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2023年6月26日 (月)

新・私の本棚 張 明澄 季刊「邪馬台国」第12号 道里行程論 新解 8/9

「一中国人の見た邪馬台国論争」 好評連載第二回 梓書院 1982年5月刊
 私の見立て ★★★★☆ 泥中の真珠再発見 2022/12/01 部分改訂 2023/01/15 2023/06/07, 12, 19, 21, 23~26

③最後の区間
 この区間は、正始初頭(240~241)の魏使発進以降の現地情報によっている。

 現地情報とは言え、末羅~伊都間の行程道里は、「公式道里万二千里」の剰余としても辻褄が合わないので本来は明示されなかったと見える。何しろ、「万二千里」は概念で、二千里刻みの規定値に過ぎず、行程道里の積算ではないので、「余里」概数の辻褄が合わないのは、既に広く認められている。

 結局、末羅~伊都間五百里の素性は不明である。別の部分で、「女王国以北」即ち、狗邪韓国以南女王国までの行程諸国は「周旋(往来)五千里」と書かれているが、これを信ずるなら、狗邪韓国から女王国まで五千里となる。
 但し、概数計算で、この五千里から三度の渡海の三千里を引くと、表面的に、末羅国から女王国まで二千里となるが、概念である万二千里から、いずれも概念である郡管内七千里と渡海行程の三千里を引いた残る「二千里」を、倭人界の「街道制度が整っていない禽鹿径」に当てはめても意義は無い。

 街道は、乗馬文書使や荷車が往来するように整備されるのが前提であるが、「倭人」界は「牛馬」が公用に供されてないので、人が担って運ぶから、運用が異なり、所要日数は不明となり、公式道里は当てにならないのである。

 陳寿は、「倭人伝」道里が、中原制度と整合しないのを表立って主張できないので、史官の責任で所要日数を明記したものである。この編纂方針は、当時の読者の受け入れるところとなったので「倭人伝」記事は健在なのである。

*道里行程記事の意義
 「従郡至倭」の記事で要求されるのは、郡から倭への送達文書が、何日で倭の統治者に届くかという「所要日数」であり、行程里数では無い。「倭人伝」では、全所要日数を「都水行十日陸行一月」、計四十日と十日と明記している。
 正史記法で「水行」は並行街道がなければ、道里に実質的な意味が無い。「陸行」は、乗馬の文書使が、疾駆急行すれば短縮可能であるが、「水行」は、船上を騎馬で疾駆しても無意味なので、短縮不能であるから、別格である。
 中原でも、文書送達日数は実務であり、「地理志」、「郡国志」、「州郡志」などに収録の「公式道里」とは厳密に関係しない。一例として、漢代初期に武帝が設定した楽浪郡は、西晋代まで存続したが、郡治は移動を重ねていたと見える一方、公式道里は変動しなかったのである。

*追記~2023/06/12
 まだ誤解が解けていないようで、念押しするものである。つまり、「倭人伝」道里記事は、遼東太守公孫氏が、帝国の辺境都督として、新参の「倭人」の身上書を作成した際の認識が示され、伊都道程しか確認できていなかった。

 まずは、「倭人」が、「大海」、つまり、韓の向こうの塩水湖の「山島」に在るとしていて、しかも、その「山島」は、離散していて街道が通じていないと明記している。「離散した山島」は、末羅から伊都は、繋がっているように見え、それ以降「陸行」するとしているが、伊都から諸国へは、投馬国が「渡海」を含む二十日「水行」と示唆されている。

 復習すると、その時点で、帯方郡官人が実際に到着していた「伊都国」から先は推測である。つまり、「その時点」では、女王之処である「邪馬壹国」は、確認されていなかったと見える。「その時点」が、女王共立以前なら「邪馬壹国」はまだ無かったかも知れない。

 原史料を離れた思案ゲームに耽って持論を形成されてきた諸兄姉には、中々認めがたいだろうが、まだ、間に合ううちに再考いただきたいものである。

                               未完

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