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2024年4月23日 (火)

新・私の本棚 番外 内野 勝弘 第413回 邪馬台国の会 序論

魏志倭人伝・考古学・記紀神話から読み解く                        2023/10/24
1.魏志倭人伝・考古学・記紀神話から読み解く邪馬台国時代の年代論

 邪馬台国時代100年を俯瞰してみれば日本古代の全体像が見えてくる。

私の見立て☆☆☆☆☆ ひび割れた骨董品      2023/10/24 補追2023/11/01, 02 2024/04/23

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲していることをお断りします。

*はじめに
 本講演は、安本美典師が主催する月例講演会の「レジュメ」前半部に対する批判であるが、主催者の見識を前提にしていると見えるので、ここに率直に批評する。
 なお、ここに言及できなかった付表の詳細な批判を、下記別稿で公開しているので、ぜひご高覧いただきたい。(補追2023/11/01)
 新・私の本棚 番外 内野 勝弘 第413回 邪馬台国の会 補追 1/4
 新・私の本棚 番外 内野 勝弘 第413回 邪馬台国の会 補追 2/4
 新・私の本棚 番外 内野 勝弘 第413回 邪馬台国の会 補追 3/4  
 新・私の本棚 番外 内野 勝弘 第413回 邪馬台国の会 補追 4/4

 大抵の場合、このようなお話は、他愛のない「夢語り」/法螺話である。「日本」が、八世紀以降しか存在しないのは衆知である。言うまでもないが、「邪馬台国」は(遺跡遺物を論じる)考古学にも記紀神話にも一切登場しないから、話にならない。「邪馬台国時代100年」も、意味/根拠不明である。
 現代は、通りすがりの無学な野次馬でも、もっともらしい格好の「新説」をぶち上げられるご時世である。会長の任にある内野氏の個人的な権威がどのように評価されているのか、素人の門外漢/部外者である当方には分からないが、かつて、『安本美典師が、季刊「邪馬台国」編集長就任の際に抱負として宣言した、然るべき「論文審査」』を経ていない「無審査」私見であれば、一介の読者/聴衆として「話が違う」と思うものである。(補追2023/11/01)

内野9つの仮説
①倭国大乱の原因・・(タウポ火山大噴火181年→気候変動→黄巾の乱184年) 黄巾の乱が倭国の乱190年前後につながる

*コメント
 (補追2023/11/02)
 衆知であるが「倭人伝」に「倭国大乱」はない。「倭人伝」は、何かの事情で、雒陽への報告/情報が途絶えたと言うだけである。それでなくても、後漢霊帝没後の混乱のため、雒陽は大乱の渦中であった。長安遷都が強行されたりしているから、蛮夷のことなど構っていられなかった。
 「黄巾の乱」自然災害起因説は「倭人伝」に無関係で、杜撰な「蛇足」である。「倭国の乱」は、新規の概念であるから、紹介/高言するのは、不適切である。
 いきなり、大すべりしていては、後段を読んでもらえないものである。聴衆が、一斉退席しなかったのは不思議である。

②卑弥呼の年齢を推理・・通説は180年に15歳で共立248年没83歳だが、210年15歳共立 魏への使節44歳 死53歳頃

*コメント
 (補追2023/11/02)
 「卑弥呼の年齢 」論は、二千年後生の無教養な東夷の浅慮から「日本」古代史学分野で氾濫している『「通説」無根拠』の好例である。史料を「大胆に」改竄しているいわゆる「通説」は論外だが、突発した新たな推測/憶説も、「魏志倭人伝」の正確な解釈から隔絶していて、何ら根拠のない「思いつき」である。史料改竄趣味が、「蔵付き酵母」の如く「伝家のお家芸」になっているのは、世も末である。
 いくら新規/新奇でも、卑弥呼が44歳にして「魏への使節」となったというのは、根拠の無い大胆/無謀な意見である。結末に「頃」(土地面積単位)がぶら下がるのも奇異である。
 「魏志倭人伝」に根拠の無い夢物語/いわゆる「通説」は、大概にしてもらいたいものである。

③長里・短里説は司馬懿への忖度から・・洛陽から大月氏国16000里、洛陽から邪馬台国まで17000里と5倍引き延ばし説

*コメント
 (補追2023/11/02)
 「忖度」は、主語がない暴言、粗雑な暴論である。「倭人伝」時代に存在せず、『二千年後生の無教養な東夷「後世人」が創造した「長里・短里説」が、三世紀の司馬懿に対する「後世人」 の「忖度」によって生じた』などと言う摩訶不思議な「思いつき」は、早急に撤回した方が良いと思われる。
 それはさておき、『根拠なし、意図不明の思いつきである「5倍引き延ばし説」』は、「倭人伝」道里を、現存地名間の行程に投影した、簡潔、明快、反論不可能な金石文と言える安本美典師の不朽の提言に堂々と背いている。世も末である。ついでながら、「洛陽から邪馬台国まで17000里 」なる思いつきは、根拠の無いこじつけの一例である。

④ニニギ天孫降臨物語は狗奴国の戦いが神話化・・不毛の地、南薩摩へ降臨への疑問と日向・延岡経由の戦略的側面攻撃説

*コメント

 「倭人伝」に無縁な場違い圏外の法螺話である。手前味噌も、大概にして欲しいものである。

⑤狗奴国は熊本県北・中部に位置する・・筑後平野の南、球磨川の北の熊本平野に存在し、九州南部は異種(後の熊襲)

*コメント

 「倭人伝」に無根拠の法螺話である。もし、位置付けが正しかったとして、何が「異種」なのか、何が「同種」なのか、意味不明である。

 アマテラス(卑弥呼)スサノオの誓約と天岩戸は30年の差・・誓約[うけい](出産)は高天原建国期で日食神話は晩年の死の時期

*コメント

 「倭人伝」に無根拠の法螺話である。 アマテラス(卑弥呼)スサノオの誓約」とは、何の夢想であろうか。独り合点の思いつきは、早々に引き下がるべきである。

⑥高天原神話、出雲神話、日向神話は順番完結ではない・・同時並行型神話で、出雲の国譲りは台与の時代のできごと

*コメント
 (補追2023/11/02)
 「倭人伝」に無根拠である。 中国史書「倭人伝」に「臺與」も「台与」もない。場違い、圏外、無縁の法螺話である。

⑦記紀の父子継承率100%は疑問・・古代天皇の父子継承率は10%前後、神話からの父子継承は垂仁天皇、成務天皇(13代)

*コメント

 「記紀」は、「倭人伝」にとって異次元/無縁である。場違い、圏外である。

⑧3世紀の「大和・纒向」時代は後進国、4世紀に大発展した・・崇神、垂仁、景行の纒向時代に領土拡大

*コメント

 「倭人伝」に、場違い、圏外、無縁の法螺話である。「後進国」を先導した「先進国」とは、何なのか。

まとめ
 「仮説」は、論証された根拠に立脚しなければ、「仮説」となり得ない単なる「個人的な思いつき」である。即刻、「ゴミ箱」直行である。
 以下、氏の「夢語り」が展開するが、論証がないから根拠が見られず、単なる思いつきの積層に過ぎない。

 誤解されると困るのだが、当方は、安本美典師の偉功に心服しているのだが、かくも奔浪のように論考の態を成していない「思いつき」が、安本美典師の峨々たる業績である月例講演会の前座に供されたのは、誠に傷ましいと思うのである。(補追2023/11/02)

                                以上

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