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2024年3月31日 (日)

新・私の本棚 NHKBS「古代史ミステリー 第1集 邪馬台国の謎に迫る」 10/10 改頁

私の見方 ☆☆☆☆☆ 果てし無い浪費の泥沼 底なしのてんてこ舞い 稚拙な弥縫の流沙 2024/03/18, 03/28

*「グローバル」幻想
 「グローバル」(地球的の意味か?)という「天下」は、二千年後世の東夷の辞書に載っているカタカナ言葉なのだろうが、古代人どころか、現代人すら、適格に理解していないのではないか。
 三世紀当時の知識人の意識に於いては、あくまで、当人の棲息する/知りうる「井戸」の中の地域的、ローカル、プライベイトな「小宇宙」であり、その外の「外界」のことは、時代を越えてあらゆる人が「知り得ない」ものと認識していたのである。

*魚豢「魏略」西戎伝の世界観
 このあたり、陳寿「三国志」魏志第三十巻末尾に裴松之が補追した魚豢「魏略」西戎伝は、「倭人伝」二千字を超える大部の小伝であるが、魚豢の労作が、公式に上程された証左として、巻末に「評」が提示されている。(筑摩書房 筑摩世界古典文学全集24C 三国志 今鷹真訳)

 魚豢(『魏略』の著者)が議していう。庭中の池にとじこめられた魚は江海の広さを知らず、あしたに生まれ夕に死す蜉蝣は四季の気候を知ることがないといわれるが、それはなぜなのであろう。そうしたもののいる場所が狭く、その生命が短いからである。私はここに広く中国の外に広がる異民族や大秦に属する諸国を見わたしたのであるが、これだけでも盲人の目が直って自の前がひろびろと広がったようである。ましてや鄒衍が推定した大九州の世界や、大易(易経?)や太玄(太玄経〉が推算する世界の大きさは、これよりもさらにはるかに広いものなのである。牛の蹄のあとの水たまりの中にとじこめられ、また彰祖のような長寿をもたぬわれわれには、景きな風に乗って疾やかに天空を遊行し、神馬をかけて遐かな土地を観るよしもなく、ただいたずらに日月星辰をながめやって、思いを大地の八方の果てに飛ばすだけなのである。

 ぜひ、虚心に、味わって読んでいただきたいものである。

*遠隔の神がかり
 当時中国文字の精華である「文化」を一切知らない東夷が、そのような高度な概念を理解したはずは無い。陳寿のもとには、東夷の「考え」など届くはずは無く知り得なかったから、文字のかたちで書き置くなどできなかった。まして、有り得ない遠隔の神がかりで、地の果ての方の東夷の真意を知り得たとして、史官の筆で正史に潜ませることなど、到底できなかったのである。
 このような、子供じみた言葉錯誤に自己陶酔していては、多額の制作費をかけて視聴者を騙すことになる。NHKには、公共放送の使命感も、報道者としての倫理も良心もないのだろうか。

◯次回の「お楽しみ」
 以下、次回の大ぼら話、「古墳時代」以後の史談に続けるのであるが、おそらく、今回同様、国策に奉仕する内容だろうから、こじつけの堆(うずたか)い様が思いやられるのである。
 衷心から申し上げるが、ここで述べ立てた大嘘は、公共放送の記録として、百年先まで残るのである。専門家や研究者は、漠たるものであるから、それぞれの局面の台本担当、考証担当は、文化功労者に叙勲されるのであろうか。「悪名」は「無名」に勝ると、本当に信じているのだろうか。

                                以上

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