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2024年3月31日 (日)

新・私の本棚 NHKBS「古代史ミステリー 第1集 邪馬台国の謎に迫る」  1/10 改頁

私の見方 ☆☆☆☆☆ 果てし無い浪費の泥沼 底なしのてんてこ舞い 稚拙な弥縫の流沙 2024/03/18, 03/28

 先ずは、NHKが公開している番組案内である。
 あまりひどいので、視聴前に別記事で一報したが、実際に番組を見たら、下には下があるの体たらくで、率直に苦言を呈するものである。

-番組案内の引用である。
古代史ミステリー 第1集 邪馬台国の謎に迫る
初回放送日: 2024年3月17日
 私たちの国のルーツを解き明かす壮大なミステリー!古代史の空白に迫るシリーズ第1弾。謎の女王・卑弥呼の邪馬台国はどこにあった?発掘調査と最新科学が突き止めた新事実を紹介。人骨やDNA分析から見えてきた激動の東アジア。「三国志」に秘められた卑弥呼のグローバル戦略とは?最強の宿敵・狗奴国とのし烈な争いの結末は?未知の古墳のAI調査や大規模実験で徹底検証!日本の歴史を変えた卑弥呼の波乱万丈のドラマを描く!
-番組案内の引用終了である。

◯はじめに
 当番組は、古代史報道は「創作より奇想天外」であるという一例である。NHKは、与えられた虚構(ロマン)画像化の使命が達成困難なとき、何処かから予算を取り付けてでも、途方も無い虚構画像を作成すると経営的に決断したようである。かくして、NHKの制作陣は、投下費用をそれぞれの制作班に振り替えて、放送芸術の持続的発展を期したようであるが、以下に示すように、報道ならぬ「ロマン」は、学術的裏付けの乏しい「プロパガンダ」と化し、教養/報道番組の域を脱した浪費となっていて、このような費用支出を正当化するのは、至難と見える。会計監査をどう言い逃れするつもりかは知らない。
 すくなくとも、当方は、会計監査を業としていないので、諸説紛々たる古代史論で公共放送が「一説」に偏重したことをどのように正当化するかに、多少の興味はあっても知りたいとは主張しない。
 以下、番組を流し見しながら、速報/速評を試みたので、誤解/事実誤認があれば指摘いただきたい。また、再放送で確認いただければ幸いである。

◯各論
*誤解で導かれた虚報の世界開幕
 導入部で示される「邪馬壹国」と原史料を表示しつつ「ヤマタイコク」と発音する詐話紛いの手口と、勝手に「倭人伝」記事を解釈して、「邪馬台国」を「海の中」との決めつけたのは、まことに胡散臭い出だしである。
 ついでに言うと、「倭人伝」は、正史に明記された自明の史料名で、中国史学界で通用している。NHKには公共放送としての自尊心がないのか。
 三世紀古代史談に、無神経に「日本」と称して不吉である。NHKは、三世紀に九州で自立した「邪馬台国」が、八世紀に纏向地域を包括して「日本」と長大したと本気で信じているのか。「諸説あり」では済まないと思う。
 国内史学では、「偏見」を避け、「日本列島」なる中立概念を提起している。
 NHKには報道者の良識は無いのだろうか。

*「大規模な建物群と厖大な人物群」の壮大な時代錯誤
 堂々と開陳される大規模な建物群と行き交う厖大な人物群の時代錯誤、拙劣な虚構「画餅」に恐れ入る。建物は、南北線基準だろうか。時代に先駆けて、瓦葺きと見えるが、この時代、どうやって瓦を焼き上げ、どう足場を組んで葺き上げたのか。次世代から、絵空事と言われない堅固な「画餅」を望むものである。

                                未完

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