新・私の本棚 番外 邪馬台国ブームに火をつけた男の情熱 2/2 再掲
推定地今や50超.. 編集委員・宮代栄一 朝日新聞デジタル 2020年5月14日
私の見立て ★★★★★ 適確な紹介と論評 2020/05/27 2024/04/15
*加筆再掲の弁
最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲していることをお断りします。
*尊大な初心者たち
国内史料などの異分野で築いた広大な歴史ロマンの愛好家、ホビーストの根拠なき自尊心が、上質の中国史料に直面した時に要求される、一介のアマチュアとしての謙虚な学びを疎外しているように見えます。これは、純然たるアマチュア初心者より質(たち)が悪いのです。実際は運転未熟なのに、なまじ、暴走運転するだけの能力、技術が備わっているとの名声が漂っているため、無批判に追従する衆生が結構あり、誠に危険です。
特に、論拠に自信が持てない時に、殊更に大言壮語して、声量と気迫で異論を押しつぶす論争術は一段と危険なものです。この厚顔無恥の姿勢に、多くのアマチュアが無批判に追従している風潮は、実に重大な暴挙拡散です。
*求められる資質
「きちんと史料批判」と言うからには、当の史料は当然として、同時代同環境の史料を、自力で読み解(ほぐ)す読解力を求められているのです。ちなみに、読解力は、それを支える智識/見識が必要です。
史料読解力が不足し、学習力もない、古代史権威者という「仮面」の「似而非アマチュア」諸説が、堂々と氾濫しているのを見ると、倭人伝に真摯に、かつ堅実に取り組む純正「アマチュア」は、簡単に排除できないものと見ます。
氏が、自身、中国文献を読解してのご意見かどうか、記事からは知り得ませんが、折角の断定の論拠がぼやけているので敢えて書き出すのです。いや、偶々、氏の発言が基点となっていますが、氏がそうした世相に無頓着だと言っているのではありません。ちょっとした石ころに躓いただけなのです。
*一つの失敗事例と考察
因みに、付随する記事で、高島忠平・佐賀女子短期大学名誉教授が謙虚に指摘の事例が著名です。
国内古代史学の泰斗、小林行雄・京都大名誉教授が、木津の墳丘墓から多数出土した銅鏡、三角縁神獣鏡を見て、「これは卑弥呼が百枚下賜されたと倭人伝にある魏鏡であり、各国に配布する任務を与えられた地域支配者の手元に大量集積されたものである」と「絵解き」されましたが、まずは、中国視点から見て、魏が女王に下賜した銅鏡は三角縁神獣鏡と別物と思量します。
また、「絵解き」の構造を客観的に眺めても、広域国家が未形成であったと思われることから、当時貴重な財貨であった銅鏡の配布を、特定の支配者が服属関係にない別地域の支配者に付託するはずがないと想定されます。そもそも、配布を厳命された地域支配者が、大量私蔵するなど許されなかったはずですし、厳命を厳守させることができなければ、上位支配者の権威はないはずです。
普通に「絵解き」を順当に考えれば、なら木津の墳丘墓に埋葬された「国主」は、木津川流域にあって、淀川水運交易の支配者であり、その最大の財貨として、貴重な銅鏡を少なからず保有していたため、埋葬葬礼に際して、銅鏡の一部を副葬したとみるのが順当と思われます。
なお、いわゆる「三角縁神獣鏡」が、どの土地で、誰によって、そして、誰が齎した技術/意匠によって、多数制作され、どのように配布されたかは、当ブログ筆者の知りうるところでは無いと思われるので、ここでは、追求を控えます。
小林氏は、長年醸成した所説による妥当な考察と自負されたと思いますが、当方のような素人が考察の妥当性を考察したところでは、客観的な根拠の乏しい作業仮説と思われるのです。
*古代史浪漫派公害
古代ロマンに心酔した「浪漫」派学者は、ある意味、「アマチュア」同様であり、混沌の中から湧き出たご自身の卓見に陶酔して、壮麗な結論に我を忘れて陶酔したために、もったいないことに、判断を誤ったと見えるのです。
*天地玄黄
素人が誤断すれば、その害毒は素人の身辺ですみますが、泰斗が誤断すれば、広く長く漂う暗雲となるのです。
*糺し難い偉大な誤謬
高島氏は、そのような失礼な言辞を物してはいませんが、当記事の最後を占める意見である以上、学界の一部にある「アマチュア」排除に対する、強い反論と忖度し、ここでは、素人考えで、全く勝手、不遜に発言するのです。
〇最後に
全国紙は、冷静な「史料批判」を、本気で称揚して「浪漫」派跳梁の抑制に努めていただきたいものです。
報道媒体としては、各方面に差し障りはあるでしょうが、近来、素人目にも「浪漫」派偏重の非科学的な発表が目立つので、全国紙としての自制を望みたいのです。いや、決して、当記事を誹っているのではないのはご理解いただきたいのです。
以上
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コメント
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>最後に
全国紙は、冷静な「史料批判」を、本気で称揚して「浪漫」派跳梁の抑制に努めていただきたいものです。
〇日本古代史ファンとして、いつも興味深く拝見しております。
ご存知のように、日本の古代史は謎だらけです。そうした背景が全国誌にもあるのかなと感じます。
邪馬台国の場所、倭の五王と大和の天皇の関係、大仙陵古墳の大王名が不明などいろいろとあり、それらが論争のまま来ていて、結論が出ていない。素人も言いたいことがあるのかなと思われます。
その意味で、それぞれがどう考えているのか知りたいところでもあります。
草々
投稿: レインボー | 2020年5月31日 (日) 19時32分