今日の躓き「医師」 毎日新聞 早川智 「偉人たちの診察室」の迷妄
自身を鼓舞する赤の効果 2024/01/17
当記事は、本日付毎日新聞大阪朝刊13版「総合」面の囲み記事「偉人たちの診察室」の批判である。
不思議なことに、当記事は、毎日新聞ウェブサイトの下記記事と大きく重複しているが、当方は、同日近傍の新聞記事を保存していないので、どうなっているのか不審である。
偉人たちの診察室 赤備えは男性更年期対策になったか 真田幸村
早川智・日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授 2023年12月7日
◯はじめに 誰の診察室?
今回は、コラムタイトルの不審を糺すところから始まる。
「偉人たちの診察室」と書かれていると、ふつう、「偉人たち」が診察する診察室と見える。
早川氏は、医師免許をお持ちなのだろうが、読者が気づかないのを良いことに、ご自身を「偉人」と称しているのだろうか。随分、不用意である。宮沢賢治の「注文の多い料理店」ではないが、食うか、食われるか、えらい違いである。
次いで、「早川診察室」の医療行為であるが、実際に患者がやってくるわけでも無く往診するわけでも無く、患者の病状を知る根拠は、大した根拠のない風聞に近いものであるから、ある意味、氏は、姿見の前に立って、ご自身の鏡像を診断しているとも見える。これは、正当な医療行為なのだろうか。当方には、医者を選ぶ権利があるので、患者のプライベートな事項をしたり顔で全国紙に書き散らす医師は、ご遠慮したいものである。
*根拠なき放言の羅列
氏は、学術的な根拠と擬態した風聞をもとにもっともらしく診断しているが、科学的に「無意味」(不合理)では無いかと思われる。
『2004年アテネ オリンピックにおける「レスリング、ボクシング、テコンドー」においてウエア(ママ)の色彩と勝敗に相関関係があった』という趣旨であるが、なぜ、柔道が無いのか、卓球、バドミントン等が無いのか、不審である。
氏は、大上段に「統計的に有意」と称しているが、随分偏った少数の事例であり、しかも、前後の大会でどうだったか検証もされていない。「統計的に有意」がどんな根拠で主張されているのか不審である。
素人考えだが、「ウエア」の色彩は、ほぼ、相手方のものが目に付くのであり、見当違いの仮説を見当違いの手法で検証した可能性が高い。このような仮説は、先に言ったもの勝ちで、検証も、反論もされないのだろうか。世上の噂では、凡そ、どんな分野でも、新説の90㌫以上が、「フェイク」ないし「ジャンク」であり、誰か奇特な方が、毒味した後で、様子を見て取り組んだ方が良いということである。
世間は、早川氏のように、目新しい仮説に無批判に飛びつく奇特な方ばかりではないと思うのだが、どうなのだろうか。当方は、道端の「落とし物」にかぶりつく趣味はないので、どうにも、非科学的な放談と見える。「おとといおいで」である。
以下、氏の議論は、不気味なほど「男性専科」であり、「戦意を高めて、理性を曇らせるのは男性のみ」と決め付けていて、性的な公平性に欠ける。問題発言である。して見ると、先ほどの貴重な実証データは、男性なのか、女性なのか、両性を含むのかも、触れられていない。何とも、不用意であるが、毎日新聞に掲載される以上、これは、全国紙としてのコンプライアンス上、問題ないというのだろうか。
現代風に言うと、西洋と東洋では、宗教的な影響もあって、色彩に対する心理的な受容性は大いに異なると思量する。まして、氏が無造作に、「赤」(red?)「青」(blue?)と称しているが、科学的に見て同一の「色」では無いと思われる。随分、杜撰、粗忽で、この上なく非科学的な意見と見える。
なお、日本国内だけ捉えても、21世紀の若者の色彩感覚と、17世紀戦国末期の「もののふ」の色彩感覚/生死観は、どこが同じで、どこが違うのか、分からない。
*もののふの心意気
最後に、当の真田信繁が、大坂夏の陣の際、いかなる心意気でいたか、無責任な現代人に分かるはずが無い。端的に言うと、対徳川という戦歴から言っても、「二度の対戦は、それぞれ、非勢の不利な戦であり、勝算は、乏しいものだったに違いない」が、敢然と戦って、勝利したのである。敗死していれば、後生の野次馬に無謀とあざ笑われたはずである。
少なくとも、真田信繁が、大坂の陣で、氏が素人考えで絶望的と決め付けた戦(いくさ)に挑んだと思うのは、この上も無く失礼である。
さらに、信繁が赤備えに「陶酔」して、無謀な戦に挑んだというのは、「ドーピング」紛いの狂気の沙汰の中傷/非難であり、これもまた失礼であろう。氏ご自身の「合理」性を、信繁に押しつけるのは、何とも無謀である。確かに、早川氏がいくら全国紙の紙面で誹謗中傷を叩きつけても、信繁から反撃されることは無いのだから、絶対不敗、言いたい放題なのだろうが、「現実に」氏の診察室に信繁を迎えて、このように侮辱を連ねる度胸はあるだろうか。
*早川式「タイムスリップ」待望論
是非とも、氏の好む「早川式時滑り(タイムスリップ)」で、世界に類例のない氏独自の超技術で時間/空間座標を精密に同調させて、夏の陣冒頭の信繁の陣屋に、ピッタリ乗り込んで欲しいものである。素っ裸なのか、フル装備なのか、電気動力含めて、到着後の顛末は、知る由もない。
どのみち、「タイムスリップ」は、片道切符であるから、現地で成敗されようが、当世では知るすべは無いのである。「滑り」の果ては、Good Luck, Good-byeで終えておく。
*六文銭の人~往きて還らず
真田信繁は、身内に本音でぼやくときはともかく、心底の覚悟は、戦場で倒れたときは、「いずれ渡るべき三途の川を、身につけていた六文銭で渡る」という死生観であり、悔いなどなかったと言うべきである。それを「満足」などというのは、後生の野次馬の小賢しい見方に過ぎない。伝統的には、「女々しい」「sissy」と言ったものだが、現今、禁句なので控えただけである。むしろ、「可愛い」、「誠に小人である」と言うべきかも知れないが、当方は他人のPhysicalを論じる趣味はないので撤回する。
以上
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