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2023年11月20日 (月)

私の本棚 長野正孝 鉄が解いた古代史の謎- 消されていた古代倭国 3/6

  私の見立て☆☆☆☆☆               2017/02/23 2023/04/19 2023/11/20
「古代史15の新説」別冊宝島その3
鉄が解いた古代史の謎- 消されていた古代倭国 長野正孝

*鉄材商人幻想

 國出鐵,韓、濊、倭皆從取之。諸巿買皆用鐵,如中國用錢,又以供給二郡。

 再掲、再説すると、論者は「倭が鉄を買い付けた」というが、記事は、「鉄は通貨代わり」だと書いているのである。つまり、価値のある財貨を現地に持ち込んで売りつけ、対価として鉄を支払って貰うという交易である。鉄を「買う」のではない。
 またしても、浅薄極まりない自説に合うように史書記事を改竄するのは、不信感をあおるだけである。或いは、共通通貨の存在しない市場で、鉄塊/鉄鋌が「価格」の指標とされたかもしれない。中国では、「銅銭」が通用していたから、市場の「商品」には、「銅銭何枚」の「値札」を付けることができたのであるが、銅銭がなければ、鉄鋌で価格を示すしか無かったのである。それが、「銅銭の代用」という意味である。決して、鉄鋌を「売買」していたのでは無いのである。
 そして、それは、「市」(いち)の場で対面売買される際の価格指標/相場として、表明されたのであって、現物交換の指標として有用であって、決して、鉄鋌をもって支払いしたのでは無いのである。

 まして、大量の鉄鋌を、当時存在しない「日本」に運んだという記事は、何かの錯覚/妄想であろう。「日本」が登場したのは、さらに四,五百年を経た後である。重大な時代錯誤というしかないどこの何者に運んだと主張しているのか。まことに、「知らないほど強いことは無い」という感じである。

 「普通」に考えれば、「倭」が、「市」(いち)に持ち込んだものの対価の差分として、鉄を入手したら本拠地に持ち帰るのである。大量に差分が出たとしたら、持ち込んだものは、大変高く売れたというものであり、そのような「利」を生み出したものがあれば、それは、時を経ることなくして、巨大な商業帝国を築き上げたのに違いない。
 それがどの地域にあったかは、この際の議論には直接関係ないが、まずは、朝鮮半島南部の拠点に届けたろうし、ものの十日ほどで届けられる九州北部に持ち帰ったのだろう。長々と続く沿岸航海なのか、それとも山河を越えてか、とにかく6か月を要しかねない遠隔地である後年の大和の地まで直接、全量を運んだとは、到底、到底思えない。素人の後学のために、証拠を提示して欲しいものである。
 それが、物の道理というものである。

*古代交易の推定
 当ブログ記事の筆者の時代感では、当時の倭は、各地に点在する「国」が、それぞれ「小国」、つまり地域聚落をなして自律的に活動しているのである。
 ものの道理として、価値を認められた「もの」は、多くあるところから少ないところに、水が低きに流れるように移動していくものである。街道もなく、船便も無く、牛馬の便もない時代であるから、バケツリレーのようで月日がかかるが、当時、「通商国家」はないし「国境なき豪商」もいないのである。あくまでも、時代相応に人手でつなぐものである。
 後年の山城あたりで出土した鉄遺物は、土地の豪族が原産地から直接買い付けたのでなく、九州北部から、例えば、瀬戸内海北岸諸国/諸港を順次通じて到着したと見るものではないか。財貨は、豊かなものの手元に貯えられるのであって、それは、水が低きに流れるように自然の理であり、いくら権威付けしようとしても、自然法則に反して、低きから高きに流れることは「絶対」に無いのである。

 鉄が「国際通貨」であれば、交易対価として鉄を受け取るのであり、財貨物ではないから、途中の諸国で「鉄」に都度関税を上乗せされることがない。数十年に亘って、そのような交易を続ければ、自然に「金庫」に鉄が溜まる。使い道が特になかったから死蔵され、豪族の埋葬に際して、副葬物となったのではないか。
 
武器などに活用されていたら、とても、死蔵も埋蔵もしないのである。
 普通に考えれば、そういうことであるが
筆者は、時代錯誤の夢想に遮二無二こじつけて、無謀な放言を重ねているのである。大丈夫であろうか。

未完

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