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2023年6月26日 (月)

新・私の本棚 張 明澄 季刊「邪馬台国」第12号 道里行程論 新解 1/9

「一中国人の見た邪馬台国論争」 好評連載第二回 梓書院 1982年5月刊
 私の見立て ★★★★☆ 泥中の真珠再発見 2022/12/01 部分改訂 2023/01/15 2023/06/07, 12, 19, 21, 23~26

▢余言のお断り 2023/06/23
 一言お断りすると、当初2ページの書評が9ページになったのは、当方の私見の展開が大半の余言であり、氏が責めを負うものではない。

◯始めに~珠玉の論義
 随分遅ればせの書評であるが、当分野では、かくも珠玉の論義が、泥沼に深く埋もれているので、ここに顕彰する。もっとも、好評連載されていた「札付き」記事に埋もれていては、端からそっぽを向かれても、無理もない。
 張明澄氏は、日本の漢字字典、辞典を読まないが、ここでは、漢字圏で最高権威とされている白川勝師の辞書「字統」で謹んで補足させていただく。
 「至」の原義は、弓で矢を射て届いたところを言う。つまり、「至」は矢が飛んで行った先であり、そこに射手が行ったわけではない。
 ▢「到」の原義は、「至」「刂」であり、「至」で得られた行き先に、(射手が)実際に至ることを言う。

*混乱した表記で理解困難な解説
 張氏は、カタカナで「到」は、「リーチ」reach、あるいは「アライブ」arriveという。ただし、英単語は、この場で補足したのであり、原記事は、カタカナ語だけであるから、原文を、一般読者が理解できるとは思えない。
 前者は、麻雀用語で知られていて、ここでは、それ以外の「どこかに行き着く」という意味だが、後者は、「アライブ」というだけでは、alive、つまり、生き生きとしたという意味の方が、むしろ知られていて、本来のarriveの意味と解すれば、「到着」、即ち、「どこかからやってくる」という意味になる。
 但し、「どこかに行きつく」と言うには、肝心の言葉が足りないので、前置詞を補って覚えるのが英語学習の常識である。「アライブ アット」arrive atで、始めて「どこかに着く」という意味になる。
 それにしても、氏の思っているように、「リーチ」、「アライブ」は、全く同じ意味ではない。ここでは、「到」には、後者が適しているように見える。
 『「至」は、「テイル」ないしは「アンテイル」』というが、これを、Tail、Untailと解しても、理解できない。むしろ、「リーチ」reachに適していると見える。

*古典的素養
 後で思いついたのだが、日本時代の台湾で張氏が受けた戦前の「国語教育」では、仮名交り文でカタカナ表記が普通で、今日の「ティル」が「テイル」と表記されていたのである。氏の書き癖かもしれない。『「至」は、「ティル」ないしは「アンティル」』とも解釈できるが、氏の玉稿はどっちだったのか。それなら、英語に戻すと、Till, Untilとなるが、それで、氏の日本語文の解釈としていいのかどうか。
 こうした瑕瑾は、本来、編集部の校正で是正されるべきが、随分取りこぼしているようである。

 このように、日本語に大変通暁した「中国人」である張明澄氏であるが、カタカナ語に無頓着な氏の構文は、表記が混乱していて誠に当てにならない。これでは、読者の混乱を深めるだけで、言わずもがなである。

 これは、同様の勘違いを諸書に散見する古田武彦氏の(失敗例の)模倣であろうか。それとも、さりげないパロディーで揶揄したのであろうか。いや、うろ覚えのカタカナ語で、ご当人は明快にしたつもりで、一向に明快にならない点では、似たもの同士である。

 所詮、場違い、時代違いの漫談であり、張氏の真意は、知るすべがない。

                               未完

 

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