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2024年2月15日 (木)

新・私の本棚 宮﨑 照雄 「邪馬台国の最終定理ー理系学者が読み解く… 1/2

 『魏志』倭人伝と邪馬台国の所在地」(22世紀アート) Kindle版  2022/11
 私の見方 ★☆☆☆☆ 前車の轍にのめり込み、前途遼遠 2024/02/15 

◯総評
 「理系学者が読み解く」との盛大な惹句と違い、氏は、現代のネット環境に溢れる「風聞」をこね回して「文学作品」を物しているのである。
 
*異郷の新参論義
 氏の限界は、古来、文学部が管轄している「史学」、「考古学」なる「歴史科学」、「人文科学」の特性/論理に通じていないことである。「史学」論考は、現地/現物を訪ねて「追試」できないことを見落としてはならない。

 世上に溢れる「現代語」史学文芸は、あくまで外野であり、検証、追試されていない「思いつき」が大半で、書棚で巻き込まれている「通説」系の「内野」論考共々、文献批判では、史料原文に立ち戻って考証する必要がある。

 氏の本稿は、大半が不確かな通説の改作と見え、宙空を高々と歩んでいて、ほぼ無根拠の架空論義になっている。史学分野では、「温故知新」の金言を噛みしめ/踏みしめていただきたいものである。後生は、先生を易々と飛び越えることができるが、それは、進歩でも何でもないのである。

*偏った参考文献
 「参考文献」の大半を占めるネット情報が、氏の論考の足元を掬っている。かたや道里論の先行/基礎論考である安本美典、古田武彦両氏の諸著作を漏れていて、提言を克服できていないのは、重大な失態と見える。通りがかり、外野のやじうまの言い草ならともかく、氏のように、真剣に主張を展開する大いなる志をお持ちの方は、先賢諸兄姉の主張を把握した上で、峨々たる問題点を指摘し、これを克服するという困難極まる「道」を、実直にふみしめていただきたいものである。つまり、未検証の山である「参考文献」を「羅列」するのに満足せずに、それら文献の要点の引用関係を明らかにして、論理の筋道を明らかにして欲しいものである。

 また、氏が愛好されているネット上の風聞については、氏自身が、厳重に「ファクトチェック」した上で、責任を持って引用して欲しいものである。そうで無いなら、ご自身の出自、見識を誇示するのをやめ、一介の素人、門外漢として、謙虚に自説を開示すべきである。

 氏の依存情報の曖昧さは、後述の「目次」に露呈している。「倭人伝」は、原書、手書きの稿本が、手書き筆写されて、累世承継されたものである。現存南宋刊本は、版木印刷で、活字本でないから、「誤植」は失当である。いや、いずれかの先輩著作が穴に落ちているのに追従したものと見える。迂闊である。

 現代の活版印刷は電算写植であり「誤植」は絶滅している。あるのは、原稿段階の誤記、改竄、あるいは、遡って、原文誤解、勝手な改竄であり、これは、既に論義されていても、不撓不屈で存続し、戒めなければならない。

*論考失格
 と言うことで、氏の労作は、「日本」の古代史文芸であり、創作として、中々、迫力があるが、史学「論文」としては、憶測、誤謬盛りで、失格である。

*批判の背景
 当方は、電気工学の分野で基礎訓練を受け、職について実務に長く従事したが、ついには、特許、契約の法務審査などで、文献解釈の実務に勤しんだから、氏が、自称する「理学系」の思考の底流は理解できるが、ぜひ、氏ほどの権威者も、異質の「歴史科学分野」に置いては、新参者としての審査を受けていただきたいと思う。
 「郷に入れば…」である。

◯結語に替えて
 以下、国内古代史論が大いに盛り上がるが、本稿の目的外なので割愛する。むしろ、氏の当著作の本旨を逸脱しているのではないかと愚考する。著作のタイトルは、読者に書籍対価の見合った著作であることの「保証」を与えているものであるはずだから、大量の異物を混ぜ込むのは、一種、背信行為と見られかねないのである。読者は、不要部分を返品して、返金を求めることはできないから、言わば、抱き合わせ商法に憤慨してしまうのでは無いかと、危惧される。

 以上のような、丁寧な批判が唯一の「取り柄」である当ブログでの素人書評であるが、氏に、苦言受容の度量が無ければ徒労なので減縮した。ご容赦いただきたい。

 当方の論拠は、「またか」と揶揄されながら、当ブログで延々開示している。

                               未完

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