既に、論外の愚行とされていて、参考になりません。要するに、実戦指揮の経験が豊富な皇帝が、「軍人の誇大な手柄話には、一切騙されない」と釘を刺しているのです。
 秦代以降、軍功はクビの数であり、十倍誇張で十倍の褒賞ですが、それはそれとしても、新来蛮夷の道里、戸数の誇張に何の意義があるのでしょうか。直にばれるウソでは、虚言の廉で首が飛ぶのです。軍人は、軍功で地位を得るので安直な誇張はしないのです。また、魏使は軍務でないので戦果を求めず、この手の誇張はあり得ないのです。

 中国兵制で遠征軍司令に監軍なるお目付役が付き、杜撰な報告は監軍の一片の報告で「大丈夫」の首も飛ぶのです。軍果は敵の首の数で、お目付役が記帳しているから、デタラメに書けないことも弁えていただきたいものです。

 曹丕、曹叡は、文弱皇帝ではなく、司馬懿の使命は、公孫氏殲滅であって東夷招請ではなく、薄汚い功名稼ぎのおおぼらは関係無いのです。

*勿体ない自爆表現
 この二件は、東方諸賢の伝家の宝刀、古典的罵倒表現で、決定打のつもりでしょうが、中国古代史に通じた「世間」で通用するものではないのです。むしろ、「世間」に通じない、東夷のものの自損、自嘲表現でしょう。多分、所属組織の「軍規」で、これらの虚言を主張しないと、上官から叱責されるので、定番として述べたに過ぎないのでしょうが、これでは、典型的な「自爆」と取られかねません。
 これも、何れかの世代で、と言うより、一日も早く棄却すべき負の遺産でしょう。

*倭人伝の使命
 「倭人伝」は、三世紀当時最高の教養人が、皇帝以下の教養人に謹呈した著作であり、李白は数世紀時代錯誤で場違いだし、軍人功名談も、無教養な軍人の愚考を語るものであって、無用の極みです。暴論は、相手と「場」を弁えないと、壮大におつりが返ってきます。
 同学の先師の旧説は、学問の世界では、進歩に取り残された遺物、「レジェンド」となりかねないので、先人の名声に泥を塗らないように更新/廃棄されるべきです。
 今回の纏向論客は、口説鋭いと見ましたが期待外れでした、と風当たりがきついのは、当代随一のプロと見なされているからです。世上溢れているネット世界の野次馬などではないのです。

*闇談合露呈
 収録終了時、「オフレコで言いたい放題言い合おう」などとは、定番の闇談合でもないのでしょうが、「歴史を夜作る」のは、良い加減にしてもらいたいものです。受信料を払っていて、善良な納税者でもある一般視聴者が見ているのです。恥を知るべきです。

 それにしても、司会の「爆問」の小声の総括は、空騒ぎに惑わされず、冷静で控え目でした。前作の空騒ぎとは、格別で人選の妙です。時に纏向幕府の走狗と揶揄されるNHK制作陣の反骨精神の真骨頂でしょうか。

                              未完

 

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